肝機能を向上させる定番の反射区とツボです。
肝臓の役割は、腸で吸収されたさまざまな栄養素を代謝、貯蔵するほか、胆汁の生成や分泌及び解毒や排泄等、いわば化学工場、貯蔵庫にたとえられています。一方、東洋医学、五行思想からみると、肝には次のような働きがあるとしています。「全身の気血の流れをスムーズにする」、「血を貯蔵し、血量を調節する」、「外からのあなどりを防ぎ、対策を考慮し、病邪に抵抗する」、「筋肉を管理し、疲労を取る」、「怒り、いらいらを鎮め、情緒や精神状態を安定に保つ」、肝っ玉とよく言われますが「計画力や決断力をつける」、「目の機能を回復する」といった働きです。
次のような場合、要注意です。というよりも「肝」、「腎」ともに縁の下の力持ち、身体を支えている重要な臓器です。日頃からの養生が必須です。
・健康診断での肝機能の値、中性脂肪の値が高い
・イライラ、怒りっぽい
・頭痛、めまい、眼痛
・認知症の場合、妄想や徘徊
・冷え(特に手足)、低体温
次のような場合、肝が疲れ始めています。
・疲れやすい、肩がこる、頭がボーッとする
・なかなか始めないが、始めると止まらない。結局のところ全部は終わらない
1. まず、足の反射区です。
「肝臓ゾーン」 (右足裏にあり、第二中足骨より第五中足骨のほとんどをカバー)
このゾーンは右足のみです。足の裏側で外側(第四中足骨)4センチほど下にも圧痛を感じると思いますので、念入りに押してください。この箇所は外側に向けて押します。
「胆嚢反射区」(右足の甲及び裏の第三、第四中足骨間隙の基部(足首に近い部分))
胆嚢反射区は右の足のみで、足の甲側、裏側双方にあり、特に甲側に圧痛が出ます。右足の第三指と第四指の指の股から5センチほど下になります。
2. 足とおなかのツボです。
右図「行間」 こうかん (足背、第一、第二足指間、みずかきの近位、赤白肉際)
経絡の熱を取るツボ「滎穴」と呼ばれ、頭痛、めまい、不眠、怒りっぽい、イライラ等肝の経絡の症状があらわれる名穴です。
「太衝」 (第一、第二中足間を圧上して指の止まるところ)
肝の経絡の異常の有無がもっともよくあらわれる「原穴」という重要なツボです。
右図「期門」
このツボの取り方は二通りあります。
a1 (第6肋間、前正中線の指幅5本外方(乳頭中央の下方)
WHO(世界保健機関)で定義されている位置で、「巨闕」(胸骨体下端(肋骨弓が交差する部位)から指3本分下)というツボの指幅5本外方
a2 (第9肋軟骨付着部の下縁)
旧来定義されていた位置で、乳頭線上(正中線より指幅5本外方)で肋骨下縁(第9肋軟骨付着部にあたる)のやや内側のくぼみにとります。このくぼみはみぞおちから肋骨下縁を探っていくと2番目のくぼみになります。指を差し込み下の方にスライドします。
a1、a2の両方の反応を探り、反応のある方を選びます。
さらに、右肋骨下縁(オレンジ色の位置)に少し深めに指を入れ、下にスライドします。
4. 脂肪肝を予防するためには食事と有酸素運動及び筋肉トレーニングを合わせた形での運動による養生が必須です。筋肉トレーニングについては「自分でできる運動療法」または「運動による養生法」を参照してください。
(参考文献)
・篠原昭二(2014)『補完・代替医療鍼灸改訂2版』金芳堂.
・寺澤捷年(1990)『症例から学ぶ和漢診療学』医学書院.
・南京中医学院(1976)『中国漢方医学概論』中国漢方.