腎機能向上

西洋医学における腎臓は、血液からの老廃物や余分な水分の濾過及び排出を行って尿を生成するという機能を持っているとされていますが、東洋医学ではそれに加えて成長・発育・老化において主導的な機能を持つとされています。

 

東洋医学では腎の働きを次の通りとしています。

「五臓六腑の精を蔵する、生殖方面の精を蔵する」、「生長発育を促進させる」、「命門の火(生命の根本)をつかさどる」、「骨髄をつかさどる」、「耳と二陰に開孔する(耳や尿道、生殖器官、肛門の機能を維持する)」、「全身の水液を管理する」、「親から受け継いだ生命エネルギーの根本を蔵する」、「吸(息)をつかさどる」としているのが特徴です。

 

ここで「命門の火(生命の根本)」、「親から受け継いだ生命エネルギー(先天の気)」という語句が出てきますが、これは増えることはありません。加齢とともに減っていき、消費するのみです。

 

加齢とともに出るくる衰えを防ぐことが狙いとなるなるわけですが、最も注意してもらいたいのは次の点です。

 

・健康診断の腎機能の数値

・高血圧→末梢血管の抵抗性の改善

・骨密度、バランス、下半身の脆弱性→転倒、骨折防止

・冷え→生活習慣病の予防

・「気力が落ちる、長続きしない、おそれやくじけそうになる、落ち込み」といった状態や心の動き

・呼吸困難(特に吸息)

 

《豆知識》

・大災害時の大きな精神的ショックは複数の臓腑に影響を与える。

・特に非常に大きな恐怖を体験すると、一気に老化が進み、白髪化し、記憶力が低下する、意欲がなくなる、尿や排便の調子が悪くなるなど、腎に関連した症状が出やすくなる。

・大きなストレスは、肝にも影響を与える。自律神経系の機能障害が起こり、精神的にも落ち着きがなくなり、イライラしやすく、入眠が困難となる、また、血圧の上昇や排便にも影響を与えることとなる。

・精神的な影響は心に影響を与える。漠然とした不安感が続き、精神状態が不安定となり、物事にも敏感になる、そして夜間の中途覚醒が多くなり、動悸を伴うようになってくる。

・大きなストレス時には「肝・腎・心」がKeyとなる。

 

(豆知識の参考文献)

・岩田健太郎(著、監修)、岩崎鋼(著)、髙山真(著)(2017)『高齢者のための漢方診療』丸善出版.

 

1. まず、左右の足裏への治療です。

指圧棒を使い、強めに押してください。

右図湧泉」(五指を屈し足底中央の最もくぼんだところ)

副腎」の反射区 (湧泉の下のエリア)

腎臓」の反射区 (副腎の下のエリア、足裏の第二、第三中足骨の近位端でリスフラン関節線の上)

「輸尿管」の反射区 (「腎臓」、「膀胱」を結んだ線)

「膀胱」の反射区 (内踝の下、土踏まずのアーチ状の(踵骨、船状骨、第一楔状骨にまたがる)エリア)

特に「湧泉」、「副腎」、「腎臓」は丁寧に押してください。

 

2. 定番のツボです。

右図「腎兪」 (第二、第三腰椎棘突起間脊柱の傍、指2本)

背中から触れる第十二肋骨の先端を結んだ線になります。

志室」 (腎兪の傍、指2本)

押し方としては次の方法がお勧めです。

仰向けに寝て、小さなボールを2個タオルに巻いて腰に当てます。小さなボールとしてバウンドボール(直径56mm)がお勧めです。

右図「復溜」(内踝の上指3本アキレス腱の前縁)

腎を活性化する最適のツボの一つです。

太渓」 (内踝の後方、アキレス腱の前のくぼみ)

3. 手軽にできる手のツボです。

右図「腎臓」 (手のひら、第二、第三中手骨間の中央、「副腎」の下)

「副腎」 (手のひら、第二、第三の中手指節関節の近位陥凹部)

知能線の下部になります。

 

4. 手の井穴のツボです。

各指の爪の生え際(爪体の角から2mm弱)の6か所、「少商」、「商陽」、「中衝」、「関衝」、「少衝」、「小沢」を刺激します。内側から「内」、「内」、「内」、「外」、「内」、「外」と覚えるとよいと思います。これらのツボは井穴と呼ばれ、急性の熱疾患や急を要する病態、精神疾患に良いと言われていますが、ここではからだ全体の冷えの改善、認知症予防、自律神経の調整、血圧の安定が狙いです。ツボは左側の図の○印に位置し、赤線のところを親指の爪の先端を使って断ち切るように押すか、チクチクと数回押します。一日何回でも押してください。

 

5下腹部と仙骨部分を使い捨てカイロで温めてください。

最低、下腹部だけでも毎日温めてください。低温やけどには注意をしてください。腹巻きでも結構です。気持ちも和らぎます。お勧めします。

 

6. 食事と有酸素運動及び筋肉トレーニングを合わせた形での運動による養生が必須です。筋肉トレーニングについては「自分でできる運動療法」または「運動による養生法」を参照してください。

 

(参考文献)

・篠原昭二(2014)『補完・代替医療鍼灸改訂2版』金芳堂.

・寺澤捷年(1990)『症例から学ぶ和漢診療学』医学書院.

・南京中医学院(1976)『中国漢方医学概論』中国漢方.

・大村恵昭(2015)『「手の刺激」健康・長寿術』マキノ出版.