花粉症

花粉症を治す方法として、次の4点のアプローチをします。

①「鼻みず」、「鼻づまり」、「くしゃみ」、「目のかゆみ」といった症状を緩和するための特効ツボを使います。

②東洋医学には、「衛気」という考え方があり、その機能は体表近くで活動し、外邪に対する防衛的な役割をするものと定義されています。気は鬱滞しやすく、鬱滞すると熱を生じ、熱は上方へ移動し、特に頭部に熱が偏ります。花粉症の要因は頸部より上、特に顔に熱がこもり(鬱血、充血、腫れる、むくむ)、特に顔の「衛気」の機能が正常に働いていない(鬱滞、不足)と考えます。そのため、「水」も滞りやすくなり、鼻孔や目にあふれ出します。そこで、その熱をちらし、顔の「衛気」の機能を正常化する方法をとります。

③免疫機能のバランスの崩れを改善するためには免疫機能の要でもある腸の働きを正常化、活発化することも必須です。下痢、軟便、便秘の方はこの手法を加えてください。

④東洋医学における臓腑論(五臓六腑の理論)の観点からの対処法です。特にストレスから花粉症になる方は加えてください。

 

長期の対応になると思います。また、薬を常用している方は薬と併用しながら、ツボ押しをしてください。

 

 

1. まず、症状を抑えるツボです。いくつか方法があります。

①最も手軽にできる手のツボです。両手の中指の腹に十文字の形でチクチクと刺激をします。刺激をする道具として、シャープペンシル(芯を出していない状態)の先か片方の手指の爪を使います。横の線が「目」、縦の線が「鼻」ととらえてください。中指の腹の中心線で横から見て一番高いところが「鼻」ととらえ、「目」の横の線はそれより上になります。目が充血している側の手の方に圧痛があります。

 

 

②耳ツボで症状を抑える方法です。特に「風渓」がお勧めです。

右図「風渓」 (耳の上の方の溝(舟状窩)で耳の一番高い所から少し外側に下がったあたり)

耳介結節(耳輪の後上部の縁にある突起)の下になります。

「外鼻」 (耳の穴にかぶさるように出ている顔の輪郭に沿った小さな膨らみ、この膨らみの中央よりやや頬によったところ)

「内鼻」 (外鼻の裏側(耳の穴の内側)、外鼻の真裏よりやや外側)

「眼」 (耳垂中央の真ん中)

 

③顔のツボで症状を抑える方法です。

右図「印堂」 (両眉の中間)

「晴明」 (顔面部、内眼角の内上方と眼下内側壁の間の陥凹部)

目頭より内側やや上(3~4mm)の鼻根部の小さなくぼみで、鼻に向かって垂直に軽く押します。

鼻通」 (鼻の左右にあり、鼻を縦に長さを取ったときの真ん中にあるくぼみ)

「鼻穿」とも言います。

迎香」 (鼻唇溝中(法令線上)、鼻翼(小鼻)外縁中点と同じ高さ)

 

鼻がつまったときの気功法です。

鵜沼先生が著書で紹介している「擦鼻梁」という気功法です。

・手のひらをこすり合わせあたためます。

・両手の親指を曲げ、第一関節と第二関節の間を鼻の両脇に当て、「鼻通」~「迎香」までを20~30回上下にこすります一日数セット行います

 

(本項の参考文献)

・鵜沼宏樹(2005)『症状を楽にする簡単気功レシピ』春秋社.

 

子供の花粉症はこの「擦鼻梁」と「風渓」だけで十分です。柔らかい歯ブラシでさすります。毎日行います。

次の方法も是非お勧めします。

「合谷」、「陥谷」というツボのペアで針灸治療の「奇経治療」という方法を応用します。花粉症は消化器と呼吸器と関係が深く、このペアのツボを選びます。

 

この二つのツボにピップエレキバンを貼りますが、磁石の向きに考慮が必要です。

「合谷」にN極、「陥谷」にS極を貼ります。N極を貼るというのは新規に購入したときに貼りついている磁石の方向で貼るということです。S極を貼るということは新規に購入したときに貼りついている磁石を裏返して貼りかえます。

 

右図「合谷」 (手背、第2中手骨中点の橈側)

 

 

右図「陥谷」 (足背、第二、第三中足骨間、第二中足指節関節の近位陥凹部)

 

 

2. 次に頭、頸部のツボで顔の熱をちらします。

①頭頂部のツボを使います。

右図「百会」(頭部正中線と左右の耳尖を結んだ線の交叉部)

少しくぼんでいるところです。中指で押します。

「通天」(頭頂より指2本外方)

「百会」の横の線より親指幅1本前の線、「百会」の縦の線より指2本横の線の交点に取ります。大体「百会」の指2本強斜め前になります。

上星」 (手関節横紋を鼻の先端に当て、中指先端の当たるところ)

