高齢化に伴う円背予防運動

高齢化に伴う円背には次の3つの要因が挙げられます。

①内転筋の衰えによる「O脚」

②肩甲骨間及びおなかの筋肉の衰え

③骨粗鬆症による脊椎の損傷

 

それぞれの要因に対応する予防の運動法です。「運動による養生法」をベースに組み立ててあります。従って、転倒による骨折の防止、筋肉の衰えの防止等も兼ねています。

 

1. 下半身の強化です。「コーナー・スクワット」と呼ばれている方法で、大腿四頭筋、大臀筋、ハムストリング、足を広げることで内転筋も強化します

・部屋のコーナーの隅に立ちます。適当な場所がなければ片側だけ壁に沿って立ちます。

・足は壁に沿わせます。従って、膝、足先は壁際に沿うことになります。

・足の広げる範囲は、腰を落としたときに膝が足先より出ないような広さになります。

・腰をコーナーに沿わせたまま、落としていきます。

・目線は下向きです。大腿四頭筋のみならず、ハムストリングも緊張します。

 

 

2. 片足立ちをしながら、足上げ、太もも上げをします。骨粗鬆症や転倒による骨折防止と筋肉強化に有効です。インナーマッスルも強化します。

①片足立ちをしながら次の運動をします。左右それぞれ1分ずつです。

 

②太もも上げ

腸腰筋を鍛えます

・腸腰筋は腸骨筋、大腰筋及び小腰筋から構成され、股関節を屈曲する筋肉です。小腰筋はほとんど退化しており、実質腸骨筋、大腰筋で構成しています。

この筋肉が衰えると猫背姿勢になり、足が上がりにくく、つまずきやすくなります

・まっすぐ立ち、太ももを前方に上げます。股関節の角度は慣れてきたら90度ぐらいです。 

 

③足上げ

・大臀筋、中臀筋、ハムストリングを鍛えます。

・まっすぐ立ち、片足立ちのまま、もう一方の片足を前、横(中臀筋を鍛える)、斜め後ろ、後ろ(大臀筋、ハムストリングを鍛える)に上げ、キープします。上げる高さは踵が床から20~30cmぐらいです。なお、片足立ちをしてもふらつかないようにバランスがとれるのは中臀筋のおかげです

・安定しない場合は壁に手をついてください。 

 

3. 腹筋を鍛えます

いろいろなやり方がありますが、比較的腰に負担がかからないやり方です。

・椅子に浅く腰掛け、上体を後ろに、膝を上に挙げ、腹筋が緊張していることを意識します。膝から下は無理に挙げません。

・すこし前かがみになり、腰はそらさないようにしてください。

・そのまま、5~10秒キープします。

・これを5~10回繰り返します。

 

4. 肩甲骨まわりを柔軟にします

①立つか、椅子に座った状態で、肘を曲げたまま上肢を挙上し、先に肘を前に出し、次に背中をそらすように上肢を後ろに回します。肘を前に出したときはできるだけ肩甲骨間を広げ、肘を横に回したときはできるだけ肩甲骨間を狭めます。肘を前に出したときは小指を手前に手背を合わせ、肘を横に回したときは手のひらを外向けにした方が肩甲骨の可動域が広がります。これを5回行います。

 

②同じように立つか、椅子に座った状態で、肩を後屈し肘を曲げたまま、上肢を挙上し、次に下ろします。この動作を繰り返します。後屈がポイントです。頸の痛みも取ります。上肢を挙上したときは手のひらを内側に向け、下ろしたときは手のひらを外に向けた方が肩甲骨の可動域が広がります。これを5回行います。

 

③立った姿勢で腕は下ろしておきます。まず、肩を後屈します。肩を後屈したまま、腕を挙げていきます。肘を伸ばしたまま、両手が重なるまで腕を挙げていきます。痛みがある場合はそこで止めます。そして、肩を後屈したまま下げます。この動作を4~5回繰り返します。一日4~5セット行います。

腕を挙げるとき、鼻から息を吸います。お腹をへこませます。下げるとき、鼻から息を吐きます。お腹をふくらませます。肩を後屈したまま動かすのがポイントです。肩を前屈したままの姿勢が生活習慣になっていることに気がつきましょう。 

 

5. 次に中国に古くから伝わる気功法「スワイショウ(甩手)」です。体幹を整えます。4つの方法があります。それぞれの方法につき1分、合計4分です。

①前後に腕を振る方法です。

・足を肩幅ぐらいに広げて立ちます。その際、つま先は広げず、正面を向けます。

・両手を前後に腕や肩の力は抜いて振ります。前に上がった時は胸の高さぐらいまで、後ろは前に持ち上げられた腕の重力の反動にまかせます。

 

横に腕を振る方法です。

・足を肩幅ぐらいに広げて立ちます。その際、つま先は広げず、正面を向けます。

・両手を横に、腕や肩の力を抜いて振ります。

 

左右の肩の線や上腹部を横にねじりますできるだけウエストのひねりは抑え、胸部や上腹部を横に向けることを意識しますこれが次項のでんでん太鼓のようなねじりとの大きな違いです。

・腕は横に振りますが、体の前、後に振り分けます。

・足を肩幅ぐらいに広げて立ちます。その際、つま先は広げず、正面を向けます。

・両手は肩の位置に横に伸ばしておきます。どちらでも良いですが、仮に右腕を体の前でふるとしたらとしたら、左手は体の後ろ側にふります。同時に胸部や上腹部を左横に向けます。

・次に両手は肩の位置に横に伸ばす姿勢に戻します。今度は左腕を体の前でふり、右手は体の後ろ側にふります。同時に胸部や上腹部を右横に向けます。

・これを繰り返します。

 

でんでん太鼓のように、ねじりを入れ回転します。

・立った姿勢で、足を肩幅ぐらいに広げて立ちます。その際、つま先は広げず、正面を向けます

・腕の力を抜いて、腕を垂らしたまま、頭頂から背骨、尾骨の縦の線を軸にして、ウエストをひねって回転運動をします。ウエストを横に向けることを意識します。足の床への接着面はそのままです。

・腕と肩の力を十分に抜き、腕は体に巻きつくようにまかせる感じです。

・首もあわせて回しますが、めまい防止のため回しすぎないでください。

・首は正面を向いたまま、回さない方法もあります。

・猫背で首が前に出る姿勢の方は首を前向きに固定したまま、腰をひねる方法を勧めます。

・左右に巻きつくとき口からふっと息を吐きます。吸うときは自然に任せます。但し、無理をする必要はありません。自然に任せてください。  

 

6. 骨粗鬆症の予防です。

右図「失眠」(踵の中央)

このツボを木槌で軽く叩きます。中国では「失眠」の位置を足裏の縦の中心線と内・外踝を結ぶ線との交差点としています。踵の中央より前になります。朝夕少し広めに且つ強めに100回ぐらい叩いてください

踵を床に打ちつける方法も有効ですが、この方法が一番膝に負担がかかりません。