下記の豆知識の通り、加齢ともに骨を養生することは必須です。
1. 下腿三頭筋を鍛えます。つま先立ち(カーフレイズ)後、かかと落としをします。
・ 踵を上げ、踵を落とす動作を繰り返します。
・ 目安として2秒で上げ、その後、床に踵を打ちつけます。
・ 壁に手をかけて安定させ、行います。
・ 足の親指で支えるイメージです。
・ 慣れてきたら、壁に手をかけないで行うとより強度が増します。
・ 30~50回を1セットとします。
2. 左右の足のかかと中央の「失眠」というツボを軽く木槌で叩きます。
中国では「失眠」の位置を足裏の縦の中心線と内・外踝を結ぶ線との交差点としています。踵の中央より前になります。朝夕少し広めに且つ強めに100回ぐらい叩いてください。
木槌は直径36mmが適当です。
3. 骨を養生するためには体のバランスを崩しても転倒しない体作りが必要です。
開眼(目を開けたまま)片足立ちをしながら、足上げ、太もも上げをします。骨粗鬆症や転倒による骨折防止と筋肉強化に有効です。昭和大学の阪本桂造先生によると1分間の片足立ちの負荷は53分の歩行に匹敵するそうです。
左右それぞれ1分ずつです。本ページではできるだけ片足立ちと運動を平行することを勧めていますが、ご高齢の方は片足立ちだけでも結構です。
①太もも上げ
・腸腰筋を鍛えます。
・腸腰筋は腸骨筋、大腰筋及び小腰筋から構成され、股関節を屈曲する筋肉です。小腰筋はほとんど退化しており、実質腸骨筋、大腰筋で構成しています。
・この筋肉が衰えると猫背姿勢になり、足が上がりにくく、つまずきやすくなります。
・まっすぐ立ち、太ももを前方に上げます。股関節の角度は慣れてきたら90度ぐらいです。
②足上げ
・大臀筋、中臀筋、ハムストリングを鍛えます。
・まっすぐ立ち、片足立ちのまま、もう一方の片足を前、横及び斜め後ろ(中臀筋を鍛える)、後ろ(大臀筋、ハムストリングを鍛える)に上げ、キープします。そして、最後は前後に振ります。上げる高さは踵が床から20~30cmぐらいです。なお、片足立ちをしてもふらつかないようにバランスがとれるのは中臀筋のおかげです。
・安定しない場合は壁に手をついてください。
《豆知識》
骨は単なる体の支柱だけでなく、重要な臓器のひとつである。
・骨はカルシウムとたんぱく質の一種であるコラーゲンから出来ている。コラーゲンが土台となり骨にしなやかさを与え、カルシウムなどのミネラルがコラーゲンに付着することで骨に強度を与えている。
・そのほかにも微量な成分として「オステオカルシン」や「オステオポンチン」が含まれている。これらの微量成分は、骨から溶け出して全身の臓器に働きかけるメッセージ物質として機能している。
・「オステオカルシン」は脳、精巣、筋肉、膵臓などに働きかけ、記憶力、筋力、精力などをアップする「若返り物質」として働くことが知られている。
・骨粗鬆症の方は、「オステオカルシン」の分泌が減って、インスリンの分泌も減ってしまい、血糖も上がる。
・「オステオカルシン」は脳血液関門を超えて脳に入り、海馬に働いて認知症状を改善していることがわかっている。
・「オステオポンチン」は免疫細胞を増やす働きがあるので、傷を治しウイルスの除去などに役立つ。ただし、必要以上に増えすぎると逆に老化を早めてしまう。
・骨がぼろぼろになると血管がカチカチになる。骨粗鬆症と動脈硬化には関係がある。骨粗鬆症になると血液中に流れ出たカルシウムの一部は血管(動脈)に中へ移動し、動脈の壁に沈着する。これらの関係を「骨血管連関」という。
・「オステオカルシン」と「オステオポンチン」は、体内で作られる非コラーゲン性タンパク質であり、食べ物からは直接摂取することはできない。 これらのタンパク質は、骨の有機成分の一部であり、骨細胞によって合成(生物が自らの体内で新しい物質を作り出す)される。 「オステオカルシン」は、ビタミンK依存性タンパク質であり、ビタミンKの存在が必要である。一方、「オステオポンチン」は、骨細胞によって合成されるタンパク質であり、ビタミンKの存在は必要ない。
(豆知識の参考文献)
・伊藤裕(2015)『なんでもホルモン』朝日新書.
・伊賀瀬道也(2016)『血管力革命 健康寿命を延ばす46の知恵』冬樹社.
・荻野剛志/監修(2020) 『図解眠れなくなるほど面白い人体の不思議』 日本文芸社.
・保健指導リソースガイド(2018/12/5) 『骨が分泌する「若返り物質」運動が若さを保つメカニズムを解明』、閲覧日 2023/11/19、 https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2018/007874.php
・骨ちょっといい話 『骨の基本知識~骨の役割としくみ~』、閲覧日 2023/11/19、 https://www.meg-snow.com/hone-goodstory/knowledge/basic/
・骨の役割とホルモン(2019/7/3) 『老化物質と骨』、閲覧日 2023/11/19、 https://mindful-health.co.jp/news/vol-25-20190703/
・宮坂昌之ほか(2018)『免疫と「病」の科学』講談社.