膝痛

膝は日常的に使わざるを得ず、膝痛の緩解は容易ではありません。

しかし、気長に毎日手当てをしていけば、痛みは和らぐか、無くなります。

 

1. 手軽にできる手法です。急性の場合に有効です。

①右図の青い線上の痛いところを指圧棒か親指で刺激を与えます。反射療法では、足の外踝から四指をそろえた幅の高さで腓骨上のところですが、時として、外踝の直上の場合もありますから、線上で痛いところを探ってください。ピップエレキバンを貼ることも有効です。慢性の場合は、右図の外踝の下の踵のふちをもんでください。踵のほうから指側に向けて押し揉みます。立法骨と踵骨の下側の扇形のところ(右図点線内)も探ってください。こちらのほうに圧痛があれば、重点的に押し揉んでください。

  

②膝の内側に痛みがある場合、右図の足の内踝より指4本上で脛骨上、特に前寄り、さらにその下も探ってみてください。ここに圧痛があれば押し揉んでください。

2. 慢性、急性問わず膝痛に効果のある足のツボです。

まず膝の周りのツボです。膝の痛みには定評のあるツボです。但し、膝が腫れて、痛いときは触らないでください。

最もお勧めのツボですどのような膝の痛みにでも手当てをする必須の基本のツボです

右図「犢鼻(外膝眼)」 とくび(がいしつがん) (膝の前面で膝の下にできるくぼみの外側)、「内膝眼」 ないしつがん (膝の前面で膝の下にできるくぼみの内側)

ピップエレキバンを貼ってください。お灸もお勧めです。1壮から2壮です。熱い場合はすぐ取り除くことがコツです。水疱になることを防ぐためです。 

②膝の前面や外側の痛みの場合のツボです。

右図「陽陵泉」 (腓骨小頭(膝の外側、斜め下の小さな骨)の前下際)

筋肉の疾患には絶対欠かせないツボです。
「足三里」 (膝の外側直下の小さなくぼみから指4本分下)

   

右図 「委中」 (膝窩横紋の正中)

膝を曲げて膝窩横紋の正中を、指を横に動かしながら硬いところを探ります。さらに周囲の硬いところも探ります。その硬いところを揉みほぐします。膝の後ろ側は多くの神経や血管が走っています。循環を改善します。

「委陽」 (膝後外端、大腿二頭筋腱の内側、膝下横紋上)

「委中」の外側になります。このツボも周囲の硬いところも含めて探り、揉みほぐします。加齢に伴う膝痛に有効です。

いずれも膝のだるさに有効です。

 

③膝の内側の痛みに有効です。

右図「血海」 (大腿骨内側膝蓋骨内上角の上方指3本)

「陰陵泉」 (脛骨内側踝の下縁の陥中)

脛骨内側を膝に向かって擦上すると骨の湾曲部に至って止まるところにとります。 「血海」は下半身の血液循環の促進、「陰陵泉」は下半身の水分の滞留を除く名穴です。

 

それでも何かの拍子に痛みが出る場合があります。そのときは痛む箇所を覚えておいてピップエレキバンを貼るかお灸(せんねん灸)をします。図の点線で囲ったエリアが多いと思います内側が痛い場合、長引きます。お灸は熱くなるまで壮数を重ねて下さい。

 

④膝の上の痛みに有効です。

右図「鶴頂」 (膝関節前面で膝蓋骨上縁の中央)

3. かなり良くなってきているものの、ある動きをした時、またある姿勢をした時に膝の痛みまたはこわばりが残っている場合があります。その場合の対処法です。治療後に残る動作時の痛みは、鍼灸では「経筋」の病といわれています。この場合、痛みやこわばりのあるところを流れている経絡(ツボの経路)の熱を取るツボ「滎穴」、関節の痛みを取るツボ「兪穴」と呼ばれているツボが有効です。ピップエレキバンを貼るか、せんねん灸をします。

①前面や外側に残る痛みの場合です。

右図「内庭」 (足背、第二、第三足指間、みずかきの後縁、赤白肉際(第二、第三中足指節関節の前、外側陥凹部))

「陥谷」 (足背、第二、第三中足骨間、第二中足指節関節の近位陥凹部)

 

「内庭」、「陥谷」で効かない場合は次の「外内庭」、「外陥谷」を追加してください。篠原昭二先生が勧めているツボです。

「外内庭」 (足背、第三、第四足指間、みずかきの後縁、赤白肉際)

「外陥谷」 (足背、第三、第四中足骨間、第三中足指節関節の近位陥凹部)

 

それでも効かない場合は次のツボを加えてください。

「侠𧮾」 (足背、第四、第五足指間、みずかきの近位、赤白肉際)

「足臨泣」 (第四、第五中足骨接合部の前、足の薬指と小指の間を押し上げて止まるところ)

 

②内側に残る痛みの場合です。

右図「大都」 (足の母指内側第一中足指節関節の前陥中)

「太白」 (足内側、第一中足指節関節の近位陥凹部、赤白肉際)

「公孫」 (足内側、第一中足骨底の前下方、赤白肉際)

「公孫」は滎穴、兪穴ではありませんが、有効です。 

 

次のツボも有効です。特にイライラが伴っている場合です。

右図「行間」 (足背、第一、第二足指間、みずかきの近位、赤白肉際)   

「太衝」 (第一、第二中足間を圧上して指の止まるところ)

