風邪

風邪の初期の段階ではどの症状が進行するかわかりません。また、症状も変化します。そこで、症状の進行状況を見極めながら、治療方法を変化させていく必要があります。いずれにしても、初期の段階で手当てをすることは極めて有効です。

ただし、数日たって好転しない場合、必ず病院に行ってください。薬を飲みながら、補助的に手技療法を行うことで治りが早くなりますし、悪化しなくてすみます。それからもうひとつ、体を休め、無理をしないことです。

胸に神経痛のような痛みがある場合は、肺炎を疑ってください。すぐに病院に行ってください。

夏風邪の対処は項番14を参照してください。

 

1. まず風邪の予防法です。

①貝原益軒の養生訓にもありますが、必要以上に厚着をしたり、暖房を強くしないこと、汗をかかないことです。気がもれるとして、戒めています。

 

風邪のひきやすい方は、日常的に右図の足背、親指と人差し指の中足骨の間をしっかり手の指を入れるようにして押し込んでください。指圧棒でも結構です。但し、皮膚がむけないように注意してください。ここは上気道、気管支の反射区で、特に丸印のところの上気道の反射区を揉んでください。また、頸部リンパの反射区でもあります。

すでに風邪をひいているご家族の方がいらっしゃる場合は項番3の足背の第一から第五までの中足骨の間を全て指圧棒で押し込んでください。

 

③各指の爪の生え際も予防として有効です。特に、親指と人差し指です。 

各指の爪の生え際(爪体の角から2mm弱)の6か所にあるツボです。内側から「少商」、「商陽」、「中衝」、「関衝」、「少衝」、「小沢」という名前がつけられており、総称して井穴と言います。

 

ツボは左側の図の○印に位置し、赤線のところを親指の爪の先端を使って断ち切るように押すか、チクチクと数回押します。一日何回でも押してください。

 

④腸を整えて免疫力を上げます。

右図の足裏の腸の反射区への押圧です。まず、大腸の反射区で、右足から左足での数字の順番に押してください。2と3のラインはリスフラン関節の少し下方(但し、第四中足骨基底部では同関節の上方)、5のラインは内髁と外髁を結んだ線になります。つぎに小腸の反射区です。斜めの線のエリアを押し揉んでください。

 

2. 次に風邪の初期に非常に有効な対処方法です。特にのどの痛みに効きます。強めに押してください。または、ピップエレキバンを張り、刺激を続行させてください。且つ、寝るときは首にタオルを巻いて寝てください。さらに少し厚着をします。風邪気味の時にこの段階で治すのが理想的です。

右図「合谷」 (第一、第二中手骨の基底部の前陥凹部、やや人差し指側)

人差し指側にこねるように押します。

右図「感冒点」 (合谷の裏、裏合谷ともいう) →特にのどの痛みに効果

「合谷」と挟むようにして、こねるように押します。  

右図「少商」(拇指橈側爪体の角を去ること2mm弱)

このツボものどの痛みに効果があります。ときどき爪で刺激をします。

3. 症状が悪化した場合、次に二つの方法で改善します。 

右図の足背の第一から第五までの中足骨の間を指圧棒で押し込んでいきます。ここの痛さで風邪の状況がわかります。特に親指と人差し指の間は上気道、気管支の反射区で風邪の初期はここが痛いと思います。咳がひどくなると人差し指から小指の間が痛くなります。痛いところを時間をかけて揉みます。小さなお子様の場合も同様です。

次に右図の上腕部に呼吸器系の調整をするツボが並んでいる線があります。この線上のツボを押していきます。ピップエレキバンを張っても有効です。

「尺沢」(肘関節前面上腕二頭筋腱の外縁)→ 風邪全般の症状改善

「孔最」(尺沢穴の下、指4本)→ 咳への対応 

「列缺」(両手の拇指と次指のまたを交差させ、示指の先端が当たるところのくぼみ) → 頭痛への対応

拇指の爪先で手首方向へ力を入れて押します

「太淵」(橈骨の手根関節の掌側腕横紋の外縁、陷中)→ 風邪による倦怠感の除去 

4. 熱はあるが、発汗ができず、倦怠感が強い場合の対処です。風邪の初期によくある症状です。
右図「外関」(手首の関節の横紋中央から指2本)

