本ページは「胸部の帯状疱疹」、「臀部の帯状疱疹」のツボ療法について説明します。
帯状疱疹は発疹が出たらすぐに皮膚科にかかり、治療を開始することが必須です。
皮膚の症状がなくなった後、痛みや違和感が残る場合は、帯状疱疹後神経痛の可能性があり、皮膚科に再受診してください。
また、臀部の帯状疱疹で、排尿障害(排尿困難、尿閉等)になった場合は、泌尿器科の受診が必要です。
1. お勧めのツボです。
①「華佗夾脊(胸椎の範囲)」 かだきょうせき (各胸椎の棘突起の下縁から、指1本弱外側)
外側からななめ方向に気持ちよい範囲で押します。背中のツボ押しの道具を使い、1日数回押してください。
華佗夾脊は胸椎、腰椎の両側に並んで17経穴あります。帯状疱疹の場合は発症している部位に沿った肋骨の椎骨棘突起の3つ上から3つ下ぐらいの範囲で押します。押すと左右で押した際の感覚が違いますので押す範囲はすぐわかります。
②発疹のまわりを囲むようにして、シャープペンシルの先(芯を出していない状態)か爪楊枝の先でチクチクと刺激(上記の図参照)をします。1セット当たり5回ぐらい、一日3セットぐらい行います。患部には触らないでください。水ぶくれはつぶさないでください。
③胸部に発疹ができているケースは次のゾーンの揉捻を加えてください。
右図足の甲側「肋骨ゾーン」 (親指の中足骨から小指の中足骨のエリア)
足の甲に肋骨のイメージを描いてください。足の甲の中足骨のゾーン全体を軽擦します。圧痛あるなしに関わらず、5分ぐらいかけて揉捻してください。
右図「胸椎ゾーン」 (親指の中足骨内側のアーチ部分)
押し方は上記と同じです。丹念に、少し強めに揉捻してください。
2. 治りかけのときの無理は禁物です。
・帯状疱疹は体力低下、免疫低下のときになりやすいのですが、東洋医学的な観点から見ると「火邪(注参照)」により肝の経絡、「湿熱(注参照)」により脾の経絡に悪い影響を与えていると考えます。後者は恒常的な食べ過ぎ、飲み過ぎであり、それがなければ、火邪つまり、熱、暑にやられています。特に夏の終わりのころです。
・自分が思っている以上に体は疲れていると考えてください。
・薬が飲み終わったとしても、胸部に少しでも痛みがあったり、違和感がある場合は上記のツボの施術を続けてください。
[注]
火邪:熱、暑で健康を損ねている状態
湿熱:過剰な「水」と「熱」が体の中で結ばれ充満することで、「気(生命エネルギー)」、「血」の働きを邪魔してる状態
3. 帯状疱疹後神経痛になった場合のツボ療法です。補助療法として手当てをしてください。
痛み、違和感がある神経に沿って、さらに背骨のところは縦に、シャープペンシルの先(芯を出していない状態)か爪楊枝の先でチクチクと刺激をします。1セット当たり5回ぐらい、一日2セットぐらい行います。
臀部に出来た帯状疱疹の場合、最も大きなリスクは帯状疱疹後座骨神経痛または排尿障害(排尿困難、尿閉等)の合併症です。いずれにせよ、発疹が出たら、即皮膚科にかかり抗ウイルス剤を服用することです。発疹は臀部の片側にそれこそ一面黒焦げ状態になります。塗り薬を朝夕塗るしかありません。
以下、自分で出来る対処法です。
排尿困難になった場合、「排尿習慣の見直し」、「膀胱反射区のお灸」を勧めます。
4. 排尿習慣の見直し
・ためて出すこと←排尿間隔を守ること:2時間(日中8回ペース)~4時間(日中4回ペース) →排尿間隔が短いと、排尿までの時間がかかる、勢いがない、途中で止まってしまう、残尿感があるといった症状が出やすい。
・トイレに行きたくなってもすぐには行かず、少しだけ我慢をする。最初は5分がまんをするところから始める。無理なくがまんができるようなら、さらに10分、15分と少しずつがまんする時間を延ばす。
・立ったまま、前かがみの姿勢を取らない。
・「今のうちに」、「念のため」、「とりあえず」トイレに行く⇒こういう出し方をしない。
・出すことを意図しないこと→自然に任せる、出すのは自律神経の役割→運動神経の役割ではない。
・自然に出るままに任せる。
・顔の力を抜く、口を開ける。
(参考文献)
・渋谷秋彦(2014、2018)『気持ちいいオシッコのすすめ』現代書林.
・関口由紀(2018)『自分で治す頻尿・尿漏れ』洋泉社.
5. 「膀胱」の反射区へのお灸
足の膀胱の反射区へのお灸を勧めます。
・右図「膀胱」 の反射区 (内踝の下、土踏まずのアーチ状の(踵骨、舟状骨、第一楔状骨にまたがる)エリア)
・お灸をする。左右それぞれ3箇所に一度に火をつける。
・熱くなるまで壮数を重ねる。
・さらに排尿障害の効く腎経のツボ「水泉」にピップエレキバンを貼る。
「水泉」:足内側、「太渓(内踝の後方、アキレス腱の前のくぼみ)」の直下、親指幅下
・夜寝るときに膀胱を冷やさないように下腹部にタオルを当てる。