慢性の筋肉疼痛

年配になると、「関節や筋肉の痛みがぶり返した」という方が多くなります。一様に「何もしていない、痛みの原因となることが思いつかない」と言います。しかも、なかなか治りません。この現象をどう捉えたら良いのでしょうか?

 

いくつか共通点があります。

・70歳以上の人が多い

・元の損傷はここ半年以内

・訴える症状は痛み、しびれ、違和感

・元の症状は1ヶ月程度のケアで寛解した

・ぶり返した要因が思いつかない

・動作痛が多い。何もしていないときは痛くない

・整形外科へ通院しても結果は芳しくない

・関節、筋肉、腱、体幹を柔軟にするストレッチ等は日常的にしていない。

・痛みの場所が移ったり、痛みが放散する。

 

(豆知識)

ドクターはどう見ているのでしょう。何人かの先生の本をひもときます。

牛田 享宏(2021)『いつまでも消えない痛みの正体』 青春出版社. 

・日本人の5人に1人は、慢性疼痛に悩んでいる。

・腰痛55%、肩痛/肩こり27%、頭痛20%、関節炎12%(膝痛10%)

・多くの患者が病院を渡り歩いている。

・痛みは「感覚」、「情動」で感じている。

・痛みは脳内で合成されている。

・椎間板ヘルニアがあって痛いのは、神経が圧迫されているからではなく、圧迫によって神経の周りに起きている炎症が原因である。

・慢性疼痛の患者さんは、ひたすら原因を追及したり、それを取り除こうと考えるより、その痛みとうまく付き合っていく方法を体得した方が楽になれる。

・まずはお尻のストレッチから始める。

・肩こり解消には、肩甲骨周りの筋肉を動かす。

・運動をすると、痛みを抑えるホルモン(ドーパミン→脳内モルヒネ(エンドルフィン))が出る。

・痛みの発症・維持のメカニズムは、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、ノシプラステッィクペイン(社会心理的な要因が関与→脳の神経回路が変化)の3種類がある。

・神経障害性疼痛のなかでも、特につらい、卒中後疼痛である。脳梗塞や脳出血の後に起こるもので、脳卒中によって脳神経が傷つき、体の感覚が鈍くなっているところに強い痛みを感じる。

・痛みを感じ続けていると、脳が小さくなる。

 

 

北原雅樹(2018) 『慢性痛は治ります!  -頭痛・肩こり・腰痛・ひざ痛が消える-』さくら舎.

・何の痛みも訴えていない正常な人の腰の骨のMRIを撮って調べると60歳で60%の人にヘルニアが見つかるというデータがある。

・慢性痛は自分で治す。

・医者任せ・民間療法任せの治療は失敗する。

・慢性痛の患者にはゼロか100かのような、極端な考え方をする人が少なくない。⇒「完璧主義」

・これをすべきである、しなくてはならないというふうに考えて、自分を追い込んでしまう。⇒「べき思考」

・慢性化した痛みの80%は筋肉の痛みである。⇒「筋・筋膜性疼痛症候群」

・筋肉のこりの正体は、トリガーポイントである。

 

[注] トリガーポイント:筋・筋膜性疼痛症候群の原因として、関連痛がある筋肉にその原因となるポイントがあり、そこを探るとこりや痛みがある。

 

 

鈴木重行ほか(2007) 『アクティブIDストレッチング』三輪書店.  

・椎間板ヘルニアによる神経根への機械的圧迫だけでは、単なる下肢に重苦しい感じを訴えるだけで、痛みを引きこさない。

・画像上で観察される器質的な変化は、痛みの直接的な原因ではない場合が存在している。

 

《対処の手法》

・ある動作をしたときに痛みがある場合、その動作をしたまま痛みがある筋肉を探ると圧痛や著明な痛みがある箇所が見つかります。

・その動作をしたまま、その痛みがあるところを長押しする(15秒以上)と痛みが止まります→トリガーポイント手法を応用します。

・一旦おさまりますが再発します→再度上記の手法を行います→繰り返します。

・痛みが出やすい動作を極力避けてください。

・但し、この手法で功を奏しない場合、経絡、特に経筋療法を使用してみてください。

(注:経筋とは関節や筋肉を主体とした運動器系愁訴に対応する経絡)