白い痰が慢性的に出るという場合のツボ療法です。
東洋医学においては、気、血と並んで水(津液ともいう)は人が活動するうえで重要な要素ととらえています。不足することなく、多すぎることなく、よどむことなく、滞ることなく流れていることを良しとします。水は滞りが出ると「湿」となり、さらにひどくなると「痰」となります。痰が希薄で白い場合は肺(、咽喉、気道)の機能が失調しており、量が多くなるにつれ脾(、胃)の症状も出てきます。さらに進むと腎にも影響を与え、体質的に「痰湿」、「湿熱」となります。
外的な要因として、「寒」、「湿」の変化が挙げられます。
100%の改善は困難ですが、症状を緩和することはできます。長期間の対応が必要です。
1. 白い痰の特効穴です。症状を緩和します。
右図「尺沢」 しゃくたく (肘前部、肘窩横紋上、上腕二頭筋腱外方の陥凹部)
15~20秒長押しします。2セット押してください。
2. 首から肩甲骨の高さで脊椎近くのツボ及び膀胱経の経絡のツボを使います。
①第五頸椎から第七頸椎までの棘突起の下縁(椎骨間のくぼみ)の指1本弱外側を探り、強い痛みを発する箇所を3~5回程度押します。症状が軽くなるにつれて痛みが和らいできます。
第七頸椎棘突起下のくぼみの指一本弱外側は「定喘」というツボの名前が付いています。
「定喘」 ていぜん (第七頸椎棘突起下のくぼみから外側指1本弱)
②肩甲骨の高さの膀胱経の経絡を押します。特に「大杼」、「風門」、「肺兪」、「膈兪」が重点ツボです。
強い痛みを発する箇所をじっくり押します。症状が軽くなるにつれて痛みが和らいできます。
「大杼」 だいじょ (第一、第二胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本)
「風門」 (第二、第三胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本)
「肺兪」 (第三、第四胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本)
「肺兪」は左右の肩甲棘突起内端を結んだ線上を目安にしてください。
「厥陰兪」 けついんゆ (第四、第五胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本)
「心兪」 (第五、第六胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本)
「督兪」 (第六、第七胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本)
「膈兪」 (第七、第八胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本)
「膈兪」は左右の肩甲骨下縁を結んだ線上を目安にしてください。
③さらに背兪穴の指2本横の膀胱経を押します。特に「附分」、「魄戸」が重点ツボです。
「附分」 ふぶん (第二、第三胸椎棘突起間脊柱の傍、指4本)
「魄戸」 はっこ (第三、第四胸椎棘突起間脊柱の傍、指4本)
左右の肩甲棘突起内端を結んだ線上で肋骨の間を目安にしてください。
「膏肓」 こうこう (第四、第五胸椎棘突起間脊柱の傍、指4本、肩甲骨内縁、最も強い響きのあるところ)
重要なツボです。「魄戸」から「膈関」まで肋骨を一本ずつ下がります。
「神堂」 (第五、第六胸椎棘突起間脊柱の傍、指4本)
「譩譆」 いき (第六、第七胸椎棘突起間脊柱の傍、指4本)
「膈関」 (第七、第八胸椎棘突起間脊柱の傍、指4本)
3. 喉のツボを使います。
右図「天突」(胸骨脛切痕の上縁陥中)
人指し指を曲げてかぎ状にして下にやさしく押し込みます。強く押したり、垂直に押さないでください。一日何回か押してください。
4. 風邪気味とか体調が落ちたときに症状が悪化することがあります。そのときの体調の戻し方です。
右図の気管支ゾーンを探ってみてください。圧痛または硬結(例:橙色の丸)が見つかったら念入りに押し揉みます。1週間ぐらいで症状の悪化はおさまります。
「気管支ゾーン」 (第一中足骨と第二中足骨の間)
「肺ゾーン」 (足の甲の足背、足底の第一中足骨から第五中足骨までの骨間)
第一中足骨と第二中足骨の間は「肺ゾーン」と「気管支ゾーン」が重なっています。