《全般の症状》
⇒ 手厥陰心包経、足少陽胆経と合わせると効果が上がる
(注)
● 経絡学説では「三焦」は次のように定義されている。
『五臓の中で水の代謝に深く関わっているのは、肺・脾・腎である。身体の上、・中・下でそれぞれ水を管理している臓がそれぞれ働いており、多くの臓腑の協同作用により水の代謝が行われている。この通路の働きをしているのが三焦である(「中医学の仕組みがわかる基礎講義」86ページ)より』
『三焦は臓腑の外衛で、人体の気化と水道の疎通を司る』
『三焦は名前ありて形なし』
● 当サイトは、三焦経は全身の組織液を含めたリンパ系と定義している。
《流注》 るちゅう
手の薬指の端(関衝)に起こり、手背より前腕背側の中央を上って、肘を貫き肘後(天井)に出て上腕後外側をめぐり肩に上る。肩井で足の少陽胆経と交わり、鎖骨上窩(缺盆)に入り、下って膻中で左右が交わったのち、散布して心包をまとい、横隔膜を下って三焦に属する。その支なるものは、膻中から鎖骨上窩(缺盆)に出て、項を上って耳の後(翳風)に達し、一つは耳の上(角孫)から額角に出て内眥(ないし、目頭のこと)から頬に行き、別の支なるものは、翳風から耳中に入り耳前に出て、頬を経て外眼角のあたりに終わり、足の少陽胆経に連なる。
(注1) 青い太字部分にツボが配置される
(注2) 暗赤色の太字部分は見落とされがちなルート
《関衝》 かんしょう
[部位] 薬指の尺側端爪体の角を去ること2mm
[字義] 関は関所、衝は要衝、先端、末端→気血の出る末端の要衝
[適応症] 小指から薬指にかけてのしびれ、冷え、痛み→通常は他の井穴と合わせて使用する→応用範囲が広くなる
: 動悸、肌荒れ、眠気覚まし、高血圧、心機能向上、自律神経を整える、夏を乗り切る、ヘバーデン結節、血管の養生、脂漏性皮膚炎(ニキビダニ)、脳卒中予防、風邪(喉の痛み)、養生(特に血圧の安定)、肺炎予防(免疫力の強化)、美容
(注)井穴:各指の爪の生え際にあるツボ(湧泉を除く)、手には6箇所
《液門》 えきもん
[部位] 手背、薬指と小指の間、水かきの近位陥凹部
[字義] 水の出入りするツボ
[適応症] めまい、耳鳴り
: 肘の痛み、ドライアイ、ガングリオン、五十肩
《中渚》 ちゅうしょ
[部位] 第四、第五の中手指節関節の後ろ、陥みの間にある
[字義] 渚は水際、第四、第五の中手指節関節の後ろのくぼみを渚に例えている→げんこつにすると中手指節関節の後ろのくぼみが顕著になり、渚のようになる
[適応症] 耳まわりの疾患、上肢の痛み
: 肘の痛み、ガングリオン、めまい、耳鳴り、五十肩、リンパを流す
《陽池》 ようち
[部位] 腕関節背面中央で総指伸筋腱と小指伸筋腱の陥中にとる
[字義] 陽は背部、池はくぼみ→総指伸筋腱の尺側陥凹部
[適応症] 手関節の障害、三焦経の原穴(注参照)
(注)原穴:六臓六腑に1つずつ、臓腑の気がもっとも現われる、臓腑の気を補う最も重要な経穴
: 抜け毛、美容、低血圧、リンパを流す、
《外関》 がいかん
[部位] 腕関節背側横紋の中心(やや小指側)から上方指2本、橈骨と尺骨の骨陥
[字義] 橈骨と尺骨の間、外側にある出入り口
[適応症] 風熱を除く名穴中の名穴
: 五十肩、めまい、リンパを流す(手)、首の痛み、座骨神経痛、首~背中の痛み、認知症、肘の痛み、肩こり、風邪、関節リウマチ、
《支溝》 しこう
[部位] 前腕後面、腕関節から指4本離れたところの中央
[字義] 支は支える、溝は総指伸筋腱と小指伸筋腱の間にある
[適応症] 耳漏、難聴、慢性の便秘の必須穴
: 便秘、首の痛み
《会宗》 えそう
[部位] 前腕後面、腕関節から指4本離れたところの尺骨の橈側縁
[字義] 会は出会う、宗は集まる→気血の多く集まるところ
[適応症] 側頭部の痛み(三焦経の郄穴)
: 頭痛、肘の痛み、首の痛み
(注) 郄穴(げきけつ、げっけつ):各経絡に1つずつ、急性症状は郄で取る
《肩髎》 けんりょう
[部位] 肩峰の後下部、肩甲棘外端の下際
[字義] 髎はくぼみ→肩のくぼみ
[適応症] 上肢痛
: 五十肩
《天髎》 てんりょう
[部位] 肩井の斜め内側後ろ親指幅1本
[字義] 天は肩甲骨上部、髎はくぼみ→肘のあたりのくぼみ
[適応症] 肩こりの必須穴(「肩井(胆経)」とともに使う)
: 頭痛、疲労感、肩こり、首~背中の痛み、心の疲れ
《翳風》 えいふう
[部位] 耳垂後方、乳様突起下端前方の陥凹部
[字義] 翳は羽毛でできた扇子、風は音
[適応症] 耳に関する症状全般(「瘈脈」、「顱息」とともに使う)
: 難聴、めまい、ドライマウス、気象病、耳鳴り、自律神経を整える、歯の養生、リンパを流す、
嚥下困難、逆流性食道炎、口臭
《耳門》 じもん
[部位] 耳珠の上切痕前陥中
[字義] 耳孔の前にある
[適応症] 難聴、耳鳴りの必須穴→「聴宮(小腸経)」、「聴会(胆経)」とともに使う
: 難聴、気象病、耳鳴り、自律神経を整える
《和髎》 わりょう
[部位] もみあげの後方、耳介の付け根の前方
[字義] 和は平(たいら)か、髎はくぼみ→側頭窩のゆるやかなくぼみ
[適応症] 目の疲れ
: 目の疲れ、糖尿病
《絲竹空》 しちくくう
[部位] 眉毛外端の陥中
[字義] 絲竹は細い竹、空はくぼみ→眉の外端のくぼみ
[適応症] 目の疲れ
: 目の疲れ、白内障、飛蚊症、美容、糖尿病
《他の経絡上の心に関連する重要な経穴》
(注)募穴:六臓六腑に1つずつ、臓腑の異常を見る、臓腑の治療点、臓腑との結びつきが強い