腎機能向上

西洋医学における腎臓は、血液からの老廃物や余分な水分の濾過及び排出を行って尿を生成するという機能を持っているとされていますが、東洋医学ではそれに加えて成長・発育・老化において主導的な機能を持つとされています

 

東洋医学では腎の働きを次の通りとしています。

五臓六腑の精を蔵する、生殖方面の精を蔵する」、「生長発育を促進させる」、「命門の火(生命の根本)をつかさどる」、「骨髄をつかさどる(注参照)」、「耳と二陰に開孔する(耳や尿道、生殖器官、肛門の機能を維持する)」、「全身の水液を管理する」、「親から受け継いだ生命エネルギーの根本を蔵する」、「吸息をつかさどる」としているのが特徴です。

 

ここで「命門の火(生命の根本)」、「親から受け継いだ生命エネルギー(先天の気)」という語句が出てきますが、これは増えることはありません。加齢とともに減っていき、消費するのみです。

 

「中国漢方医学概論(66ページ)」に、「腎気が盛んであれば人体は精力が満ちあふれており、労働が軽快で力があり、同時に頭脳の面においてもまた緻密明敏である」とあります。

 

加齢とともに出てくる衰えを防ぐことが狙いとなるわけですが、最も注意してもらいたいのは次の点です。

 

・健康診断の腎機能(濾過、再吸収、分泌)の数値

・高血圧→腎機能悪化→末梢血管(腎臓の細静脈(糸球体の血管))が硬くなる

   →血液が流れにくくなる→さらに血圧が上がる

・骨密度、バランス、下半身の脆弱性→転倒、骨折防止

・冷え→生活習慣病の予防

・「気力が落ちる、長続きしない、おそれやくじけそうになる、落ち込み」といった状態や心の動き

・呼吸困難(特に吸息)

・歯の鈍痛、歯の動揺、歯肉の萎縮

 

《注:豆知識》

・60代、70代になると、ネフロン数は20代の頃の半分ほどになってしまう。当然、歳をとってネフロンの数がじわじわと減ってくれば、それに伴って腎臓の濾過機能もじわじわと低下していくことになる。

 

(豆知識の参照文献)

上月正博(2023) 「東北大学病院式腎機能を自力で強くする食事と運動」 永岡書店. 

 

1. まず、左右の足裏への治療です。

指圧棒を使い、強めに押してください。

右図湧泉」(五指を屈し足底中央の最もくぼんだところ)

副腎」の反射区 (湧泉の下のエリア)

腎臓」の反射区 (副腎の下のエリア、足裏の第二、第三中足骨の近位端でリスフラン関節線の上)

「輸尿管」の反射区 (「腎臓」、「膀胱」を結んだ線)

「膀胱」の反射区 (内踝の下、土踏まずのアーチ状の(踵骨、船状骨、第一楔状骨にまたがる)エリア)

特に「湧泉」、「副腎」、「腎臓」は丁寧に押してください。

 

2. 定番のツボです。

右図「腎兪」 (第二、第三腰椎棘突起間脊柱の傍、指2本)

背中から触れる第十二肋骨の先端を結んだ線になります。

志室」 (腎兪の傍、指2本)

押し方としては次の方法がお勧めです。

仰向けに寝て、小さなボールを2個タオルに巻いて腰に当てます。小さなボールとしてバウンドボール(直径56mm)がお勧めです。

右図「復溜」(内踝の上指3本アキレス腱の前縁)

腎を活性化する最適のツボの一つです。

太渓」 (内踝の後方、アキレス腱の前のくぼみ)

 

3. 手軽にできる手のツボです。

右図「腎臓」 (手のひら、第二、第三中手骨間の中央、「副腎」の下)

「副腎」 (手のひら、第二、第三の中手指節関節の近位陥凹部)

知能線の下部になります。

 

4. 腎臓の機能強化には水の摂り方が大きな改善ポイントになります。

・1時間おきにコップ1/3の水を補給する、これが基本の改善法です。高齢者は一度に大量の水を飲むと、「胃がもたれる」、「吸収しきれない」、「トイレが近くなる」といった問題が出やすくなります。

 

《豆知識》

●食品添加物の無機リンの摂りすぎが老化を加速

・リンはカルシウムとともに骨を構成している成分であり、またDNAや細胞膜の主成分で、人間が体を維持していく上で重要な物質です。

・しかし、リンの蓄積は老化を加速するという研究結果(黒尾誠教授の研究)があります。腎臓には体内の余分なリンを腎臓から排泄するクロトー遺伝子が多く含まれています。リンの摂りすぎ→腎臓のネフロンの減少→クロトー遺伝子の減少→リンの蓄積→老化の加速というメカニズムです。

・リンには肉類、魚介類、卵、乳製品、豆類等に含まれている「有機リン」と加工肉等に使用されている食品添加物等に含まれている「無機リン」があります。有機リンは制限すると栄養状態に影響を与えます。無機リンは有機リンよりも体内への吸収率が高いのが特徴です。

・食品添加物が含まれるソーセージ、ハム、ベーコンなどの加工肉、干物、練り物、スナック菓子、インスタント麺ファーストフード等を意識的に避けてください。

 

(豆知識の参考文献)

・草野英二、黒尾誠(2011)『腎臓病から見えた老化の秘密』日本医学館. 

 

(本ページ全体の参考文献)

・篠原昭二(2014)『補完・代替医療鍼灸改訂2版』金芳堂.

・寺澤捷年(1990)『症例から学ぶ和漢診療学』医学書院.

・南京中医学院(1976)『中国漢方医学概論』中国漢方.

・大村恵昭(2015)『「手の刺激」健康・長寿術』マキノ出版.