胃に器質的な疾患がなく、機能性の胃もたれ、胃痛、胸やけ、吐き気など心窩部の不快症状の対処です。
・ツボの紹介の前に、咀嚼のすすめです。一口最低30回程度は心がけてください。代謝を促進します。咀嚼の効用はそれのみではなく、下顎の開閉、唾液の分泌、舌で食べ物と唾液の混ぜ合わせ、大脳への刺激等、筋・骨・神経系を総動員します。中国古典の医学書によれば、咀嚼は長生きの大きな要素の一つとされています。以前、ある大学の学長がおっしゃっておられた「30回咀嚼のコツ」は、30回数えることではなく、飲み込む前にもう少し噛むということでした。
・姿勢も重要です。特に食事の時の猫背の姿勢は胃を圧迫します。背もたれを上手に使うなどして姿勢を正しくしてください。自覚症状が無くても、舌苔が厚くなってきたら要注意です。
・「体質とツボ」ページの「痰湿(水毒、水滞、痰飲)」の項目で紹介しましたが、胃内停水(胃がチャプチャプ)といった症状の場合、水の代謝がうまくコントロールされていない場合があります。その場合は、まず水を体外に排出することが先決です。体を冷やす冷たい飲み物を極力減らし、量も抑えるようにします。一日に排泄する尿量は1.5リットルと言われています。限度を超す飲み方は、体を冷やし、水分や毒を溜め、胃液を薄くし胃腸を弱らすといった悪循環に陥ります。
1. 定番のツボです。
右図「中脘」 (胸骨体下端(肋骨弓が交差する部位)から臍までの線の中央)
臍の中心から真上に指4本+1本のところに圧痛を探る方法が分かりやすいと思います。
「巨闕」 (胸骨体下端(肋骨弓が交差する部位)から指3本分下)
胸骨体下端は、みぞおち下から上方にさすると出っ張り(剣状突起)があり、その上のくぼみになります。
「中脘」、「巨闕」とも少し前かがみの姿勢または仰向けに寝て押します。または、ピップエレキバンを貼るかお灸(せんねん灸)を勧めます。
「梁門」 (「中脘」の両傍指3本)
「中脘」、「巨闕」で効かないときにこのツボを加えます。
これらのツボをカバーするように使い捨てカイロを貼っても結構です。
2. 急な痛みに有効です。
右図「梁丘」 (膝蓋骨外縁の上方指3本)
3. 手軽にできるツボです。
右図「胃腸点」 (手のひらの中央部と手首の付け根の中間点)
手首側より探ってみると、手の腹のふくらみを超えて少し平らになったあたりです。
「内関」 (腕関節掌側横紋の正中から肘に向け指2本)
「内関」は、自律神経の安定、不安や動揺の調和、胸部、心窩部の痛みや疾患に効く名穴です。お勧めのツボです。
「胃ゾーン(手)」 (手のひらの中央から中指の付け根)
胃のむかつき、胃痛にお勧めの高麗手指鍼のツボです。
4. 足の反射区で治す方法です。
右図「胃ゾーン」 (土踏まずの上、親指の付け根の下のふくらみ(拇指球)の下部)
「十二指腸ゾーン」(足裏第一中足骨の基部)
「噴門」 (左足裏第一中足骨と第二中足骨の間の下部、右図右側の丸で囲まれたところ)
「幽門」 (右足裏第一中足骨と第二中足骨の基部の間、右図左側の丸で囲まれたところ)
5. ムカムカ感をなくします。
右図右図「脾兪」 (第十一、第十二胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本)
背中から触れる第十二肋骨の先端を結んだ線より指5本上ぐらいの線で、脊柱より指2本のところを探ってください。圧痛があるはずです。力が入りにくいので他の人に押してもらってください。
「胃兪」 (第十二胸椎、第一腰椎棘突起間脊柱の傍、指2本)
「脾兪」、「胃兪」の見つけ方です。
ウエストラインあたりに浮いている肋骨があります。それが第12肋骨です。その先端の線より指3本ぐらい上が「胃兪」の高さです。両手を下におろしたときの肘の高さになります。「胃兪」の高さより2本上が「脾兪」の高さです。それらの高さで脊柱から2本離れたところにあります。そのあたりで圧痛がある箇所を捉えてください。