足厥陰肝経

:足厥陰肝経(あしのけついんかんけい)の主要穴(7穴/14穴中)

《全般の症状》

● 次のような場合、要注意

・ 健康診断での肝機能の値、中性脂肪の値が高い

・ イライラ、怒りっぽい

・ 頭痛、めまい、眼痛

・ 認知症の場合、妄想や徘徊

・ 冷え(特に手足)、低体温

● 次のような場合、肝が疲れ始めている

・ 疲れやすい、肩がこる、頭がボーッとする。

・ なかなか始めないが、始めると止まらない。結局のところ全部は終わらない

 

⇒  足少陰腎経と合わせると効果が上がる

 

《流注》 るちゅう

足の第一指爪甲根部外側(大敦)に起こり、足背を通り中封に至る。ついで脛骨前面を上り、大腿内側をめぐって陰部に入り、生殖器をめぐったのち下腹に入り期門へ上り胃を挾んで肝に属し、日月の部で胆を絡う。さらに横隔膜を貫いて側胸部に散布し、気管、喉頭の後をめぐり咽頭に出て、眼球のあたりに達し頭頂に出る。

その支なるものは、眼球のあたりから頬に出て唇をめぐる

別の支なるものは、肝から分かれて横隔膜を貫き肺に注ぎ、下行して中焦に至り、手の太陰肺経に連なる

(注1) 青い太字部分にツボが配置される

(注2) 暗赤色の太字部分は見落とされがちなルート 

 

《前経脈》足少陽胆経  《後経脈》手太陰肺経

 

《大敦》 だいとん

[部位] 足の母指外側(小指側)、爪体の角の際

[字義] 大は大きい、敦は厚い→足の親指を表わす

[適応症] 泌尿器系(膀胱炎、前立腺炎)

: 貧血

 

《行間》 こうかん

[部位] 足背、第一、第二足指間、みずかきの近位、赤白肉際

[字義] 行は行く、間は隙間→第一、第二足指の間にある

[適応症]  次の疾患の痛み、熱を抑える

: 股関節痛、外反母趾、膝痛、慢性の腰痛、心の疲れ、緑内障、肝機能向上、関節リウマチ

 

《太衝》 たいしょう

[部位] 第一、第二中足間を圧上して指の止まるところ

[字義] 太は太い、衝は拍動→足背動脈の拍動部にある

[適応症] 肝経の原穴(注参照)→肝経の不調が現われやすい、特に瘀血

: めまい、肝機能向上、頭痛、目の疲れ、緑内障、白内障、脂質異常症、認知症、痛風、膝痛、慢性の腰痛、股関節痛、関節リウマチ、こむら返り、リンパを流す、心の疲れ、更年期障害

(注)原穴:六臓六腑に1つずつ、臓腑の気がもっとも現われる、臓腑の気を補う最も重要な経穴

 

《中封》 ちゅうほう

[部位] 足関節前内側、前脛骨筋腱の内側の陥凹部、内踝尖の前方

[字義] 中は真ん中、封は境→足根部と下腿を隔てるところ

[適応症] 急性の腰痛には必須

: 急性の腰痛、咳喘息

 

《曲泉》 きょくせん

[部位] 膝内側、半腱様筋腱内側の陥凹部、膝下横紋の内側端→膝を屈し、膝の内側横紋端の最も明らかに現れる腱の内側の陥凹部

[字義] 膝を深く曲げ、泉のようなくぼみにある

[適応症]  膀胱炎・尿道炎による排尿痛等泌尿器系の不調にも効用があるが、本サイトでは足の不調で使う

: 足の疲れ

 

《章門》 しょうもん

[部位] 第十一肋骨尖端の下際

[字義] 章はあきらか、門は出入り口→邪気の出入りがあきらかに分かる

[適応症] 足太陰脾経の募穴、次の疾患には必須

: 糖尿病、脾機能向上、下腹部の内臓下垂予防

(注)募穴:六臓六腑に1つずつ、臓腑の異常を見る、臓腑の治療点、臓腑との結びつきが強い

 

《期門》 きもん

[部位] 鼠径部、鼠径溝、大腿動脈拍動部の外方で恥骨結合上縁と同じ高さ

このツボの取り方は二通りある

①第6肋間、前正中線の外方指5本

→乳頭中央の下方、みぞおち(胸骨剣状突起の下)から指2本分下の外方(指5本)

②第9肋軟骨付着部の下縁

→旧来定義されていた位置で、乳頭線上(正中線より指幅5本外方)で肋骨下縁(第9肋軟骨付着部にあたる)のやや内側のくぼみ→このくぼみはみぞおちから肋骨下縁を探っていくと2番目のくぼみになる 

[字義] 肝経の最後のツボ

[適応症] 足厥陰肝経の募穴→肝機能向上には必須のツボ

: 肝機能向上、糖尿病、下腹部痛、リンパを流す

 

《他の経絡上の心に関連する重要な経穴》

  • 「肝兪」 (第九、第十胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本) : 足太陽膀胱経、背兪穴