年配になっての食欲不振は、何らかの要因があり、二次的に意欲と心の平安をなくし、身体が衰え、その結果として脾(消化系)の経絡(ツボの経路)の虚(衰え)があるととらえます。従って、脾の強化とともに「気」を活性化し、神経を落ち着かせるという観点からツボ療法を行っていきます。手、おなか、足のツボ・反射区を使った方法を項番1から4に示します。自分に合った項番の方法で施術してください。加えて、「足の疲れ」のページを参照し、足の衰えを極力抑えてください。
1. まず手軽にできる手のツボからです。
右図「内関」(腕関節掌側横紋の正中から指2本)
胃の動きを正常化するとともに、自律神経の安定、不安や動揺の調和に効く名穴です。
「胃腸点」 (手のひらの中央部と手首の付け根の中間点)
手首側より探ってみると、手の腹のふくらみを超えて少し平らになったあたりです。
「胃・脾・大腸区」 (手を握るように親指をすぼめて、内側のしわが寄ったあたり)
手の「心包区」(中指を下がった手のひらの中央)
特に中央部を良く押し込んでください。心を落ち着けます。
2. 次におなかのツボです。
右図「中脘」 (胸骨体下端(肋骨弓が交差する部位)から臍までの線の中央)
臍の中心から真上に指4本+1本のところに圧痛を探る方法が分かりやすいと思います。胃腸疾患の名穴です。
「巨闕」 (胸骨体下端(肋骨弓が交差する部位)から指3本分下)
胸骨体下端は、みぞおち下から上方にさすると出っ張り(剣状突起)があり、その上のくぼみになります。
強いストレスや心労をいやす名穴です。
「中脘」、「巨闕」とも少し前かがみの姿勢または仰向けに寝て押します。
3. 次に足裏のツボ、反射区です。もっともお勧めです。
右図「胃ゾーン」 (土踏まずの上、親指の付け根の下のふくらみ(拇指球)の下部)
「十二指腸ゾーン」(足裏第一中足骨の基部)
「胃ゾーン」、「十二指腸ゾーン」は消化する方向つまり図の矢印の方向に押し込んでいきます。左足と右足の方向が違いますので、ご注意願います。
「湧泉」 (足の五本の指を内側に曲げた時にできる凹んだところ)
腎の経絡を強化することで、慢性疲労に効きます。
「腹腔神経叢」(「湧泉」を中心に第一中足骨と第二中足骨の間から、第三中足骨と第四中足骨の間までの範囲)
特に、親指と人差し指のまたから踵方向に4cm下がったふくらみの稜線上、そして、そこから拇指球の下のくぼみまでの箇所が効きます。神経の緊張状態を取り除く有名なゾーンです。
4. 食欲増進には定評のある足のツボです。
右図「足三里」 (膝の外側直下の小さなくぼみから指4本分下)
気力を取り戻し、強壮とともに消化機能を活発化します。
「豊隆」(膝蓋骨(ひざのお皿)の下縁と外踝の間を16等分した中央の高さで前脛骨筋(すねの外側に盛り上がる筋肉)の外縁)
膝蓋骨の下縁と外踝の間に手を広げ、中央を探ってください。足三里から指4+3本下を目安にしても結構です。足三里から足首の中央へ垂直におろした線よりも指1本外側になります。前脛骨筋は足を背屈した方が分かりやすいと思います。
右図「太白」 (足の母指内側第一中足指節関節の後陥中)
脾の経絡の重要経穴です。