認知症予防

認知症を予防できる非薬物療法をさらに勉強したいという思いで、9月から10月にかけて、毎週のように認知症の講座を受けに行ったり、本を読んだりして認知症のスタディにかなりの時間をかけました。どの先生方も一様に「認知症は予防できる、予防しなければいけないこと」を強調しています。そして、その予防はその人の生き方、生活習慣のなかで実現していくものとしています。

 

私なりに解釈した予防のためのポイントは次の通りです。

 

①東洋医学の考え方は参考になります。精神作用を五行思想から「魂(精神を支える気)」、「神(精神・意識・思惟の主宰)」、「意智(しようとする思い、熟慮すること)」、「魄(激しい意気込み)」、「精志(意を支える心、根気、志)」に分けています。この中で特に「神」、「意智」、「精志」の衰えが認知症に影響を与えると考えています。「神」、「意智」、「精志」はわかりやすく言うと「理性で考えること」、「しようという思いと深く考えること」、「志を持って考えること」です。東洋医学、特にツボ療法はこれらの「考える」ことを活性化するためのツボを使います。

②有酸素運動、筋肉トレーニング、バランス運動は重要です。

③脳の血流を良くすることです。

④脳卒中の予防、そのために動脈硬化の予防は必須です。

 

以上の観点から「認知症」ページは構成してあります。ぜひ参考にしてください。

 

東洋医学から見た体質の分類

ツボ療法では未病、病気を診断するときによく六臓六腑の状態で判断しますが、その人の体質や生活習慣的なことも重要な要件になります。「気(き)」、「血(けつ)」、「水(すい)」という概念から判断するものです。西洋医学の知識に慣れ親しんだ方には、東洋医学の教科書を見てもわかりにくい表現が多く、しっくりこないのではないかと思います。しかし、病気の要因をさらに深く探っていくために、また再発を防止するためには、この概念をよく知って、日常生活の中で改善していく必要があります。そこでできるだけこの「気(き)」、「血(けつ)」、「水(すい)」からみた体質を平易な言葉で書いてみました。腹落ちする言葉を選ぶのにかなりの時間をかけ、「体質とツボ」というページにまとめました。ぜひ参照してください。その体質を改善するツボも記述しました。特に慢性的な疾患や未病にかかっている人には役に立つと思います。

 

湿疹によるかゆみ「対屏尖」

最近、自分で効果を実感できたツボです。「対屏尖」、「百虫窩」というツボで、湿疹によるかゆみに良く効きます。梅雨明けの暑さに呼応するかのように頬あたりに湿疹が出、かゆみが強く、特に夜中にひどくなり、目が覚めてしまいます。本来、湿疹を治さなければ、かゆみを抑えてもまたぶり返すことになるわけですが、かゆみの症状もつらいものがあります。「かゆみ」というページに4つの特効穴を記述してありますが、湿疹のむずむずしたかゆみには上記のツボがぴったりでした。特に「対屏尖」がお勧めです。湿疹そのものも良くなっていきます。年配になると湿疹が無い場所でもかゆいという症状があり、かゆみが少し残るかもしれませんが、このツボで良くなっていく様子が実感できます。

 

●「対屏尖」 (外耳道の前の耳たぶ側にある出っぱりの頂点)  

別名「耳下腺」とも言います。爪で一日何回も刺激をします。

●「百虫窩」 (大腿骨内側膝蓋骨内上角の上方、指4本)

ピップエレキバンを貼り、上から時折押します。

 

4つの特効穴の後二つ、「かゆみ反応点」、「治痒穴」はどちらかというと蕁麻疹のかゆみに良く効くツボです。

 

風邪をひきやすい方の体質改善のツボ

風邪をひきやすく、いったんひくと長引き、特に咳に悩まされる方がいます。そういう方の体質改善の方法です。毎日行ってください。お勧めします。

①足背の第一から第五までの中足骨の間(下左図)を押し揉みます。呼吸器系を鍛えます。

②下中図「小腸ゾーン」(土踏まずのリスフラン関節より踵側)を押し揉みます。腸管免疫の機能を向上させます。

③調子が悪くなったら下右図「合谷」 (第一、第二中手骨の基底部の前陥凹部、やや人差し指側)の張り具合(硬さの具合)を調べ、圧痛があるようでしたらピップエレキバンを貼ります。



