《全般の症状》
⇒ 手少陽三焦経、手少陰心経と合わせると効果が上がる
(注)
経絡学説では「心包」は次のように定義されている。
『心の外衛であり、心臓を保護する、心の命令を執行する(「中国漢方医学概論」59ページより) 』
補足すると
当サイトは、心包経は全身の脈管系、特に血管系を司ると定義している。精神の安定化については手少陰心経とともにこの経絡を用いる。臓腑ではないが、血管系を通して心身を管理する仕組みを「心包」と名付けたと解釈している。臨床上、この解釈が当てはまるケースが多い。
《流注》 るちゅう
胸中で足少陰腎経の脈気を受けて起こり、心包に属し、横隔膜を下って上脘、中脘、陰交の部で三焦をまとう。その支なるものは、胸をめぐって腋窩に出て、上腕内側の肺経と心経の間を行き、肘関節(曲沢)に入る。前腕内側の中央を行き掌中(労宮)に入り、中指の端(中衝)に出る。その支なるものは、掌中より別れて薬指の端(関衝)に出て手の少陽三焦経に連なる。
(注1) 青い太字部分にツボが配置される
(注2) 暗赤色の太字部分は見落とされがちなルート
《曲沢》 きょくたく
[部位] 肘前部、肘窩横紋上、上腕二頭筋腱の尺側の陥凹部
[字義] 曲は曲がる、沢は水をたたえるところ、くぼみ→肘のあたりのくぼみ
[適応症] 腕の痛み
: リンパを流す、手根管症候群
《郄門》 げきもん
[部位] 腕関節掌側横紋の正中から肘に向け指5本→腕関節と肘関節間の中央より、指1本手首側
[字義] 郄はすき間→前腕にある筋の割れ目or 橈骨と尺骨の間の骨のすき間
[適応症] 心包経の郄穴(注参照)→不整脈/動悸の名穴、必須のツボ
: 狭心症、不整脈/動悸、心機能向上、リンパを流す(手)、弾発指、手根管症候群、夏を乗り切る、
肘の痛み、肩こり、肝機能向上、首~背中の痛み
(注) 郄穴(げきけつ、げっけつ):各経絡に1つずつ、急性症状は郄で取る
《間使》 かんし
[部位] 腕関節掌側横紋の正中から肘に向け指4本
[字義] 間は橈骨と尺骨の間の骨のすき間、使はしたがう(「心」の指令に従う)
[適応症] 不整脈/動悸、便秘の特効穴(支溝(手少陽三焦経)とともに使う)
: 心機能向上、不整脈/動悸、便秘、手根管症候群、リンパを流す(手)、肝機能向上、鎮静作用、首~背中の痛み、肩こり
《内関》 ないかん
[部位] 腕関節掌側横紋の正中から肘に向け指2本
[字義] 橈骨と尺骨の間、内側にある出入り口
[適応症] 自律神経の安定、不安や動揺を調和させる→幅広い用途を持つツボ
: 不整脈/動悸、狭心症、低血圧、めまい、脳卒中予防、脳卒中後遺症、脂質異常症、甲状腺異常、乗り物酔い、胃痛、逆流性食道炎、口内炎、心機能向上、脾機能向上、肝機能向上、養生、リンパを流す(手)、手根管症候群、肘の痛み、気象病、熱中症、夏を乗り切る、チック症、不眠症、自律神経を整える、心の疲れ、慢性疲労、鎮静作用、物忘れ、首~背中の痛み、肩こり
《大陵》 だいりょう
[部位] 腕関節掌側横紋の正中にとる、多少橈側
[字義] 陵は丘→手首で腱が高い丘のようになっているところ
[適応症] 不安、緊張の神経過敏状態をなくす、心包経の原穴(注参照)
: リンパを流す、不整脈/動悸、心機能向上、手根管症候群、肘の痛み、肝機能向上、首~背中の痛み、肩こり
(注)原穴:六臓六腑に1つずつ、臓腑の気がもっとも現われる、臓腑の気を補う最も重要な経穴
《労宮》 ろうきゅう
[部位] 中指、薬指を折り曲げて双方の先端の当たるところの中間
[字義] 労は疲れる、宮は住居→疲れが出るところ、疲労の館
[適応症] 労による疲れを癒やす
: 自律神経を整える、養生、手根管症候群、心機能向上、不眠症、リンパを流す(手)、肝機能向上、不整脈/動悸、気象病、疲労感、肘の痛み、首~肩の痛み
《中衝》 ちゅうしょう
[部位] 中指の橈側端爪体の角を去ること2mm
[字義] 中指の突き当たり
[適応症] 急な激しい動悸を治すツボ(手少陰心経「少衝」とともに使う)→通常は他の井穴と合わせて使用する→応用範囲が広くなる
: 動悸、肌荒れ、眠気覚まし、高血圧、心機能向上、自律神経を整える、夏を乗り切る、ヘバーデン結節、血管の養生、脂漏性皮膚炎(ニキビダニ)、脳卒中予防、風邪(喉の痛み)、養生(特に血圧の安定)、肺炎予防(免疫力の強化)、美容
(注)井穴:各指の爪の生え際にあるツボ(湧泉を除く)、手には6箇所
《他の経絡上の心に関連する重要な経穴》
(注)募穴:六臓六腑に1つずつ、臓腑の異常を見る、臓腑の治療点、臓腑との結びつきが強い