任脈

:任脈(にんみゃく)の主要穴(12穴/24穴中)

《全般の症状》

  • 任脈は「陰脈の海」と呼ばれ、全ての陰の経絡を統括していると定義づけられている。
  • 体の前面正中線にルートがある任脈は、臓腑の異常を診る、臓腑の治療点である、臓腑との結びつきが強い募穴が6穴(12穴中)配置されており、セルフで臓腑を養生するには最適の経絡である。任脈以外の経絡に配置されている募穴もほとんど体の前面にあり、それも合わせると優れた臓腑の養生法、全身の失調の予防・調節になる。

《流注》 るちゅう

下腹部内の胞中に起こり、下って会陰部に出る。前に向かって陰毛部に進入する。腹部と胸部に沿って正中を上行する。咽喉部に至る。衝脈と合流し、再び上行して口唇を循環する。(注3参照)顔面・頬部に沿って眼窩中央に達する。

(注1) 青い太字部分にツボが配置される

(注2) 暗赤色の太字部分は見落とされがちなルート 

(注3) ここより左右のルートに分かれる

 

《曲骨》 きょっこつ

[部位] 下腹部、前正中線上、恥骨結合上縁

[字義] 恥骨を曲骨という(恥骨は湾曲している)→恥骨の上縁中央にある

[適応症] 泌尿器疾患には必須、本サイトでは湿疹予防でも使う

: 下腹部痛、美容(湿疹)、尿失禁、前立腺肥大、膀胱炎

 

《中極》 ちゅうきょく

[部位] 下腹部、前正中線上、恥骨結合上縁より親指幅1本上

[字義] 頭頂から足の踵までの中間の位置→元気の根本となる重要なところ

[適応症] 足太陽膀胱経の募穴→泌尿器疾患には必須のツボ

: 下腹部痛、尿失禁、前立腺肥大、膀胱炎、リンパを流す

(注)募穴:六臓六腑に1つずつ、臓腑の異常を見る、臓腑の治療点、臓腑との結びつきが強い

 

《関元》 かんげん→「丹田」ともいう

[部位] 臍の中心から真下に指4本

[字義] 元気が集まるツボ

[適応症] 手太陽小腸経の募穴。泌尿生殖器、婦人科症候群に効く名穴。

: 下腹部痛、生理痛、下腹部の内臓下垂予防、頻尿、膀胱炎、尿失禁、冷え症、お腹のガスだまり、下痢、リンパを流す、慢性疲労、脂質異常症

 

《石門》 せきもん

[部位] 臍の中心から真下に指3本

[字義] いろいろな説があり、納得のいくものがないため、割愛

[適応症]  手少陽三焦経の募穴であるが、適用範囲は少ない→下腹部の冷え→中極から水分までのツボを駆使した方が良い

: 下腹部痛

 

《気海》 きかい

[部位] 臍の中心から真下に指2本

[字義] 海は集まる→元気、腎気の集まるところ

[適応症]  精神的、肉体的疲労→元気を補う

: 慢性疲労、冷え症、下腹部痛、下腹部の内臓下垂予防、生理痛、リンパを流す、おなかのガスだまり

 

《陰交》 いんこう

[部位] 臍の下、親指幅1本

[字義] 腹部(陰)の気の合するところ

[適応症]  下腹部を温めるのに最適(臍のまわりのツボを含む)、慢性腰痛にも効能あり

: 下腹部痛、膀胱炎、下痢、大腸機能向上

 

《水分》 すいぶん

[部位] 臍の上、親指幅1本

[字義] 水(小便と大便)を分ける→利水(水の流れを良くする)の効あり

[適応症] 下腹部を温めるのに最適(臍のまわりのツボを含む)→大腸機能向上

: 下痢

 

《中脘》 ちゅうかん

[部位] 胸骨体下端(肋骨弓が交差する部位)から臍までの線の中央)→臍の中心から真上に指4本+1本のところに圧痛を探る方法が分かりやすい

[字義] 胃の中央にあたる

[適応症]  消化器系愁訴には必須の名穴、足陽明胃経の募穴

: 胃痛、脾機能向上、大腸機能向上、食欲不振、下腹部痛、逆流性食道炎、むくみ、不整脈、リンパを流す、下腹部の内臓下垂予防、糖尿病、心の疲れ

(注)募穴:六臓六腑に1つずつ、臓腑の異常を見る、臓腑の治療点、臓腑との結びつきが強い

 

《巨闕》 こけつ

[部位] 胸骨体下端(肋骨弓が交差する部位)から指3本分下

[字義] 巨は大きい、闕は欠ける→心窩部にある

[適応症]  手の少陰心経の募穴→心労、ストレス、それらによる消化器系愁訴

: 胃痛、脾機能向上、大腸機能向上、食欲不振、下腹部痛、逆流性食道炎、リンパを流す、頭痛

 

《膻中》 だんちゅう

[部位] 胸骨体の中央、両乳中穴を結び正中線と交わるところ、胸骨の正中で少し窪んだくぼんだところで按じて痛むところ、または、左右の脇の下を結んだ線の中点から指4本真下

[字義] 膻は左右の乳頭の間、中はその中央

[適応症] 手の厥陰心包経の募穴→動悸、息切れ

: 狭心症、逆流性食道炎、不整脈、心の疲れ、低血圧、慢性疲労

 

《天突》 てんとつ

[部位] 胸骨脛切痕の上縁陥中

[字義] 天は高いところ、突は後頭隆起の突起

[適応症] 喘息、しゃっくり、嗄声(させい)

: 呼吸困難、いびき、痰、咳喘息

 

《承漿》 しょうしょう

[部位] 頤唇溝(いしんこう)の中央(下唇の下端と顎のふくらみとの中間)

[字義] 承は受ける、漿は飲み物→飲むときに唇が触れるところ

[適応症] 顔面の腫れと痛み

: 歯の養生、美容(ニキビ、吹き出物)