呼吸困難

通常の呼吸がつらく、浅くなりがちで、たまに大きく息を吸わなければ酸素不足と感じる症状です。中年以降まれに発症します。病院で精密検査をしても異常値が見つかりません。原因として、『肋骨周辺の筋肉が凝ることで呼吸に必要な「胸の膨らみ不足」から生じる』が考えられます。筆者の経験から、水泳、おなかの周りのインナーマッスルを鍛える運動、筋トレ、有酸素運動が過負荷になっていることでこの状況になります。呼吸に関連する筋肉に疲労がたまっていると考えられます。

 

治す上での留意点です。

・呼吸筋の疲労を取り除きます。

・呼吸筋の疲労となる運動がどれなのかを見極め、該当する運動の負荷を少なくします。全く運動を止める必要はありません。運動することの効果はすこしでも維持させます。

・年配になると息が浅くなり、特に吸気が弱くなります。現代医学では呼吸は肺の機能に当たりますが、中医学では、呼気や浅い呼吸は肺によって、吸気は「腎」によって行われているとされています。従って、吸気を円滑に行うためには「腎」を補います。

 

なお、動悸を伴う息切れについては、不整脈、動悸、息切れ」のページを参照してください。

 

 

《豆知識》

・呼吸に関わる筋肉(呼吸筋)には、横隔膜、大胸筋、肋間筋等20種類以上ある。息を吸うときの筋肉(吸息筋)と息を吐くときの筋肉(呼息筋)とに分かれる。

・横隔膜は、呼吸筋の中で最も強い力を持つ。

起始部は第7~12肋軟骨内面、剣状突起後面、第1-3腰椎椎体の前面、停止部は横隔膜中央部の腱膜(腱中心)

・これらの筋肉が硬くなると呼吸が浅くなる。

・加齢とともに筋力も落ち、うまく吐き出すことができず、肺の中に多く残ってしまう。すると、次に吸うときに強い力が必要となり、呼吸筋に余計な負担がかかり、呼吸が苦しくなる。

 

(豆知識の参考文献)

・本間生夫(2014)『心と体をラクにする呼吸スイッチ健康法』大泉書店.

 

 

1. 足の横隔膜の反射区を使い、呼吸筋、特に横隔膜の疲労を取ります

①右図足の裏側「横隔膜」 (親指~薬指の中足骨の中程からリスフラン関節の間)

特に拇指球の下部(青く塗るつぶしてあるところ)がよく効きます。一日3~4回この箇所を強めに深く押しこみます。

ピップエレキバンは張らないでください。かえってつらくなります。

 

右図足の甲側「横隔膜」 (リスフラン関節上)

横隔膜の反射区はいくつか説がありますが、本ページでは甲側の横隔膜はリスフラン関節上に取ります。

2. 肋骨弓やのどを温めます。よく効きます。

①温める箇所は次の通りです。

・右図肋骨弓

・喉;右図「天突」(胸骨脛切痕の上縁陥中)の近辺

・背中、第12肋骨あたり

 

②温める方法はドライヤーか使い捨てカイロを使います。

・ドライヤーで1日数回温めます。環境が可能ならば、2~3時間おきに温めます。時間は2~3分です。皮膚が熱くなったら終わりです。

・頻繁にドライヤーを使う環境でなければ(例えば勤務先)、肋骨弓と背中第12肋骨あたりのところを使い捨てカイロで温めてください。常時同じ箇所に張り続けるのではなく、温まったら場所を変えてください。

 

③お風呂は必ず湯船に入ってください。すごく楽になります。

 

3. 胸鎖乳突筋の上、中、下を夾むようにして押します。

頸部のこわばりを取ることが目的です。顔を横にして胸鎖乳突筋を浮き出させて押します。よく効きます。

4. 腎を強化します。

右図「太谿」(内踝の後方、アキレス腱の前のくぼみ)

腎陰虚を補う名穴です。お灸かピップエレキバンがお勧めです。長い目で手当てをしてください。

5. 呼吸筋の疲労をストレッチで回復する方法です。予防法としても勧めます。

吸息筋の疲労回復に焦点を絞ります。本項でのストレッチは他のページで紹介している呼吸法とは異なり、息を吸うことから始め、吐く方は自然に任せます。次の2つの方法を1セット3回、一日5、6セット行ってください。軽く行ってください。

 

①その1です。

・両脚を肩幅に開いて立ち、胸の前で両手を組みます。息を吸いながら腕を前に伸ばし背中を丸めていきます。胸の前で大きなボールを抱えながら息を吸うイメージです。

・吸い終わったら、息を吐きながら胸の前に両手を戻します。

 

②その2です。

・両脚を肩幅に開いて立ち、胸の前に両手を当てます。息を吸いながら、上腕を横に引いて胸を広げていきます。

・吸い終わったら、息を吐きながら元に戻します。

 

(本項の参考文献)

・本間生夫(2011)『呼吸を変えるだけで健康になる-5分間シクソトロピーストレッチのすすめ』講談社.

 

 

6. 注意点です。呼吸困難な状態のときには無理して深呼吸や腹式呼吸をする必要はありません。筆者の経験からいくと、普段は使わない筋肉や鎖骨を使って強引に呼吸をしようとし、かえって呼吸困難が増します。