体幹を整える

「体幹を整える、鍛える」ということはよく推奨されますが、私がその効果を実感したのはいつも行っているジムでの直径60cmのバランスボールを使ったプログラムです。どちらかというと腰部のインナーマッスルを鍛えるというものですが、確かにウエストは締まり、短期間で数センチ細くなります。当初はやりすぎたのか、平生の呼吸がしづらくなり、たまに深呼吸をせざるを得なくなりました。治し方があるかなと思って近くの病院に行きましたが、診断はつかず原因不明で治療法もありませんでした。一言言われたのは「やりすぎです」。おそらく横隔膜の疲れと考え、横隔膜の反射区及び腹腔神経叢の反射区に施術を行い、バランスボールも週1~2回程度に抑えました。その結果、症状は改善しました。

バランスボールは「体幹を鍛える」にはお勧めですが、家でやるにはかさばりますし、邪魔です。転げることを考えると危ない側面があります。そこで、安全で長続きする方法をまとめ、「体幹の養生」というページを作りました。脊椎及びその周辺部への対応です。

 

・椎骨の近辺よりも肩甲骨間に痛みがある人が多いです。その場合は拇指球の下、土踏まず部分もしっかり押し揉んでください。 

 

・もう一つお勧めなのは「スワイショウ」という気功法です。手を縦にする方法と横回転する方法がありますが、双方ともお勧めです。

 

リンパ

受講者の方から「リンパを流す」を講座のカリキュラムの一つとしてやってくださいとリクエストを受けました。そこで今まで個別の症状、病気の治療法として使ってきた個々のリンパの足の反射区を「連続的に流す」という観点から再構築してみました。観点を変えると効用、手技の方法が全く変わります。効用としては個別の疾患の治療というより、免疫力の強化、むくみやすい体の体質改善を目指します。気持ちも落ち着かさせます。また、手技としては包み込む感じで押さえ、揉捻をします。東洋医学でいう「水」が滞留しやすい、特に女性の方にお勧めです。大体、片足5分程度でできます。ぜひ定期的なケアとして取り入れてみてください。「リンパを流す(足の反射区)」、「リンパを流す(部位別)」ページを参照してください。

 

「百会」、「四神聡」、「防老」、「健脳」

「百会」、「四神聡」、「防老」、「健脳」、最近私が凝っているツボです。講座の中でよく取り入れています。「百会」以外は一般の方によく知られていないツボだと思います。もともと「四神聡」は認知症、頭痛、めまい等の改善、「防老」及び「健脳」は白髪、薄毛予防として推奨されているツボです。私はこれらと「風池」、「天柱」、「百労」を合わせて認知症の予防としても使っています。「百会」、「四神聡」、「防老」は首筋をまっすぐにして頭の上から脊髄に向かって「気をおくる」ことを念じながら押します。「健脳」は首筋に対し直角に押します。

そして、認知症予防のために自分自身も心掛けていることは「頭を使うこと(考えること)」、「直感を大事にすること」です。

 

●「百会」(頭部正中線と左右の耳尖を結んだ線の交叉部))

古来有名な万能のツボです。

●「四神聡」(百会の前後左右親指の幅1本)、「防老」(百会の後親指の幅1本)

「神」は精神の意味、「聡」は聡明の意味で、精神状態を落ち着かせることができ、自律神経のバランスが是正され、頭の感じをスッキリさせる効果があるツボです。百会の後のツボは単独で「防老」と呼ばれるツボです。

「健脳」 (風池より指幅1.5本下)

指幅1本下という説もありますが、本サイトでは1.5本下とします。ツボの名前通り健脳を狙います。 

 

肩こり、高脂血、咳、腸管免疫

最近、私が受講生の方に特に勧めているツボ、反射区です。

●「合谷」、「手の三里」

肩こりに対し、この二つのツボは誘導穴、補助的な役割を持つツボとして使いますが、肩のまわりの定番のツボを使った後、コリがなかなか取れないときに、これらのツボを押圧すると一挙にコリが緩解する場合があります。これらのツボを押圧するとかなり痛い場合に有効です。長く強く押すことを勧めます。「曲池」、「外関」というツボも同じような効果を持ちます。

●「豊隆」

・去痰のツボを言われ、「痰湿(体内に余分な水分が溜まり、血脂が高い状態)」を取るツボとして有名なツボです。風邪のときの痰が出る症状にも有効です。圧痛を探るのがコツです。(ご参考:脂質異常症)

●「神蔵」

風邪のときの咳の症状を治すツボとしていくつかありますが、このツボも有効です。ピップエレキバンを貼って刺激を続行させます。前胸部の第2肋間にあり、第2肋間を探るのにはコツがいります。

●「小腸の反射区」

・体の抵抗力をつける意味で、「小腸の反射区」を押圧し、腸管免疫力をつけることを勧めています。(ご参考:養生のツボ)