腕を回外してとります。手首の関節の横紋中央から橈骨と尺骨の間を指を滑らせて指が止まるところです。位置的には範囲が広いツボで、押して一番ひびきが強い箇所に取ります。解表のツボと言われ、風熱を取り除く名穴です。爪で断ち切るように手首に向けて押してください。5回ぐらいゆっくり押し、さらに時間をおいて頻繁に押してください。ピップエレキバンを張っても結構です。熱が下がり、倦怠感が改善していきます。

 

5. 鼻炎がひどい場合、次のツボを押してください。 

右図「上星」 (手関節横紋を鼻の先端に当て、中指先端の当たるところ)

手拳の形で中指第2関節の先を使って、頭蓋骨の中心部に向かい強めに1分程度押します。

右図「飛揚」 (下腿後外側、腓腹筋外側頭下縁とアキレス腱との間、崑崙の上方、承山の外下方指一本強)

腓腹筋外側頭下縁になりますが、よほど筋肉が発達していないと腓腹筋外側頭下縁はよくわかりません。まず、「承山」(膝裏の横紋と外くるぶしの先端と同じ高さのアキレス腱を結んだ中間)を見つけ、その外下方指一本強を見つけた方がわかりやすいと思います。

水溶性の鼻汁が出る場合に効果的です。

 

6. 咽喉が痛い時の対処です。

右図「扁桃」 (足背で親指の付け根の外側の横)

強烈に痛いところがあるはずです。探ってください。我慢して押し揉むか、ピップエレキバンを貼ってください。

次の項のc4「咽喉」もお勧めです。ピップエレキバンを貼ります。耳の場合はシールの八方を切り落として小さくし、目立たなくします。

 

7. 耳ツボで風邪を治す方法です。

右図「上肺」 (耳甲介腔(耳の穴につながる大きなくぼみ)の中央を取り巻く上の方)

「気管」 (耳甲介腔(耳の穴につながる大きなくぼみ)の中央と外耳道との間)

「下肺(かはい)」 (耳甲介腔(耳の穴につながる大きなくぼみ)の中央を取り巻く下の方)

「咽喉」 (耳珠内側上方の1/2)

「外鼻」 (軟骨の付け根で中央)
「内鼻」 (耳珠内側下方の1/2)

耳珠の裏側の少し下、外鼻の真裏より外側且つ下になります。

耳ツボは手軽に押せます。一日何回でも指または爪で押してください。

 

8. 次に背面で治す方法です。まず首です。首のコリをとり、ごくひき始めの風邪を治します。 (次項の図を参照してください)

「風府」 (外後頭隆起下方(指二本弱)の陥中)

「風池」と同じ高さになります。

「天柱」 (盆のくぼの中央から指2本外側で僧帽筋腱の外縁陥凹部)

次の左右の「風池」を結んだ線より少し下側に位置します。「風池」を結んだ線には「上天柱」というツボがあり、「天柱」に劣らぬ効用があります。

首を後ろに倒し、首の重みを利用して右側は左手の(左側は右手の)中指で押さえた方が効きます。

「風池」 (僧帽筋腱(僧帽筋の起始部)と胸鎖乳突筋の間の陥凹部、後頭骨の骨際)

体の正中線より指3本弱外側に位置します。タオルを巻いて温めることも有効です。初期の風邪のときは、夜寝るときタオルを巻いてください。しかし、2、3日以上巻き続けると逆に鼻水が止まらなくなるようです。

ご家族に指圧をする場合は、仰向けになってもらって下から中指を使って行ったほうがツボに入ります。

 

9. 次に背中の上のほうのツボに移ります。

風邪の初期は「大杼」から「膏肓」までにコリがあります。

「大杼」 (第一、第二胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本)

「風門」」(第二、第三胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本)

「肺兪」 (第三、第四胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本)

「厥陰兪」」(第四、第五胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本)

「膏肓」」(第四、第五胸椎棘突起間脊柱の傍、指4本肩甲骨内縁、最も強い響きのあるところ)

これらは風邪が治るまで欠かせないつぼです。こりがある場合は、そのこりが緩まるまで少し長めに指圧をしてください。なお、「肺兪」は左右の肩甲棘突起内端を結んだ線上を目安にしてください。

