ドライマウスに対するツボ療法です。次の観点から対処します。
①唾液の分泌不足改善
・唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)に働きかけます。
②体質的な改善
・東洋医学の五行思想の考え方から、津腋(体内の水分)を五液として「泣(なみだ)」、「汗」、「涎(よだれ)」、「涕(はまみず)」、「唾(つばき)」に分類し、それぞれ「肝」、「心」、「脾」、「肺」、「腎」に対応します。つまり、唾液は腎水の液、腎が司ります。そこで腎に関連する経絡、反射区から代表的なツボを選びます。
なお、食事の際の咀嚼は丹念にお願いします。
1. 唾液の分泌不足改善として、顔のツボからです。
右図「下関」 げかん (頬骨弓の下縁中点と下顎切痕の間の陥凹部)
耳珠の下の方の前に下顎骨関節突起が触れ、さらにその前の陥凹部にとります。口を開けると下顎骨関節突起が前に移動して陥凹部が持ち上がります。 特に、耳下腺に働きかけます。
「翳風」 えいふう (耳垂後方、乳様突起下端前方の陥凹部)
耳たぶの後ろにあり、口を開けば陥凹部が現れます。口を軽く開けた状態で押します。特に、耳下腺に働きかけます。
「頬車」 きょうしゃ (下顎角の指1本前上方)
「大迎」 だいげい (下顎角の前方指2本半弱の陥凹部、動脈手に応じるところ)
「大迎」を含む下顎骨の下縁3~4cmのエリア(右図緑)も押しこんでください。唾液が出てきます。
「頬車」、「大迎」とも、顎下腺に働きかけます。
右図「上廉泉」 かみれんせん (顎の真下のちょっとへこんだ部分)
特に、舌下腺に働きかけます。
2. 高麗手指鍼手法から次の手法を使います。
手の中指先端の腹(指腹)は、口腔や喉の不調に関連するツボが集中している場所です。右図中指の先端の腹を爪で軽く押したり、揉んだりします。
3. 唾液の分泌不足改善として、足の反射区です。
右図「口腔ゾーン」(足の甲側、親指の爪の下、親指の末節と基節にまたがる)
特に、人差指側は顎関節の反射区で念入りに押してください。
4. 腎の強化です。
「湧泉」 (五指を屈し足底中央の最もくぼんだところ)
「副腎」 (湧泉の下のエリア)
「腎臓」 (第二、第三中足骨の近位端でリスフラン関節線の上)