脳卒中予防のツボ療法です。日常的に施術ができ、効果が高いツボを選びました。
留意点です。
・後遺症の施術は「脳卒中後遺症」ページを参照してください。
・脳卒中は生活習慣病で、「高血圧」、「脂質異常症(特に高脂血)」、「糖尿病」、「動脈硬化」等が大きな要因の一つと言われています。何らかのリスクがある方はそれぞれのページを参考にして日常的に施術を行ってください。
・主に生活習慣を起因とした東洋医学的な体質の見方から、「気滞」、「気逆」、「瘀血」、「湿熱」を改善する必要があります。「体質とツボ」ページを参照してください。
《豆知識》
・「予防に勝る治療なし」、脳卒中はまさにこれに尽きます。
・危険因子を改めないと何度でも再発します。
・危険因子:
「生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症)」、「心房細動(不整脈)」、「喫煙」、「多量飲酒」、「肥満」、「食べ過ぎ、運動不足」
(豆知識の参考文献)
・平野照之/監修(2019)『脳卒中の再発を防ぐ本』講談社.
1. 古来から伝わる「中風七穴の灸」及び血圧を安定させる有名なツボから次の4つを取り上げます。
①右図「風市」(大腿部外側、直立して腕を下垂し、手掌を大腿部につけたとき、中指の先端が当たる腸脛靱帯の後方部、圧痛点にとる)
中指でゆっくりと揉みほぐすようにしてください。腸脛靱帯はやや膝を屈し、大腿をやや内旋すると現れやすくなります。
②右図「曲池」(肘を十分屈曲して、肘窩横紋外端の陥凹部)
高血圧の名穴でもあります。初めは弱く、次第に強く外向きに、ひびきの感覚が拡散するように押します。
右図「合谷」 (第一、第二中手骨の基底部の前陥凹部にとる。やや人差し指側)
中風七穴ではありませんが、血圧安定には「曲池」とともに欠かせないツボです。
③右図「足三里」(膝の外側直下の小さなくぼみから指4本分下)
万能の名穴ですが、脳卒中の予防、治療穴としても有名です。
2. 中国で有名な「醒脳開竅法」(せいのうかいきょうほう、注参照)から次の2穴を選びます。
①右図「内関」 (腕関節掌側横紋の正中から肘に向け指2本)
肝気と血を整えます。
②右図「三陰交」 (内踝の直上指4本、脛骨の後縁)
気血をめぐらせ、血瘀を除きます。
[注]醒脳開竅法:
中国・天津の石学敏教授らが脳血管障害に対し独自に開発した鍼灸療法
3. 頭のツボです。上にこもりがちな気を下ろします。
①右図「百会」 (頭部正中線と左右の耳尖を結んだ線の交叉部)
髪の生え際から指幅7本上か7本弱(女性は6本上)で少しくぼんでいるところを探ります。
「四神聡」 ししんそう (百会の前後左右親指の幅1本)
「神」は精神の意味、「聡」は聡明の意味で、精神状態を落ち着かせることができ、自律神経のバランスが是正され、頭の感じをスッキリさせる効果があるツボです。百会の後のツボは単独で「防老」と呼ばれるツボです。
「前頂」 (「百会」の指2本前)
「後頂」 (「百会」の指2本後)
②次に右図督脈(頭の正中線)、膀胱経(頭の正中線から指二本横)、胆経(前頭部眉毛中央を上がった線及びその外側の線)という経絡(ツボの経路)を前髪際指2本下から後方に少しずつ上がっていきます。
特に督脈、前髪際指2本下から前髪際までの線(正中線から外側に向けて額中線、額旁Ⅰ線、額旁Ⅱ線、額旁Ⅲ線)を念入りに押してください。脳活性化を狙います。
頭部の押し方には二つあります。
・ひとつは頭皮揉搓法です。人差し指、中指、薬指の腹で軽く押して前後にゆらしながら進みます。くぼみがあればそこをすこし揉捻します。表面を揺らしますと髪が引っ張られますので注意してください。高齢者、体力が弱っている方向けです。
・もうひとつは親指での指圧です。自分でやる場合は中指を使います。経絡に沿って指2本ずつぐらい離して押していきます。押したら3~5秒キープします。できれば、「頭のツボ図解」ページを参照し、督脈、頭頂部の膀胱経、胆経の個々のツボの位置を意識してください。
③次に右図側頭部の2本の線を押していきます。頭鍼で使用する頂顳前斜線と頂顳後斜線という線です。コツは上述と同じです。
頂顳前斜線:「懸釐」(もみあげを上にたどり、眉の高さより少し上)~「前頂」 (「百会」の指2本前)の線
運動機能の活性化を狙います。
頂顳後斜線:「曲鬢」(もみあげ後縁の垂線と耳尖の水平線の交点)~「百会」(頭部正中線と左右の耳尖を結んだ線の交叉部)の線
感覚機能の活性化を狙います。
(豆知識)
「頭鍼」は「頭皮鍼」ともいい、WHOが定めた刺激区域4区14線は頭皮上に大脳皮質の「機能局在」をそのまま投影している。
4. 高血圧の方は、次のツボを日常的に押すことを勧めます。一日何回でも結構です。
各指の爪の生え際(爪体の角から2mm弱)の6か所、「少商」、「商陽」、「中衝」、「関衝」、「少衝」、「少沢」を爪で押します。内側から「内」、「内」、「内」、「外」、「内」、「外」と覚えるとよいと思います。これらのツボは井穴と呼ばれています。