4. 慢性的な膝の痛みを取るためには、膝を支える筋肉や腱の疲労回復、柔軟性の向上、こわばりの除去、筋力低下の改善が必須です。これらに対処するためのツボ療法です。対象となる筋肉や腱は大腿四頭筋(大腿直筋・外側広筋・中間広筋・内側広筋)、下腿三頭筋(腓腹筋・ひらめ筋)、アキレス腱、前脛骨筋です。

 

具体的な手法として

・下の説明に各筋肉の役割を記述しました。その動作に支障がある筋肉を特定してください。もし、片方の足だけの膝痛でしたら、各筋肉の硬さ、圧痛、動きの左右差を調べ、支障のある筋肉を特定してください。

・対象となる筋肉を走行している経絡を施術します。その際、対象の筋肉や骨を意識します。

・手技としては、指または爪をゆっくり深く入れ込み、その後筋肉を引きはがすように指または爪をずらします。下の文章では「引きはがす」と表現しています。

 ・頻繁にやる必要はありませんが、時々使い捨てカイロで次の4箇所を温めてください。一度に全部温める必要はありません。1枚の使い捨てカイロを30分~1時間毎に移動します。

 

①大腿四頭筋

役割としては主に膝関節の伸展に関与し、歩く動作や走る動作等多くの日常生活動作に関与します。筋力が低下すると常に膝が曲がった状態になります。

右図の2ライン(足陽明胃経、足太陰脾経)を押します。それぞれのラインを左右に切り分けるように引きはがします。このラインはほぼ大腿直筋の両サイドになります。左右に内側広筋、外側広筋があります。

 

・「犢鼻」(外膝眼(膝の前面で膝の下にできるくぼみの外側))~「梁丘」(膝蓋骨外上角の上方指3本)~「伏兎」(膝蓋骨外上角から手関節~中指尖までの長さのところ)

 

・「内膝眼」(膝の前面で膝の下にできるくぼみの内側)~「血海(大腿骨内側膝蓋骨内上角の上方指3本)~(膝蓋骨内上角から手関節~中指尖までの長さのところ)

 

膝の安定性のために、特に内側広筋に働きかける必要があります。

大腿部内側、膝の上部に力を入れると筋肉が盛り上がります。それが内側広筋です。ちなみにその前側が大腿直筋、内側広筋の後ろ側を斜めに走る筋肉が縫工筋です。

・内側広筋の下側(後ろ側)の縁に指を入れ、上側(前側)に引きはがします。

②下腿三頭筋

役割としては主に足関節の底屈、膝関節の屈曲に関与し、日常的には姿勢保持、つま先立ちをするなどの動作に関与します。

 

下腿三頭筋(腓腹筋)の中央(足太陽膀胱経)を皮膚に垂直にゆっくり押していきます。

・「承筋」(「委中」(膝窩横紋の正中)より指4+3本下)~「承山」(膝裏の横筋(横紋)と外くるぶしの先端と同じ高さのアキレス腱を結んだ中間)

次に腓骨の前後の縁に沿って(足少陽胆経)、後方にまたは前方に筋肉を引きはがしていきます。

・「陽陵泉」(腓骨小頭(膝の外側、斜め下の小さな骨)の前下際)~「懸鐘」(外踝の上指4本、腓骨前縁に取る)

その次に脛骨内側に沿って(足太陰脾経)、後方に筋肉を引きはがしていきます。

・「陰陵泉」(脛骨内側踝の下縁の陥中)~「三陰交」(内踝の頂点から指4本上、脛骨内側の後縁)

 

③アキレス腱

下腿三頭筋はアキレス腱を通して踵骨に付着します。

役割としては足部の底屈動作と歩行時踵部にかかる荷重の調整で、日常的には歩行や跳躍などの運動、つま先立ち、椅子から立ち上がるときなどの動作に関与しています。

 

まず、アキレス腱の停止部(踵骨)において、爪でアキレス腱を踵骨から上方に引きはがします。

次にアキレス腱を後から軽く押します。

その次にアキレス腱の前のくぼみを左右(足太陽膀胱経、足少陰腎経)から軽く押します。アキレス腱を揉むのではなく、緩めることを意識します。

・アキレス腱停止部(外踝から指2本下(踵骨上))~「崑崙」(足の外踝の後方)~下腿の1/3

 

・アキレス腱停止部(内踝から指2本下(踵骨上))~「太渓」(内踝の後方、アキレス腱の前のくぼみ)~下腿の1/3

 

(本項(アキレス腱停止部における手法)の参考文献)

・平野薫((2018/05/13公開)、)、『膝の痛み(1)変形性膝関節症』、閲覧日 2021/11/3、

https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=71THmyA-fe8

 

④前脛骨筋

役割としては足関節の背屈動作に大きく関与します。足関節の内反や足関節のアーチ形成・維持にも関与します。日常的には歩行時やランニング時など足を前方に踏みだす動作時につまずかないようにつま先を持ち上げる動作に関与します。 

 

脛骨に沿って(足陽明胃経)、筋肉を引きはがしていきます。

・「足三里」(膝の外側直下の小さなくぼみから指4本分下)~「上巨虚」(頚骨と腓骨の間三里穴から指4本分下)~「下巨虚」(頚骨と腓骨の間上巨虚穴から指4本分

5. 筋肉トレーニングも膝痛の予防に最適です。「自分でできる運動療法」ページの《筋肉が弱い方向けの下半身の強化》の項、または、膝痛予防運動を参考にしてください。女性は男性に比べて筋肉が弱いため、膝痛になる人が多く、筋肉トレーニングは必須です。特に、大腿四頭筋の強化です。体重が膝にかかる圧を筋肉で緩和します。