肺機能を向上させる反射区とツボです。
東洋医学の観点から肺の機能を見ると次の点が特徴的です。
・当たり前の機能ですが、まず呼吸です。綺麗な空気(清気)を吸い、不要な空気(濁気)を吐きます。生命を動かしているエネルギーを気と呼び、清気をその重要な要素としています。
・吸気に関しては腎が管理しているとしています。このことは年配になると実感します。加齢とともに吸息筋が衰え、呼吸が浅くなっていきます。
・肺は皮毛(皮膚やうぶ毛)をつかさどるとしています。肺と皮膚の関係は密です。肺が弱ると病にかかりやすくなります。アトピーや蕁麻疹も肺と関連しているといわれています。
・身体の水分代謝(尿や汗など)の調節管理をしているのは肺としています。
・ストレスがたまると「ため息」がでることあります。呼吸は非常にストレスと密接であるのがわかります。憂い、悲しみといった感情は肺と関連します。
本ページの肺機能向上の狙いは次の2点です。
・風邪、肺炎、インフルエンザ等呼吸系の疾患予防
・呼吸が浅くなることの防止
1. 足の甲の反射区を使って、肺の免疫力を強化します。一日1~2回両足に行ってください。1回あたり4~5分です。
肺を養生し、後天の気(呼吸による気)を十分に養い、代謝を促進します。
右図「肺ゾーン」 (足の甲の足背、足底の第一中足骨から第五中足骨までの骨間)
「気管支ゾーン」 (第一中足骨と第二中足骨の間)
第一中足骨と第二中足骨の間は「肺ゾーン」と「気管支ゾーン」が重なっています。
「上部(頭部~頸部)のリンパ」 (各々の趾間の根元にあり、丸いゾーン)
これらのゾーンを指で押し揉みます。特に甲側です。あまり強くこすると皮下出血を起こす可能性がありますので、注意してください。
2.吸気を楽にします。4つの方法を列記します。
①肋間筋を直接養生します。
各肋骨の間に指をゆっくりと深く入れ込み、その後内側または外側に向かって筋肉をはがすように引きます。少しずつ肋間を移動していきます。
少し吸息がつらいと感じたときに1日何度でも行います。筆者のお勧めの手法です。背中は手が届きにくいので届く範囲で結構です。
②首の筋肉の硬さを取ります。ベッドやふとんにあおむけになり、後頭部に力を入れて枕を押します。力を入れたまま5秒間、その姿勢を保ちます。力を入れた時、顎が上がらないように気をつけてください。これを朝晩ふとんの上で少なくとも5~6回行います。
日中も数回後頭部に支え手として手を当て後頭部を押しつけてください。
③胸鎖乳突筋の上、中、下を夾むようにして押します。
頸部のこわばりを取ることが目的です。顔を横にして胸鎖乳突筋を浮き出させて押します。よく効きます。
④立った姿勢で腕は下ろしておきます。まず、肩を後屈します。肩を後屈したまま、腕を挙げていきます。肘を伸ばしたまま、両手が重なるまで腕を挙げていきます。痛みがある場合はそこで止めます。そして、肩を後屈したまま下げます。この動作を10~15回繰り返します。腕を挙げるとき、鼻から息を吸います。下げるとき、鼻から息を吐きます。肩を後屈したまま動かすのがポイントです。肩を前屈したままの姿勢が生活習慣になっていることに気がつきましょう。
(参考文献)
・篠原昭二(2014)『補完・代替医療鍼灸改訂2版』金芳堂.
・本間生夫(2014)『心と体をラクにする呼吸スイッチ健康法』大泉書店.
・本間生夫(2018)『すべての不調は呼吸が原因』幻冬舎.