筋トレを行う上での留意点

健康維持、増進のために有酸素運動、ストレッチ(動的、静的)と併行して筋トレを定期的に行っている人向けに、参考文献や自分の経験を元に筋トレをする上での留意点をまとめました。

 

留意点の狙いは次の通りです。

  • 何十年にもわたって続けられること。よく、スポーツジムで筋トレを1年以上続けられる割合は4%以下とネット上や雑誌で言われています。
  • けがをしないこと
  • 達成感が得られること
  • 同じ基準で回数、負荷を記録し、レビューができること→少なくとも数年前と比較して、自分のパワーがどうなっているのかがわかること

 

それでは、筋トレを行う上での留意点です。

  • 筋トレにはパワーを維持するだけのメリットにとどまらない。週2回以上の筋トレはがんの死亡率を3割減少させ、全ての病気による死亡率を2割減少させる。
  • 低強度トレーニングでも、「総負荷量(次項参照)」を高めることで高強度トレーニングと同等の筋肥大に効果が期待できる。
  • 総負荷量は、トレーニングの強度(重量)×回数×セット数によって決まる。
  • 筋肥大の効果=総負荷量(強度×回数×セット数)×セット間の休憩時間×関節を動かす範囲×筋収縮の様式(ポジティブ動作、ネガティブ動作→詳細後述)×週の頻度
  • トレーニング経験者が行うような高強度のトレーニングでは、セット間の休憩を長くすることで総負荷量を増やせる可能性がある。
  • しかし、ジムでトレーニングをする場合は順番待ちなどもあり、長い休憩をはさむのは難しい。
  • そのような場合、トレーニング強度を下げ、回数を増やすことでセット間の休憩を短縮しても十分な総負荷量を維持できる。
  • トレーニング初心者が行うトレーニングでは、1~2分間程度の休憩時間で問題ない。
  • 筋肥大を目的としたトレーニングは、可動範囲がパーシャルレンジ(短い)よりフルレンジ(長い)の方が効果的である。
  • しかし、フルレンジは、筋損傷を誘発し、回復を遅らせる可能性も指摘されている。
  • けがのリスクを避けたいのなら、パーシャルレンジで行うか、フルレンジの手前で切り替えてみることも大切である。
  • 求心性収縮(筋肉の長さを短くする)をポジティブ動作、遠心性収縮(筋肉の長さを伸ばす)をネガティブ動作と呼ぶ。例えば、アームカールでダンベルを持ち上げたときがポジティブ動作、元に戻すときがネガティブ動作という。
  • このポジティブ動作とネガティブ動作を合わせた時間を運動スピードという。運動スピードが8秒以下であれば、早くても遅くても筋肥大の効果に大きな差はない。さらに、分析を続ける。
  • 新しい運動に取り組むと、最初はうまく出来なかったものが、繰り返し練習するうちに次第に上達する。これを「神経活動の適応」という。筋力増強の効果を長期的に得るためには、筋肥大とともに、筋力が強く発揮できるように神経活動を変化させ、適応させることがポイントになる。
  • 「神経活動の適応」を考慮に入れると6秒以下の運動スピードが筋力増強の効果を最大化させる。
  • ネガティブ動作はポジティブ動作に比較して、筋肥大にはやや高い効果があるものの有意な差はない。
  • 週単位の総負荷量が同じであれば、週の頻度は3回でも6回でも効果に変わりはない。
  • 筋トレ前の静的ストレッチはパフォーマンスを低下させる。
  • 動的なストレッチまたはトレーニング前にトレーニングと同じ運動を軽い強度で行う。

 

(参考文献)

・庵野拓将(2019)『科学的に正しい筋トレ-最強の教科書-』KADOKAWA .  

・谷口智一(2020)『10万人が注目!科学的に正しい人生を変える筋トレ』SBクリエイティブ .