関節リウマチ

関節リウマチは、東洋医学的にいえばその要因を「風(気圧の変化)」、「寒(寒さ、冷え)」、「湿(高湿度)」、「内熱(こもった熱)」ととらえ、五行思想からそれぞれに対応する「」、「」、「」の経絡(ツボの経路)の閉塞と見ます。

  (注) 風→肝、寒→腎、湿→脾、内熱→脾

 

「風」、「寒(冷)」、「湿」、「内熱」により閉塞した経絡の気血の流れを良くし、体質を改善するツボ療法を紹介していきます。専門医の治療に加えて、ツボ療法による体質改善も行ってください。

 

なお、関節の痛みは「膝痛」、「前腕部の痛み、腱鞘炎」、「へバーデン結節」のページをご参照ください。

 

1. まず、足のツボ、反射区で治す方法です。指圧棒で押してください。

右図「肝臓ゾーン」 (右足裏にあり、第二中足骨より第五中足骨のほとんどをカバー)

このゾーンは右足のみです。外側に向けて押します。特に、薬指から4センチほど下に圧痛を感じると思いますので、念入りに押してください。

「湧泉」 (足の五本の指を内側に曲げた時にできる凹んだところ)

「副腎ゾーン」 (「腎臓ゾーン」の真上)

炎症を抑えます。 

「腎臓ゾーン」 (「副腎」の下で第二、第三中足骨の近位端でリスフラン関節線の上) 

「湧泉」、「副腎ゾーン」、「腎臓ゾーン」は「腎」の機能を高めます。

「膵臓ゾーン」 (拇指球の3cmぐらい下のリスフラン関節上、斜線部分)

「膵臓ゾーン」は「脾」の機能を高めます。

「胃、十二指腸ゾーン」(足裏第一中足骨の基部)

消化吸収を正常化します。双方のゾーンとも指圧棒を使って押し揉みます。方向としては内側から外側に向けて押し込みます。

「甲状腺ゾーン」 (足の親指の付け根の下にある膨らんだ部分) 

親指の付け根、親指と人差し指の間も押し揉んでください。さらに拇指球の内側の斜線部分の「副甲状腺ゾーン」も念入りに押し揉んでください。

 

2. 背中のツボで治す方法です。肩甲骨間部、腰部が治療点となります。「風門」~「心兪」(~その下)の肩甲間部、「腎兪」~「小腸兪」(~その下)の腰部にある硬結、圧痛を探ります。さらにこれらのツボの外側も探ってください。また、その場所が移動すれば、追っかけてください。お灸(せんねん灸)を勧めます。

右図「風門」 (第二、第三胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本)

「肺兪」 (第三、第四胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本)

左右の肩甲棘突起内端を結んだ線上を目安にしてください。

「厥陰兪」 けついんゆ (第四、第五胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本)

「心兪」 (第五、第六胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本) 

「腎兪」 (第二、第三腰椎棘突起間脊柱の傍、指2本)

背中から触れる第十二肋骨の先端を結んだ線になります。

「大腸兪」(第四、第五腰椎棘突起間

脊柱の傍指2本、腸骨の上端の高さ)

「小腸兪」(仙骨部、第一後仙骨孔と同じ高さで正中線の外方指2本)

 

 

3. 手足のツボで治す方法です。項番2の背中のツボができない場合はこの方法を使ってください。

右図「行間」 (足背、第一、第二足指間、みずかきの近位、赤白肉際)   

経絡の熱を取る「滎穴」と呼ばれるツボです。

「太衝」 (第一、第二中足間を圧上して指の止まるところ)

足の中心に向かい、押します。「肝」を強化します。

 

右図「三陰交」 (内踝の直上指4本、脛骨の後縁)

消化器系の機能改善はもちろんのこと、血流を改善し、全身の冷えをとる名穴です。女性にとっては必須のツボです。

「陰陵泉」 (脛骨内側踝の下縁の陥中)

脛骨内側を膝に向かって擦上すると骨の湾曲部に至って止まるところにとります。むくみをとります。去湿の要穴と呼ばれ、湿邪を取り除く特効穴です。

「血海」 (大腿骨内側膝蓋骨内上角の上方指3本)

瘀血を取るツボとして有名です。

「三陰交」、「陰陵泉」、「血海」は「脾」を強化します。

 

「照海」 (内踝の直下の陥中)

内踝の直下、指幅半分または指1本強と二つ説がありますが、割れ目を狙い、圧痛点を探ります。親指で上向きに押します。

「復溜」(内踝の上指3本アキレス腱の前縁)

