《全般の症状》
⇒ 足厥陰肝経と合わせると効果が上がる
《流注》 るちゅう
足の第五指外側より脈気を受け、足底の湧泉を通って足の内果の後をめぐり、太谿より別れて踵の中に入り、下腿内側を上り、膝窩の内側(陰谷)に出て大腿内側を上り、脊を貫いて長強に会し、前に出て盲兪まで上り、腎に属し膀胱をまとう。その直行するものは、腎より上って、肝、横隔膜を貫いて肺に入り、喉嚨(のど)を循って舌本を挾む。
その支なるものは、肺を出て心をまとい(注3参照)胸中に注ぎ、手の厥陰心包経に連なる。
(注1) 青い太字部分にツボが配置される
(注2) 暗赤色の太字部分は見落とされがちなルート
(注3) 腎の経絡の滞りは心、肺にも影響を与える。特に心は「精神・意識・思惟の主宰」であり、腎の機能、特に生命力の衰えは心(精神力)の衰えにつながる
《湧泉》 ゆうせん
[部位] 足の人差し指と中指の間のみずかきとかかとを結んだ線上で、みずかきから3分の1のところ
[字義] 湧は水の湧き出るところ、泉は生命力の泉
[適応症] 中高年には必須のツボ、毎日押す養老のツボ
: 足の疲れ、アレルギー性皮膚炎、下肢静脈瘤、下腹部の内臓下垂予防、関節リウマチ、気象病、逆流性食道炎、骨粗鬆症、高血圧、甲状腺異常、更年期障害、心の疲れ、座骨神経痛、脂質異常症、食欲不振、脂漏性皮膚炎、腎機能向上、足底痛、ダイエット、痛風、糖尿病、ドライマウス、夏を乗り切る、尿失禁、尿路結石、認知症、抜け毛、熱中症、白内障養生、冷え症、美容、疲労感、頻尿、ヘバーデン結節、不妊症、膀胱炎、慢性疲労、耳鳴り、むくみ、めまい、物忘れ、老人性難聴 (あいうえお順)
《太渓》 たいけい
[部位] 内踝の後方、アキレス腱の前のくぼみ
[字義] 太は大きい、渓は谷→内踝とアキレス腱の間の谷間
[適応症] 腎機能の衰え→腎経の原穴(注参照)
: 足底痛、痛風、こむら返り、足の疲れ、老人性難聴、耳鳴り、骨粗鬆症、リンパを流す、嚥下困難、呼吸困難、慢性の腰痛、腎機能向上
(注)原穴:六臓六腑に1つずつ、臓腑の気がもっとも現われる、臓腑の気を補う最も重要な経穴
《照海》 しょうかい
[部位] 内踝の直下の陥中
[字義] 照は照らす、海はものごとの広く集まるところ→明らかに腎の気が集まるところ
[適応症] 総合的な腎機能の増進に効く名穴
: 座骨神経痛、むくみ、関節リウマチ、気象病、心の疲れ、冷え症、肺炎予防
《復溜》 ふくりゅう
[部位] 内踝の上指3本、アキレス腱の前縁
[字義] 復は繰り返す、溜はたまる→腎の気が留まるところ
[適応症] 腎虚証
: 腎機能向上、慢性疲労、心の疲れ、関節リウマチ、足の疲れ、ダイエット、熱中症
《築賓》 ちくひん
[部位] 「太渓」の直上指4+3本、ヒラメ筋とアキレス腱の間
[字義] 築は築く、賓は濱(浜)→腓腹筋が低くなり浜のようになっているところ
[適応症] こむら返りの必須穴
: こむら返り、蕁麻疹、足の疲れ
(注) 郄穴(げきけつ、げっけつ):各経絡に1つずつ、急性症状は郄で取る
《陰谷》 いんこく
[部位] 膝後内側、膝窩横紋上で半腱様筋腱の外縁→膝裏の内側に太い腱があり、その外縁
[字義] 陰は(ここでは)膝裏、谷は谷間
[適応症] 腎の衰えを補う
: 下肢静脈瘤、膝痛
《横骨》 おうこつ
[部位] 「曲骨」(下腹部、前正中線上、恥骨結合上縁)の両隣
[字義] 横骨は恥骨のこと→恥骨部にある
[適応症] 湿疹の必須穴
: 美容、下腹部痛、脂漏性皮膚炎、尿失禁
《盲兪》 こうゆ
[部位] 臍の左右指1本
[字義] 盲は腎の邪気が注ぐ、兪は癒える、癒す
[適応症] 腎虚、下痢の必須穴
: 下痢
《神封》 しんぽう
[部位] 前胸部、第4肋間、正中線の外方指3本
[字義] 神(心)をこの場所に封じている
(注)心蔵は第2~5肋間の位置にある。古代中国においては心臓に精神の機能があると考えていた
[適応症] 狭心症、咳、息切れ
: 咳喘息
《神蔵》 しんぞう
[部位] 前胸部、第2肋間、正中線の外方指3本
[字義] 神(心)を蔵している→腎経の経絡はここから心をまとう
[適応症] 胸痛、咳、息切れ
: 咳喘息、風邪
《兪府》 ゆふ
[部位] 前胸部、鎖骨下縁、正中線の外方指3本
[字義] 兪は癒やす、府は気が集まる(中心地)ところ→腎経の脈がここに集まる
[適応症] 胸痛、咳、息切れ
: 咳喘息、呼吸困難、首~背中の痛み、心の疲れ、肺炎予防
《他の経絡上の腎に関連する重要な経穴》
(注)募穴:六臓六腑に1つずつ、臓腑の異常を見る、臓腑の治療点、臓腑との結びつきが強い