頭痛

次の頭痛のツボ療法です。

・緊張型頭痛→頭、首、肩の筋肉のコリや精神の緊張を和らげ、痛みを和らげる

・片頭痛→特定の運動法で予防し、特定のツボで症状を和らげる 

 

東洋医学的には頭痛の要因は次の様に考えます。

・邪気が上部に滞っています。体質から見ると気滞、痰湿、瘀血、気逆、気虚が考えられ、気滞は緊張型頭痛痰湿、瘀血、気逆及び気虚は片頭痛を引き起こします。

気滞はストレスから気が上半身にこもり、頭、首、肩の筋肉が緊張します。

痰湿瘀血は、からだが冷え、からだ全体の血の量や栄養が足りず、脳に必要な量を送り届けることができません。頭痛を予防する体質作りが基本です。

痰湿による頭痛は天気の悪化と連動することがあります。

気逆体を巡る気の流れに異常が起き、気が逆流したり、上がったままになる状態になったり、体にひずみができています。自律神経のバランスが不安定になるとなりやすくなります。

気虚による頭痛は、食欲不振、疲労感を伴います。

・上記の改善に焦点を絞り、治していきます。

・なお、体質及びその改善方法については「体質とツボ」を参照してください。

 

片頭痛の治療法の注意点です。

・片頭痛は、頭の中の血管が拡張し、その周囲に炎症が広がることが痛みの原因です。体を動かすと、血行が良くなってしまい、血管がさらに広がり、痛みがひどくなります。

・全てのツボの施術を行わず、特効穴である項番1「天柱」、「膈兪」、項番3「足臨泣」、項番4「合谷」を施術してください。さらに片頭痛の予防には項番2の気功法「スワイショウ(甩手)が必須です。それだけでも十分効果があります。

 

《豆知識》

・ズキズキと拍動性の頭痛のある人でチョコレートを毎日食べている人、特に思いきり食べている人はチョコレートを止めることが前提です。チョコレートには片頭痛を誘発するチラミンという化学物質が含まれています。

 

(豆知識の参考文献)

・寺澤捷年(2015)『和漢診療学』岩波書店.

 

なお、側頭部、後頭部、前頭部の部位別の痛みへの対処は「頭痛(部位別)」ページをご覧ください。

 

 

1. 頭、首、背中にあるツボで治す方法です。

①右図「百会」 (頭部正中線と左右の耳尖を結んだ線の交叉部))

髪の生え際から指幅7本上または7本弱(女性は6本上)で少しくぼんでいるところを探ります。

「四神聡」 (百会の前後左右親指の幅1本)

「神」は精神の意味、「聡」は聡明の意味で、精神状態を落ち着かせることができ、自律神経のバランスが是正され、頭の感じをスッキリさせる効果があるツボです。百会の後のツボは単独で「防老」と呼ばれるツボです。

 

②右図「風池」(僧帽筋腱(僧帽筋の起始部)と胸鎖乳突筋の間の陥凹部、後頭骨の骨際)

体の正中線より指3本弱外側に位置します。

天柱」(盆のくぼの中央から指2本外側で僧帽筋腱の外縁陥凹部)

近辺を押し、著しい圧痛を探してください。

特に片頭痛には定評のあるツボです。

「健脳」 (風池より指幅1.5本下)

指幅1本下という説もありますが、本サイトでは1.5本下とします。

「百労」 (脊柱の正中第七頸椎棘から指幅3本分上、外側指1.5本)

人によって第七頸椎棘から指幅4本分上が効く場合もあります。  

「肩井」(第七頸椎棘と肩の骨の先端(肩峰角)を結んだ中央)

第二、第三、第四指を揃えて肩上に当て、第三指(中指)が当たるところで、押すとズンとひびきます。皮膚に対して垂直に押します。

第七頸椎棘という言葉が出てきましたので、ここで説明しておきます。

第七頸椎棘は、首を前に曲げると首と背中の付け根に飛び出る椎骨で、丸く一番大きく見える骨です。棘は椎骨の後端が隆起し、突出したもの (突起)を意味します。人によっては、第六頸椎が大きく見える人もいます。その場合は、簡便法として次の方法で判別します。

第七頸椎は頸椎(首の骨)の一番下で、髪の生え際から指4本下の大きな椎骨です。

「天髎」 (肩井の斜め内側後ろ親指幅1本)

内側への斜め後ろのほうが響きます。

「膏肓」(左右の肩甲棘の内端を結んだ線より指2本弱下を目安に、肩甲骨の内縁で最もひびきのあるところ)

膈兪」(第七、第八胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本) 

左右の肩甲骨下縁を結んだ線上を目安にしてください。特に片頭痛によく効きます。著しい圧痛があります。

 

