活性酸素とミトコンドリア

《活性酸素とは》

・厚生労働省の情報提供サイト「e-ヘルスネット」によると、活性酸素とは次のように説明されています。

「私たちが生命活動を営む上で酸素の利用は必須となります。呼吸によって体内に取り込まれた酸素の一部は、通常の状態よりも活性化された活性酸素となります。ヒトを含めた哺乳類では、取り込んだ酸素の数%が活性酸素に変化すると考えられています。活性酸素は、体内の代謝過程において様々な成分と反応し、過剰になると細胞傷害をもたらします」

・呼吸により体内に取り込まれた酸素は、その大半は水素と結合して水になります。2%ぐらいが水にならず、ほかの分子と結合し、活性酸素になります。

 

・活性酸素がどのようにしてできるかの説明の前に、分子と原子とは何かについての説明です。

分子は、2つ以上の原子が化学結合して形成された、化合物を構成する最小の単位です。原子は、物質を構成する最小の単位で、原子核および電子から構成されています。原子核は陽子と中性子から構成され、電子は原子核の周りを回っています。

 

・なぜほかの分子と結合するのかについてわかりやすく簡単なモデルで説明します。

繰り返しますが、あらゆる物質は分子の集まりです。一つひとつの分子は、いくつかの原子の集まりです。原子は原子核が中心にありそのまわりをいくつかの電子が回っています。一つの軌道上には2個までの電子が回っています。一番外側の軌道にいる電子はほかの原子とやりとりされたり共有されたりします。

・一つの軌道には2個の電子があることで安定します。ある活性酸素の外側の軌道には1個の電子しかありません。そのため、不安定でもう1個の電子を取り込もうとする性質があります。そこで、体内にあるタンパク質や脂質、DNAの分子が奪われます。電子を一つ横取りされたため、その分子の構造が変わり、本来の働きができなくなります。これを酸化と言います。その結果、老化や病気が起こります。

 

・活性酸素には次のような種類があります。

・「一重項酸素」:強い酸化力を持ちます。紫外線・X線・放射線などを浴びると発生し、皮膚に大量に発生してシミやシワを作ります。

・「スーパーオキシド(スーパーオキサイド)」:

三大栄養素であるタンパク質・炭水化物・脂質をエネルギーに変える時に発生し、体内に細菌・ウイルスなどが入ってきた時にも生成され、体内で最も発生しやすい活性酸素です

・「過酸化水素」:毒性が強く、生物が呼吸等をしている時に発生している活性酸素です。オキシフルは過酸化水素を3%の溶液にして、傷口の殺菌消毒に利用しているものです。

・「ヒドロキシラジカル」:消去しきれなかった「スーパーオキシド」と「過酸化水素」が、さらに化学変化することで出来ます。活性酸素の中で最も反応が強く、毒性(酸化力)も強いです。手当たり次第に強力な酸化力で細胞を傷つけます。それどころか細胞内の核にまで入り込み、DNAを狂わせ、がんの発生原因にもなりえる最も恐ろしい活性酸素です。生体内では細胞障害を与える主な要因と考えられています。

 

・悪い面だけではありません。厚生労働省の情報提供サイト「e-ヘルスネット」では次のように述べています。

「活性酸素は、過剰な産生あるいは酸化ストレスによる老化、がん、生活習慣病発症との関連が注目されがちですが、白血球から産生される活性酸素(スーパーオキシド・過酸化水素など)は、体内の免疫機能や感染防御の重要な役割を担います。また細胞間のシグナル伝達、排卵、受精、細胞の分化・アポトーシスなどの生理活性物質としても利用されています」

「通常、我々の生体内では活性酸素の産生と抗酸化防御機構のバランスが取れていますが、活性酸素の産生が過剰になり、抗酸化防御機構のバランスが崩れた状態を酸化ストレスといいます」

・酸化ストレスはさまざまな疾患と関係があります。

 

《活性酸素とミトコンドリアの関係》

・ミトコンドリアはATP(エネルギー分子)合成のため生体内の約95%の酸素を消費し、その内1~3%が活性酸素に変換されます。生体内の活性酸素の約90%はエネルギー産生時にミトコンドリアが発生しています。そもそも活性酸素が発生するのはしかたがありません。問題は活性酸素の量です。生活習慣、食習慣が良い人は1%以下です。

・ミトコンドリアの質が向上することで活性酸素に変換する割合は少なくなります。ミトコンドリアの数が多いほど質が向上します。ミトコンドリアを増加させるためには、生活習慣としては持久的な運動、トレーニング、断食、適度な日光浴、短期間の寒冷、マッサージ、栄養素としてはマグネシウム、セレン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンC、ビタミンE、CoQ10(コエンザイムQ10)、α(アルファ)-リポ酸、メラトニン、鉄、亜鉛、タウリンが挙げられます。

・酸化から守るには「抗酸化酵素」が必要ですが、そのためにはミネラルが不可欠です。亜鉛、マンガン、銅、鉄、マグネシウム、セレン等です。

 

 

(参考文献等)

・三石巌(2017)『医学常識はウソだらけ-図解版 分子生物学が明かす「生命の法則」』祥伝社.

・e-ヘルスネット (2019/3/4)、『活性酸素と酸化ストレス』、閲覧日 2020/10/22、https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-003.html

・分子栄養学講座、『活性酸素(フリーラジカル)』、閲覧日 2020/10/22、https://www.megv.co.jp/molecularnutrition/?page_no=1

・栄養チャンネル信長(2020/2/18)、『活性酸素とミトコンドリアの関係について』、閲覧日 2020/10/21、https://www.youtube.com/watch?v=DRthWZBSAvc

・栄養チャンネル信長(2020/8/18)、『酸化から守る「抗酸化酵素」の作り方』、閲覧日 2020/10/22、https://www.youtube.com/watch?v=yKzrFdi-iho