血管の養生

しなやかで弾力のある血管を維持するためのツボ療法、気功法、運動法です。本ページは特に末梢の毛細血管の老化防止を主眼においています。

 

《豆知識》

・人の全ての血管の中で毛細血管が占める割合は「99%」である。長さは地球2周半である。

・全身に張り巡らされた毛細血管を流れる血流のことを微小循環という。微小循環の役割は各細胞に必要な酸素や栄養素を行き渡らせる役割と、体内に蓄積した老廃物を回収する役割がある。

・全身にくまなく広がる毛細血管が劣化すると、息切れや疲れやすくなったり、肌のトラブルや薄毛になるなど、見た目でも分かる老化現象を促進するだけでなく、がんや認知症、糖尿病、高血圧なと、さまざまな病気を招く原因にもつながる。

・血管は年とともに減少、消滅する。65歳以上の高齢者の毛細血管の総延長は、30歳以下の若者に比べ約40%減少していることがベルギーのリエ-ジュ大学病院の研究で明らかにされている。

 

(豆知識の参考文献)

・久保一人(2015)『血管年齢を簡単に10歳若くする方法』さくら舎.

・高倉伸幸(2020)『血管をよみがえらせる! -毛細血管をきたえて、認知症、がん、高血圧…を防ぐ-』宝島社.

・根来秀行(2016)『「毛細血管」は増やすが勝ち!』集英社.

 

1. 手を使った方法です。時間と場所を選ばず、手軽にできます。以下の手法は、経絡、捏五指法、高麗手指鍼を基にしています。

①各指の爪の生え際(爪体の角から2mm弱)の6か所、「少商」、「商陽」、「中衝」、「関衝」、「少衝」、「少沢」を刺激します。内側から「内」、「内」、「内」、「外」、「内」、「外」と覚えるとよいと思います。ツボは左側の図の○印に位置し、赤線のところを親指の爪の先端を使って断ち切るように押すか、チクチクと数回押します一日何セットでも押してください。ちなみに筆者は10セット以上押します

 

②指を揉みます。揉み方は指を1本ずつ片方の手で握り、根元から先端に向けて、斜めの方向に回しながら押し揉んでいきます。各指5回ぐらい揉みます。一日何セット回行っても結構です。捏五指法といいます。

 

 

 

2. 次に中国に古くから伝わる気功法スワイショウ(甩手)」です。ここでは4つの方法を紹介しますそれぞれの方法につき最低でも1分はおこなってください。時間が無ければ、①と④をやってください。

①前後に腕を振る方法です。

・足を肩幅ぐらいに広げて立ちます。その際、つま先は広げず、正面を向けます。

・両手を前後に腕や肩の力は抜いて振ります。前に上がった時はせいぜい胸の高さぐらいまで、後ろは前に持ち上げられた腕の重力の反動にまかせます。

 

横に腕を振る方法です。

・足を肩幅ぐらいに広げて立ちます。その際、つま先は広げず、正面を向けます。

・両手を横に、腕や肩の力を抜いて振ります。

 

③左右の肩の線や上腹部を横にねじります。できるだけウエストのひねりは抑え、胸部や上腹部を横に向けることを意識します。これが次項のでんでん太鼓のようなねじりとの大きな違いです。

・腕は横に振りますが、体の前、後に振り分けます。

・足を肩幅ぐらいに広げて立ちます。その際、つま先は広げず、正面を向けます。

・両手は肩の位置に横に伸ばしておきます。どちらでも良いですが、仮に右腕を体の前でふるとしたらとしたら、左手は体の後ろ側にふります。同時に胸部や上腹部を左横に向けます。

・次に両手は肩の位置に横に伸ばす姿勢に戻します。今度は左腕を体の前でふり、右手は体の後ろ側にふります。同時に胸部や上腹部を右横に向けます。

・これを繰り返します。

 

④でんでん太鼓のように、ねじりを入れ回転します。ウエスト及び下腹部を横に向けることを意識します。

・立った姿勢で、足を肩幅ぐらいに広げて立ちます。その際、つま先は広げず、正面を向けます。

・腕の力を抜いて、腕を垂らしたまま、頭頂から背骨、尾骨の縦の線を軸にして、ウエストをひねって回転運動をします。ウエスト、下腹部を横に向けます。足の床への接着面はそのままです。

・腕と肩の力を十分に抜き、腕は体に巻きつくようにまかせる感じです。勢いをつけて回さないでください。

・首もあわせて回しますが、めまい防止のため回しすぎないでください。

・首は正面を向いたまま、回さない方法もあります。片頭痛の予防の場合は、顔は正面を向いたまま、首を回しません。これは重要なポイントです。

・猫背で首が前に出る姿勢の方は首を前向きに固定したまま、腰をひねる方法を勧めます。

・左右に巻きつくとき口からふっと息を吐きます。吸うときは自然に任せます。但し、無理をする必要はありません。自然に任せてください。 

 

3. 「ウォーキング」、「筋肉トレーニング」、「ふくらはぎ揉み」も血管の養生法で欠かすことができません。

 

1週間で150分のウォーキングを勧めます。

・青栁幸利先生の「中之条研究」によると「1日8000歩ぐらいが適当」とあります。先生は「通勤や家事といった日常活動を含めてトータル一日の単位で「8000歩」、そのなかに「速歩き20分」が含まれていれば健康長寿に最適。75歳以上の方の場合、5000歩・速歩き7分半が基準」と勧めています。

 

※「中之条研究」:群馬県中之条町の65歳以上の全住民5000人を対象に、日常の身体活動と病気予防の関係について2000年度から長期にわたり調査してきた研究

 

②筋肉トレーニング(体の大きな筋肉、特に下半身)も必須です。「運動による養生法」ページの「片足立ちをしながら、足上げ、太もも上げ」、「コーナースクワット」を勧めます。

③1日一回ふくらはぎ揉みを勧めます。10~15回程度で結構です。