「照海」、「復溜」は「腎」を強化します。 

 

右図「外関」 (腕関節背側横紋の中心(やや小指側)から上方指2本、橈骨と尺骨の骨陥)

腕関節横紋から指で滑らせていくと皮膚のたるみで指が止まるところです。前腕を回外した状態で押します。風熱(関節の腫れ、痛み、熱感)を除く名穴で、リウマチには欠かせないツボと言われています。

4. 「内熱」への対応です。

冒頭記述しましたように、東洋医学にはリウマチの原因として、『平素から「内熱」があり、「風」、「寒」、「湿」を受け、リウマチが悪化する』という考え方があります。「内熱」を熱が出るほどでもないが小さな炎症が慢性的に続いているととらえると、鼻呼吸に戻す「あいうべ」体操を考案した今井一彰先生の著書に書かれている内容が参考になります。先生は「鼻呼吸に戻すことがリウマチ治療の第一歩」と言い切っておられます。

著書によりますとリウマチを治す5つのステップの内、

第2ステップ…上咽頭炎と関節リウマチは密接に関係がある

第5ステップ…歯周病や歯肉炎の炎症がリウマチを引き起こす感染源と思われる

そこで、本ページでは上咽頭炎、歯周病の炎症をなくすツボを提案したいと思います。

 

右図の足背、親指と人差し指の中足骨の間をしっかり手の指を入れるようにして押し込んでください。指圧棒でも結構です。但し、皮膚がむけないように注意してください。ここは上気道(上咽頭含む)、気管支の反射区で、特に丸印のところの上気道の反射区を揉んでください。

 

②歯周病の名穴です。

右図「女膝」 (踵の尖端で、足の裏の赤っぽい色から「かかと」の普通の肌色に変わるその境界線のところ)女室とも言います。

お灸(せんねん灸)がよく効きます。炎症を起こしているときは熱くありません。熱くなる(あたたかくなる)まで何壮でも繰り返してください。慢性化している場合は、長期にわたり、お灸を続けることを勧めます。

 

もちろん、歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロス等を使った歯磨き、定期的な歯の検診は言うまでもありません。 

 

《参考文献》

・今井一彰(2011)『薬を使わずにリウマチを治す5つのステップ』コスモの本.

・山中寿(2015)『関節リウマチのことがよくわかる本』講談社.

・竹内勤(2018)『リウマチ改訂版』高橋書店.

 

5. 関節リウマチにお勧めの気功法です

①まず、横回転の「スワイショウ(甩手)」という気功法です。

・立った姿勢で、足を肩幅ぐらいに広げて立ちます。その際、つま先は広げず、正面を向けます。

・腕の力を抜いて、腕を垂らしたまま、頭頂から背骨、尾骨の縦の線を軸にして、ウエストをひねって回転運動をします。

・腕と肩の力を十分に抜き、腕は体に巻きつくようにまかせる感じです。勢いをつけて回さないでください。

・首もあわせて回しますが、めまい防止のため回しすぎないでください。

・猫背で首が前に出る姿勢の方は首を前向きに固定したまま、腰をひねる方法を勧めます。

・左右に巻きつくとき口からふっと息を吐きます。吸うときは鼻から、自然に任せます。但し、無理をする必要はありません。自然に任せてください。 

・時間にして1~2分程度、1日1~2回行ってください。

 

②スワイショウには前後または横に腕を振る方法もあります。これもお勧めです。

・立った姿勢で、足を肩幅ぐらいに広げて立ちます。その際、つま先は広げず、正面を向けます。これは横回転と同じです。

・両手を前後に腕や肩の力は抜いて振ります。前に上がった時は胸の高さぐらいまで、後ろは前に持ち上げられた腕の重力の反動にまかせます。

・横に振る方法は単に両手を横に振ります。

・双方とも時間にして1~2分程度、1日1~2回行ってください。スワイショウは①、②とも毎日の実施をぜひ勧めます。

 

③次に撼天柱(かんてんちゅう)という気功法です。

気功家中健次郎先生が推奨している簡単で効果が高い気功法です。

・床に座る(あぐら)か、椅子に座ります。腰が痛い方は正座か椅子にしてください。

・背中の正中線上で、おへその後ろ側に「命門」というツボがありますが、このツボを大きく回すことを意識して、背骨を回します。

・左に9周、右に9周回します。

・横~後ろに回すときに吐き、後~横~前に回すときに吸います。

 

注意点は次の通りです。

・力を抜いて行ってください。

・急に終わらず、静けさを保ってください。

・食後一時間くらいは避けてください。