2. 運動法です。

①中国に古くから伝わる気功法「スワイショウ(甩手)」です。片頭痛の予防に効果があります。一日1セット2分は行って下さい。

 

●でんでん太鼓のように、ねじりを入れ回転します。

・立った姿勢で、足を肩幅ぐらいに広げて立ちます。その際、つま先は広げず、正面を向けます。

・腕の力を抜いて、腕を垂らしたまま、頭頂から背骨、尾骨の縦の線を軸にして、ウエストをひねって回転運動をします。ウエスト及び下腹部を横に向けることを意識します。足の床への接着面はそのままです。

・腕と肩の力を十分に抜き、腕は体に巻きつくようにまかせる感じです。勢いをつけて回さないでください。

・顔は正面を向いたまま、首を回しません。これは重要なポイントです。

・左右に巻きつくとき口からふっと息を吐きます。吸うときは自然に任せます。但し、無理をする必要はありません。自然に任せてください。 

 

②鵜沼宏樹先生が推奨している仰泳法という気功法です。

緊張型頭痛に有効です。

・肩の先端に手指を当て、肩を後方に、左右交互にぐるぐる回します。回数は20回程度です。

・次に左右一緒に前方に20回程度回します。次は後方に20回程度回します。 

 

(本項の参考文献)

・鵜沼宏樹(2013)『自分でできるツボ療法入門』筑摩書房.

 

③慢性化している首のコリを取るため、首のストレッチをします。緊張型頭痛に効果があります。頭痛が出ている場合にも有効です。

・例えば、首を右斜め上に曲げると左首が痛い場合の対処法です。

・左腕の肘を90度に曲げ、背中に前腕外側をつけ、固定します。こうすることで次の動作の首を押し下げたとき、肩が上がらないようにし、可動域を広げるようにします。

・右手を頭頂部に置き、右斜め下に押し下げ、10秒ぐらいキープします。軽く押し下げることがポイントです。

・左右を逆転し、反対側もやります。

 

3. 足の反射ゾーンで治す方法です。上記の手法を補完します。

①右図「足臨泣」 (第四、第五中足骨接合部の前、足の薬指と小指の間を押し上げて止まるところ)

特に、脈を打つような痛みの場合、有効です。

②右図「脳ゾーン」 (足の親指の腹全体)

「頸椎ゾーン」 (足の親指の基節の内側)

「項ゾーン」 (足裏の親指の基節全体)

「乳様突起ゾーン」 (足の親指の外側で末節と基節の間)

「腹腔神経叢」 (「湧泉」(足の五本の指を内側に曲げた時にできる凹んだところ)というツボを中心に第一中足骨と第二中足骨の間から、第三中足骨と第四中足骨の間までの範囲)

太陽神経叢ともいいます。特に、親指と人差し指のまたから踵方向に4cm下がったふくらみの稜線上、そして、そこから拇指球の下のくぼみまでの箇所を押してください。神経の緊張状態を取り除く有名なゾーンです。

頭痛は消化器系の不調が伴う場合があります。この場合は土踏まず全体(斜線部分)を押してみてください。特に圧痛がある箇所を押し揉んでください。消化器の不調の症状により、「胃痛」、「便秘」、「下痢」を参考に手当てをしてください。

 

③右図「胆嚢反射区」(右足の甲及び裏の第三、第四中足骨間隙の基部 (足首に近い部分))

胆嚢反射区は右の足のみで、足の甲側、裏側双方にあり、特に甲側に圧痛が出ます。右足の第三指と第四指の指の股から5センチほど下になります。足の裏側で外側(第四中足骨)に反応がある場合もあります。女性にとっては大事な反射区です。少し強めに長く押します。

4. 手と耳にあるツボで治す方法です。

①右図「合谷」 (手背、第二中手骨中点の橈側のくぼみ)

②高麗手指鍼のゾーンを使う手法です。

右図「脳ゾーン」 (手の中指第1関節より先のゾーン) 

 

③右図「頭痛帯」 (耳たぶの上にある、軟骨の出っ張った丘(対珠)) 

軽い頭痛を手軽に治すツボです。しかし、持続性がないため、頻繁に施術する必要があります。

5. 気虚による片頭痛は脾胃の改善を促すツボも手当てしてください。

右図「中脘」 (胸骨体下端(肋骨弓が交差する部位)から臍までの線の中央)

臍の中心から真上に指4本+1本のところに圧痛を探る方法が分かりやすいと思います。胃腸疾患の名穴です。

巨闕」 (胸骨体下端(肋骨弓が交差する部位)から指3本分下)

胸骨体下端は、みぞおち下から上方にさすると出っ張り(剣状突起)があり、その上のくぼみになります。

「中脘」、「巨闕」とも少し前かがみの姿勢または仰向けに寝て押します。