手拳の形で中指第二関節の先を使って、頭蓋骨の中心部に向かい強めに1分程度押します。上星の前後も押してください。「顖会」、「神庭」という鼻の疾患によく効くツボがあります。

 

②後頭部のツボを使います。首コリを取ることは花粉症の症状改善の一つです。

右図「風府」(外後頭隆起下方(指2本弱)の陥中)

指1本弱下の「瘂門」(盆のくぼ)もあわせて中指、示指でこねるように揉みます。

「風池」(僧帽筋腱と胸鎖乳突筋の間の陥凹部)

「風府」に並びます。後頭骨の骨際に取ります。

「瘂門」、「風池」は花粉症にもよく効く名穴です。

「天柱」 (盆のくぼの中央から指2本外側で僧帽筋腱の外縁陥凹部)

左右の「風池」を結んだ線より少し下側に位置します。

首を後ろに倒し、首の重みを利用して右側は左手の(左側は右手の)中指で押さえた方が効きます。

 

③右図の外後頭隆起の上下の横の線を押します。

目安として、

右図b1外後頭隆起の下の線(2本)、

b2外後頭隆起の上の線、

を中心部から側頭部に向けて押してください。b2の線上には「脳戸」、「玉枕」、「脳空」というツボが並んでいます。

 

且つ、耳尖(耳介の尖がった先)の指1本弱上から指4本ほど後方のくぼみ(「星状点(アステリオン)」)も念入りに押して下さい。 

星状点」 (ラムダ縫合、頭頂乳突縫合及び後頭乳突縫合の合点) お勧めです

 

 

3. 腸の働きの改善を図ります。下痢、軟便、便秘の方はこの手法を加えてください。

右図のおなかのツボを押し揉んでください。一番のお勧めです。少なくとも朝起きたときと夜寝るときに寝床で行って下さい。それ以上行った方がより効果があります。

「府舎」 (鼠径溝の中央から指1本上方)

「腹哀」 (上腹部、臍中央の指4本上方、前正中線の指3+3本外方)

 

仰向けに寝て膝を立て、おなかの筋肉をゆるませます。左右の親指と中指及び薬指で二つのツボをシーソーのように交互に100回ぐらい押し揉みます。ツボの位置のまわりも含めてください。

 

4. 花粉症の素因について、東洋医学では臓腑論(五臓六腑)の観点から次のような解析をしています。手法としては肝心脾肺腎それぞれの五臓の機能向上ページを参照してください。特に肝鬱型は「肝機能向上」ページが必須です。

 

・衛気を体表に分布する機能は肺である。肺の失調は衛気の鬱滞を引き起こす。症状としては鼻水は稀薄、くしゃみが出る、痰は少々。体力のない人がかかりやすい。⇒風寒型という。

[注] 風寒:風邪(ふうじゃ)と寒邪が結びついたもの。邪とは身体に有害な発病因子。

・飲食を吸収し、エネルギーとなる気と津液を生み出し、衛気の源を作る機能は脾である。脾の失調は衛気の虚(不足)を引き起こす。

・食生活の変化が脾の働きに負担をかけ、水分代謝という脾の生理機能の衰えを引き起こし、体内に水分を停滞しやすくさせている。症状としては鼻づまりがひどく、鼻みずに粘りがある、痰は少し黄色。⇒風熱型という。

[注] 風熱:風邪(ふうじゃ)と熱邪が結びついたもの。

・過度な緊張、ストレスは気滞を生み出し、気が上昇し、上半身、特に頭顔面部が熱証となる。症状としては鼻みず、鼻づまり、黄色の痰以外に精神的に鬱々として、嫌なことがあると症状が悪化。⇒肝鬱型または痰熱型ともいう。

・過剰なストレスは肝の気の鬱滞を引き起こす(肝気鬱血)。肝気鬱血の長期化は心、腎、脾、肺、腸に影響を与える。症状としては目のかゆみ、目の充血。⇒内熱型という。

[注] 内熱:身体の内側(内臓)にたまった熱。

・腎の機能は水液代謝の調節である。腎の失調はこの機能が不足し、体内に過剰な水分をためる。

・腸は免疫機能の要。症状としては下痢、軟便、日頃お腹の調子を崩しやすく、食事、水分をたくさん取った後くしゃみや鼻水が出やすい。⇒内熱型のひとつ(大腸湿熱)   

手法は「腸の働きの改善」の項を参照。

 

(参考文献)

・郭義ほか(2002)『中医学による花粉症治療』源草社.

・篠原昭二(2014)『補完・代替医療鍼灸改訂2版』金芳堂.

・張軍(2010)『実用中国手技療法 臨床編』廖伊庄(リャオ,イチュアン) 監修・訳  ガイアブックス.

・兵頭明(2018)『中医学の仕組みがわかる基礎講義』医道の日本社.

・水嶋丈雄(2017)『花粉症・アレルギーを自分で治す70の知恵』主婦の友.