顔面神経麻痺

顔面神経麻痺は早期に耳鼻咽喉科にかかり治療を開始することが必須です。

 

本ページのツボ療法は末梢性の麻痺、特にベル麻痺の場合に、補助療法として加えることで回復を早めるのに有効です。

ツボ療法の具体的な方法として、「足の反射療法を使う」、「顔及び足のツボを使う」、「背中のツボを使う」といった方法がありますが、自分一人で手軽にできるという観点から、本ページでは足の反射療法または顔のツボを使う手法を勧めます。

 

東洋医学的な観点からみると顔面神経麻痺を起こす一つの要因として、「風寒(風に当たって冷やすことによるもの)」、「風熱(感冒、中耳炎、歯肉炎等)」が挙げられます。特に「風寒」については「冷え症」ページを参照し、からだを温める習慣をつけてください。

 

1. 足の反射区を押し揉む手法です。

左右の足の親指から小指まで、足底側、足背側、指の横を丹念に押し揉みます。手の親指と人差し指ではさむようにして押し揉みます。指1本につき1~2分行ってください。相当痛いと思いますが、我慢して施術してください。顔面神経麻痺の早期回復のためには強めの刺激が必要となります。

 

足の親指の足底側は「脳」、「後頭」、足背側は「顔」の異常を反射(注参照)します。

人差し指、中指は「目」、薬指、小指は「耳」の異常を反射します。

また、「顔面神経」、「三叉神経」の異常は右図の箇所に反射します。

[注]本ページでの「反射」とは:

体の異常が、足底、足背、その周辺に一定の反射帯として投影されることをいう。「反射療法」はその反射帯とそれに関係ある関連反射区に適切なマッサージ刺激を加えることで、治療、症状を緩和する療法である。

 

(本ページの参考文献)

・ハンネ・マルクワット(1985)『足の反射療法』吉元昭治ほか訳 医道の日本社.

・ハンネ・マルクワット(2007)『ドイツ発 フット・リフレクソロジー療法事典』服部香里監修 手塚千史訳 産調出版.

・折田充(2014)『折田式足もみ健康法』シロクマ社.

・アン・ギランダース(2007)『足と手のリフレクソロジー』ミッシェル松山訳 産調出版.

・朱江ほか(2006)『[図でわかる]中医針灸治療のプロセス』篠原昭二監訳   和辻直ほか(訳)  東洋学術出版社.

 

 

2. 顔のツボを使って治す手法です。

①右図「太陽」 (目じりから髪の生え際に向かう間にあるこめかみの大きなくぼみ)

「下関」 げかん (頬骨弓の下縁中点と下顎切痕の間の陥凹部)

耳珠の下の方の前に下顎骨関節突起が触れ、さらにその前の陥凹部にとります。口を開けると下顎骨関節突起が前に移動して陥凹部が持ち上がります。「太陽」の縦の線より後方になります。

「翳風」 えいふう(耳垂後方、乳様突起下端前方の陥凹部) 

耳たぶの後ろにあり、口を開けば陥凹部が現れます。口を軽く開けた状態で押します。

「頬車」 (下顎角の指1本前上方) 

大迎」 だいげい (下顎角の前方指2本半弱の陥凹部、動脈手に応じるところ)  

 

②右図「四白」 (眼窩下縁下方(親指幅1本下)眼窩下孔部)

正面を見たとき、瞳孔の下のラインになります。

周りに反応があるところも押します。 

③右図「風池」 (僧帽筋腱(僧帽筋の起始部)と胸鎖乳突筋の間の陥凹部、後頭骨の骨際)

体の正中線より指3本弱外側に位置します。

外後頭隆起の近辺にも反応があれば押します。外後頭隆起の上下を探ってみてください。

 

(本項の参考文献)

・孫維良(1997)『ひとりあんま気功』ダイヤモンド社.

・劉勇(2003)『劉勇の疾患別臨床マッサージ・テクニック』医道の日本社.