大腸機能向上

「日常的に自分の手で行う大腸の養生法」及び「ガスだまり、下痢、しぶり腹の一時的な課題への対応」について記述します。前者については日常的に、後者については症状が出てきたときに対処をしてください。

 

《大腸の養生》

はじめに大腸の養生です。主たる目的は便秘の防止です。ここでは足の反射区を使った手法と、ツボを使った手法と二つの手法を紹介します。どちらでも結構です。あわせてもかまいません。

 

1. 足の反射区でおなかの調子を整える方法です。

①足裏の「大腸ゾーン」への押圧です。1から5のラインです。2と3のラインはリスフラン関節の少し下方(但し、第四中足骨基底部では同関節の上方)、5のラインは内髁と外髁を結んだ線になります。

指圧棒または歯ブラシの柄の先でも結構です。右足から左足での数字の順番に押してください。次に、左右均等に抑え、抵抗または痛みがあるところを探します。その箇所に重点的に圧を掛け、抵抗が和らぐまでほぐしていきます。

あわせて「大腸ゾーン」に囲まれている「小腸ゾーン」(土踏まずのリスフラン関節より踵側)も押圧してください。腸は人の体の中で最大の免疫器官でもあり、第二の脳と言われています。「小腸ゾーン」は斜線部分です。

 

②右図「直腸」(上記5のラインの内側縁から踵骨の内側下部)の反射区も押し込みます。極端な痛みがある場合は強めに15秒ぐらい押し続けます。ガスがたまっている可能性もあります。

大腸の養生には胃・膵臓・十二指腸の養生も必須です

右図「胃・膵臓・十二指腸ゾーン」 (土踏まずの上、親指の付け根の下のふくらみ(拇指球)の下部)

胃、十二指腸の機能を正常化し、後天の気(大地からの穀気(食物の栄養))を十分に養い、代謝を促進します。また、貧血改善、老廃物排出促進につながります。

右図「胃、十二指腸ゾーン」(足裏第一中足骨の基部)

「膵臓ゾーン」 (拇指球の3cmぐらい下のリスフラン関節上)

双方のゾーンとも指圧棒を使って押し揉みます。方向としては内側から外側に向けて押し込みます。

 

2. ツボを使った養生法です。

①お腹のマッサージです。

右図のおなかのツボを押し揉んでください。一番のお勧めです。少なくとも朝起きたときと夜寝るときに寝床で行って下さい。

 

仰向けに寝て膝を立て、おなかの筋肉をゆるませます。

左右の親指と中指及び薬指で二つのツボを基点に右図のエリア(緑色)をシーソーのように交互に50~100回ぐらい押し揉みます。腸そのものを揉むイメージです。

お腹がへこむメリットも狙います。 

府舎 (鼠径溝の中央から指1本上方)

腹哀 (上腹部、臍中央の指4本上方、前正中線の指3+3本外方)

 

②大腸に良い定評のあるツボです。

右図「天枢」 (臍の両傍指2本半~3本)

「大横」 (臍の両傍指3本+3本、乳頭線上(乳首から真下の線))

「大巨」 (天枢穴の下指3本)

これらのツボは肌つやも良くします。効果が出るためには時間が必要です。毎日押すことを勧めます。そして、時々、ピップエレキバンを貼り、刺激を持続させてください。

 

大腸の養生には胃の養生も必須です

右図「中脘」 (胸骨体下端(肋骨弓が交差する部位)から臍までの線の中央)

臍の中心から真上に指4本+1本のところに圧痛を探る方法が分かりやすいと思います。

「巨闕」 (胸骨体下端(肋骨弓が交差する部位)から指3本分下)

胸骨体下端は、みぞおち下から上方にさすると出っ張り(剣状突起)があり、その上のくぼみになります。

「中脘」、「巨闕」とも少し前かがみの姿勢または仰向けに寝て押します。または、ピップエレキバンを貼るかお灸(せんねん灸)を勧めます。

 

3.  NHK2020/5/5テレビ「東洋医学ホントの力」でも放送していましたが、便秘解消には舌磨きも有効です。専用のブラシでやわらかく行います。

 

《個別の課題》

4. お腹にガスがたまったとき対処法です。

便座に座った姿勢で仙骨を、正中線から2~3cm離れたところを上から下の方向にマッサージします。

5. 下痢やお腹がゆるい場合の対処方です。

臍の周りの四方穴です。お勧めのツボです。

右図「水分」(臍の上、親指幅1本)

「肓兪」(臍の左右指1本)

「陰交」(臍の下、親指幅1本)

おなかのツボはやや前かがみでおなかをへこませて中指で押します。 ピップエレキバンを貼るのも有効です。難点は長期間貼るとかぶれます。また、貼り続けると便秘になります。注意してください。

 

6. しぶり腹(裏急後重(りきゅうこうじゅう))への対応です。便意はあるのに排便が思うように行われない、ガスがお腹にたまって、腸がごろごろなり、お腹が張ってくるといった症状への対応です。

右図「商丘」 (内踝前縁の垂線と内踝下縁の水平線の交点)

痛いですが、10~15秒ぐらい押し続けます。