ここでは特に中高年になってからの熱中症対策について記述します。熱中症になる直接の原因、例えば水分摂取が少ないこと等があるわけですが、東洋医学の観点から見ると体質が陰虚、体の潤いが不足し、且つ代謝が悪いという状態になっているととらえます。五臓の観点から見ると「腎」及び親子関係にある「肝」の虚です。そこで、「腎」、「肝」の経絡(ツボの経路)を使って体質的な改善を図ります。
なお、熱中症を予防する意味で「肝」が司る筋肉も重要で、筋肉を強化することで逆に「肝」の虚を補い、ひいては「腎」も補います。従って、男女問わず筋肉トレーニングも必須です。これについては「自分でできる運動療法」ページを参照してください。
1. 緊急対応のツボです。
①右図「水溝」 (鼻の下の溝の中点または上1/3)
「人中」とも呼ばれ、古来覚醒させるための有名なツボです。爪で切るように押さえます。
②右図「中衝」 (中指の橈側端爪体の角を去ること2mm弱)
爪で強く押してください。
③右図「内関」 (腕関節掌側横紋の正中から肘に向け指2本)
吐き気、めまいへの対応です。
④右図「沢田流神門」 (手首の小指側の真横、骨と骨の間)
心熱、心火を冷まします。もう一方の手の親指で強めに押します。
2. 「腎」、「肝」の虚を補います。
①右図「湧泉」 (五指を屈し足底中央の最も隅なるところ)
「副腎ゾーン」 (「湧泉」の真下)
②右図「三陰交」 (内踝の直上指4本、脛骨の後縁)
「三陰交」は「腎」、「肝」、「脾」の経絡が交わります。
「復溜」(内踝の上指3本アキレス腱の前縁)
腎の陽を強化する名穴です。
③右図「行間」 こうかん (足背、第一、第二足指間、みずかきの近位、赤白肉際)
肝の経絡の熱を取るツボ「滎穴」と呼ばれ、頭痛、めまい、不眠、怒りっぽい、イライラ等肝の経絡の症状があらわれる名穴です。
「太衝」 (第一、第二中足間を圧上して指の止まるところ)
肝の経絡の異常の有無がもっともよくあらわれる「原穴」という重要なツボです。