 

10. さらに風邪が進行するにつれ、

「膈兪」」(第七、第八胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本)

「膈兪」は左右の肩甲骨下縁を結んだ線上を目安にしてください。

d10 (膈兪の斜め上の痛みがあるところ)

咳が出だした時は特にこのツボが有効です。

    

11. 咳がひどい場合の対処です。次のどの方法でも結構です。

①項番3の足背の指の間

②項番3のb2「孔最」

③右図「神蔵」 (前胸部、第2肋間、正中線の外方指3本)

鎖骨の下にすぐ第1肋骨を触れ、その下にくぼんだ部分を触れます。最初のくぼんだ部分が第1肋間になります。その下が第2肋骨になります。「神蔵」は第2肋骨と第3肋骨の間に取ります。刺激を持続させるためにピップエレキバンを貼ってください。 

第2肋骨は次の方法でも見つけられます。胸骨は、胸骨柄、胸骨体、剣状突起の三つの部位で形成されています。胸骨柄は最も上方にあり、上から指を下方へ滑らせると少し盛り上がって、小さい溝があるところに当たります。これが胸骨角です。胸骨角に第2肋骨が付着します。

④右図「膻中」 (胸骨体の中央、両乳中穴を結び正中線と交わるところ、胸骨の正中で少し窪んだくぼんだところで按じて痛むところ、または、左右の脇の下を結んだ線の中点から真下の指4本)

「膻中」の下も探り、圧痛点を中指で軽く押します。または軽く回します。咳が出ているときにも軽く押します。症状が和らぎます。

  

 

12. 風邪が胃にくる場合があります。症状としては、吐き気、食欲不振です。その場合、右図左右の足裏青色の反射区を押すと激烈な痛みがあります。この反射区が有効です。  

13. 痰がひどく、咳を頻繁にするという場合の対処です。

右図「豊隆」(膝蓋骨(ひざのお皿)の下縁と外踝の間を16等分した中央の高さで前脛骨筋(すねの外側に盛り上がる筋肉)の外縁)

膝蓋骨の下縁と外踝の間に手を広げ、中央を探ってください。足三里から指4+3本下を目安にしても結構です。足三里から足首の中央へ垂直におろした線よりも指1本外側になります。前脛骨筋は足を背屈した方が分かりやすいと思います。痰湿(体内に余分な水分が溜まり血脂が高い状態)除去の特攻穴で、「去痰(気管や気管支にたまった痰を除去すること)の要穴」とも呼ばれています。強い圧痛を探し、ピップエレキバンを貼り、時々押します。

 

14. 夏風邪への対処です。夏風邪はのどの痛み、腹痛・下痢といった症状が出ると言われています。

①予防としては項番1が必須です。風邪をひきやすい方は日常的に項番3の足背の第一から第五までの中足骨の間を指圧棒で押し込んでください。

②のどの痛み、嗄声(させい;しわがれ声のこと)への対処です。

・項番2の「合谷」を押しこんでください。

・右図「咽頭点」 (手の中指の掌指関節の薬指側)

あわせて斜線の部分「頸咽区」 (中指の付け根)を押し揉んでください。「合谷」、「咽頭点」とも、ピップエレキバンを貼ってください。

・右図「咽喉ゾーン」 (足の甲側・裏側、親指と人差し指の間)

付け根側も丹念に押し揉んでください。甲側はあまり強く押し揉むと内出血しますので注意してください。

・右図「臂臑」 (肩峰の外端で肘を上げると2つの凹みが生じ、その前の凹みより指4本下)

主に嗄声への対処です。ほぼ、前脇下横紋端の水平線上です。指4本下も含め、圧痛点を探ります。これもピップエレキバンを貼り、時折上から押してください。

③腹痛・下痢への対処です。

右図の足裏の腸の反射区への押圧です。まず、大腸の反射区で、右足から左足での数字の順番に押してください。2と3のラインはリスフラン関節の少し下方(但し、第四中足骨基底部では同関節の上方)、5のラインは内髁と外髁を結んだ線になります。つぎに小腸の反射区です。斜めの線のエリアを押し揉んでください。

 

右図「足の三里 (膝の外側直下の小さなくぼみから指4本分下 )