口臭

ツボ療法による口臭対策です。

 

ツボ療法による口臭対策は根本原因毎に五つに分類しました。分類はご自身でも判断できると思います。東洋医学から見た判断材料については次の豆知識で記述します。

 

《豆知識》

・臭いからどの臓腑に原因があるかを探る手法です。「五行論」を使います。

・「五行論」は古代中国に伝わる自然観、宇宙観から発生したもので、宇宙、自然、社会、身体を構成する全ての要素(事物、事象)を五つに分類し、その五つの「相生」、「相克」の関係をもって要素間の相互の関連及び共通性の理論付けをしようとするものです。

・万物を「木」、「火」、「土」、「金」、「水」に分類し、表としたものを「五行式体表」といいます。臭いは「五香」または「五臭」といい、「あぶらくさい」、「こげくさい」、「よくない香(こう)のにおい」、「生くさい」、「腐ったにおい」を五つに分けます。対応する五臓は「肝」、「心」、「脾」、「肺」、「腎」となります。臭いの種類より対応する五臓を決めます。

・しかし、残念ながらご自身の臭いはわかりません。ここで記述したことはご家族の場合の参考としてください。

なお、ここでいう五臓とは西洋医学の臓器の定義ではありません。詳しくは「臓腑論とは何か」に記述してあります。

 

・次は舌の話です。舌苔は口臭と関連があり、舌苔は必ず診る必要があります。

舌苔の色→健康なときは赤すぎず、白すぎず、淡紅色です。子どもの舌が理想的といわれています。苔が厚くて真っ白な場合は体が冷え気味、逆に体に熱がこもるにつれて黄色、茶色、黒と濃くなります。

・舌苔が厚い白の場合は、老廃物が胃腸にたまり、疲れて働きが悪くなっています。

・舌苔が厚い黄色の場合は、老廃物が胃腸にたまり、からだが悲鳴を上げています。

 

それでは主な原因を五つあげ対応策を列記します。

原因とその対策対象の五臓は次のようになります。施術には五臓に関連する経絡または反射区、特効穴を使います。

 

・歯周病→特効穴(特別に効くツボ)

・疲労→腎機能向上、脳の疲労回復

・風邪→肺機能向上

・唾液減少→脾機能向上

・食べ過ぎ/飲み過ぎ(胃腸の不調)→脾機能向上 

 

他に歯磨き不足も考えられますが、本ページでは対象外とします。

 

1. 歯周病

「女膝」は歯周病(歯槽膿漏)の名穴です。お灸がよく効きます。炎症を起こしているときは熱くありません。熱くなる(あたたかくなる)まで何壮でも繰り返してください。慢性化している場合は、長期にわたり、お灸(せんねん灸)を続けることを勧めます。次第に落ち着いてきます。

 

右図「女膝」 (踵の尖端で、足の裏の赤っぽい色から「かかと」の普通の肌色に変わるその境界線のところ)女室とも言います。

 

これ以外のツボもあります。「歯の養生」ページを参照してください。 

 

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2. 疲労

右図督脈(頭の正中線)、膀胱経(頭の正中線から指二本横)、胆経(前頭部眉毛中央を上がった線及びその外側の線)という経絡(ツボの経路)を前髪際指2本下から後方に少しずつ上がっていきます。

 

特に督脈、前髪際指2本下から前髪際までの線(正中線から外側に向けて額中線、額旁Ⅰ線、額旁Ⅱ線、額旁Ⅲ線)を念入りに押してください。脳活性化を狙います。

 

頭部の押し方には二つあります。

・ひとつは頭皮揉搓法です。人差し指、中指、薬指の腹で軽く押して前後にゆらしながら進みます。くぼみがあればそこをすこし揉捻します。表面を揺らしますと髪が引っ張られますので注意してください。高齢者、体力が弱っている方向けです。

・もうひとつは親指での指圧です。自分でやる場合は中指を使います。経絡に沿って指2本ずつぐらい離して押していきます。押したら3~5秒キープします。できれば、「頭のツボ図解」ページを参照し、督脈、頭頂部の膀胱経、胆経の個々のツボの位置を意識してください。 

 

3. 風邪

次の反射区を一日1~2回両足に行ってください。1回あたり4~5分です。

右図「肺ゾーン」 (足の甲の足背、足底の第一中足骨から第五中足骨までの骨間)

「気管支ゾーン」 (第一中足骨と第二中足骨の間)

第一中足骨と第二中足骨の間は「肺ゾーン」と「気管支ゾーン」が重なっています。

「上部(頭部~頸部)のリンパ」 (各々の趾間の根元にあり、丸いゾーン) 

これらのゾーンを指で押し揉みます。特に甲側です。あまり強くこすると皮下出血を起こす可能性がありますので、注意してください。

 

風邪は症状によりいろいろ治し方があります。「風邪」ページを参照してください。

 

4. 唾液減少

唾液が減少する要因は加齢、ストレス、口呼吸等あります。舌は乾き、白くなります。ここでは対処療法です。唾液腺に働きかけ、唾液を出します。

 

・右図「下関」 げかん (頬骨弓の下縁中点と下顎切痕の間の陥凹部)

耳珠の下の方の前に下顎骨関節突起が触れ、さらにその前の陥凹部にとります。口を開けると下顎骨関節突起が前に移動して陥凹部が持ち上がります。上の奥歯の養生です。

「翳風」 えいふう (耳垂後方、乳様突起下端前方の陥凹部)

耳たぶの後ろにあり、口を開けば陥凹部が現れます。口を軽く開けた状態で押します。下の奥歯の養生です。

「頬車」 きょうしゃ (下顎角の指1本前上方)

「大迎」 だいげい (下顎角の前方指2本半弱の陥凹部、動脈手に応じるところ)

「大迎」を含む下顎骨の下縁3~4cmのエリア(右図緑)も押しこんでください。サラサラの唾液が出てきます。骨の際の内側を押し込むのがコツです。

 

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5. 食べ過ぎ、飲み過ぎ

舌の辺縁が分厚く赤く、中央に白または黄色の苔があります。舌苔は厚く、黄色、茶色と、濃い色になっている場合もあります。前者の体質を「気滞」、後者の体質を「湿熱」といいます。

 

双方のタイプとも、胃、十二指腸の機能を正常化し、後天の気(大地からの穀気(食物の栄養))を十分に養い、代謝を促進します。老廃物排出促進につながります。

 

右図「胃、十二指腸ゾーン」(足裏第一中足骨の基部)

「膵臓ゾーン」 (拇指球の3cmぐらい下のリスフラン関節上)

双方のゾーンとも指圧棒を使って押し揉みます。方向としては内側から外側に向けて押し込みます。

 

これ以外のツボもあります。「脾機能向上」ページを参照してください。

 

(参考文献)

・幸井俊高(2016)『舌をみれば病気がわかる』河出書房新社.

・篠原昭二(2014)『補完・代替医療鍼灸改訂2版』金芳堂.

・平地治美(2015)『舌を見る、動かす、食べるで健康になる』日貿出版社.