高血圧はなかなか改善しにくい病気です。しかし、薬に頼る前にまず自らの手で改善する努力をしてください。高血圧は生活習慣に影響されることもあって、習慣そのものを変える自らの努力が必要です。薬を飲んでいらっしゃる方は、薬はもちろんのこと、生活習慣、運動習慣、食べ物、ツボ療法、呼吸法等総合力で対応してください。
1. 次のような生活習慣に気をつけてください。
①日常的に飲酒が習慣になっている人は、飲酒を控えることです。10~20(mmHg)は確実に下がります。
②有酸素運動の有効性はよく言われていますが、筋肉トレーニングも有効です。特に下半身です。お勧めは「踵挙げ」、「踵落とし」です。
③日常的に睡眠不足になる生活は改善してください。
④首こり、肩こりを予防してください。「自分でできる運動療法」ページの《ストレッチ》、《首が痛いときの対処》を参考にしてください。
⑤呼吸法もお勧めです。日常的に行ってください。
・中国唐の時代の有名な医書「千金方」に書かれている呼吸法です。
「常に鼻から清気を引き入れ、口より濁気を吐き出す。入るること多く出すこと少なくす。出すときは口をほそくひらきて少しずつ吐くべし」
《豆知識》
・60歳を過ぎると下の血圧はゆるやかに下がると言われています。つまり、上の血圧と下の血圧の差である脈圧が大きくなります。
・細い血管が硬くなる動脈硬化、すなわち末梢血管抵抗が大きくなると平均血圧を上げ、太い血管の動脈硬化は脈圧が大きくなると言われています。
(注)平均血圧=下の血圧+(上の血圧ー下の血圧)/3
2. 次に高血圧に有効なツボのポイントです。
①手足の末梢のツボ、顔のマッサージ、大腸の経絡(ツボの経路)で、全身の血流の改善を狙います。日常的に項番3①の井穴、②捏五指法、③顔のマッサージ、④「合谷」、⑤「曲池」を押すことを勧めます。
②首や肩のコリをとります。項番5の首や肩のツボがお勧めですが、セルフで行う場合、項番6②の項ゾーンの足の親指の裏付け根中央のお灸やピップエレキバンがお勧めです。
③東洋医学的観点から見ると、瘀血(血液の流れが悪い状態)、湿熱(熱が過剰なタイプ)、痰湿(水が滞っているかまたは過剰なタイプ)の状態です。体質的な改善も図ります。「体質とツボ」ページを参考にしてください。
3. まず、手、耳のツボ、顔のマッサージです。①、②、③が気軽にできてお勧めです。
①最初のお勧めです。右図にありますように各指の爪の生え際(爪体の角から2mm弱)の6か所、「少商」、「商陽」、「中衝」、「関衝」、「少衝」、「少沢」を爪で2~3回痛く感じるほどに押します。内側から「内」、「内」、「内」、「外」、「内」、「外」と覚えるとよいと思います。これらのツボは井穴と呼ばれています。
自律神経を整えます。血圧を測る前に押してみてください。その効果が実感できると思います。一日4~5セット以上押します。筆者自身は10セット押すことを目標にしています。
②指を揉みます。揉み方は指を1本ずつ片方の手で握り、根元から先端に向けて、斜めの方向に回しながら押し揉んでいきます。各指5回ぐらい揉みます。一日何セット回行っても結構です。捏五指法といいます。
③「浴面生華」という、顔のマッサージです。
・手のひらをこすり合わせ、温めます。
・両手のひらを左右の頬に当て、顔の内側から外側へ、手のひらでゆっくり力を入れず楕円状になでていきます。一日2セット、1セット当たり20回行います。
④右図「落零五」 (手の甲側で人差し指と中指の股から手首の方へ指幅およそ1本半分くらいの所)
「合谷」 (手背、第二中手骨中点の橈側のくぼみ)
10~15秒長押しします。
「陽谿」 (第一指と第二指を伸展して、深い凹窩の 生じるところ)
片方の手にひらを手首内側に当て、しっかりつかみ安定させ、親指を立てて押し込みます。「陽谿」のほんの近くに「沢田流合谷」(陽谿のやや指側で動脈を打つところ)があり、少し範囲を広くして押しこみます。
⑤右図「曲池」 (肘を十分屈曲して、肘窩横紋外端の陥凹部)
高血圧の名穴です。初めは弱く、次第に強く外向きに、ひびきの感覚が拡散するように押します。10~15秒長押しします。
じっくり日数をかけて効いてくるツボです。効いてくると長期的に安定した効果を出します。
⑥右図「降圧溝」 (耳の上部外側の裏側に縦及び斜めに走っている溝)
「耳背溝」とも言います。耳背に対輪と対輪上脚、対輪下脚により作られるY字型の溝があります。耳輪の上の方を横に引っ張るとY字型の溝が良くわかります。その溝を人差し指で上下に20~30回こすります。即効性はありますが、続けないと戻ります。
4. 次の頭のツボも定評があります。
右図「百会」 (頭部正中線と左右の耳尖を結んだ線の交叉部)
「百会」から「前頂」(「百会」の指2本前)までの線、「頂中線」も押します。
5. 次に首の特効穴と首のコリを取るツボを紹介します。①がお勧めです。
①右図「天柱」 (盆のくぼの中央から指2本外側で僧帽筋腱の外縁陥凹部)
次の左右の「風池」を結んだ線より少し下側に位置します。「風池」を結んだ線には「上天柱」というツボがあり、「天柱」に劣らぬ効用があります。首を後ろに倒し、首の重みを利用して右側は左手の(左側は右手の)中指で押さえた方が効きます。
「風池」 (僧帽筋腱(僧帽筋の起始部)と胸鎖乳突筋の間の陥凹部、後頭骨の骨際)
体の正中線より指3本弱外側に位置します。
「健脳」 (風池より指幅1.5本下)
指幅1本下という説もありますが、本サイトでは1.5本下とします。
「百労」 (脊柱の正中第七頸椎棘から指幅3本分上、外側指1.5本)
人によって第七頸椎棘から指幅4本分上が効く場合もあります。
「肩井」 けんせい (第七頸椎棘と肩の骨の先端(肩峰角)を結んだ中央)
第七頸椎棘という言葉が出てきましたので、ここで説明しておきます。
第七頸椎棘は、首を前に曲げると首と背中の付け根に飛び出る椎骨で、丸く一番大きく見える骨です。棘は椎骨の後端が隆起し、突出したもの (突起)を意味します。第七頸椎は頸椎(首の骨)の一番下で、次の胸椎(背骨)の一番上との違いは首を縦横振ってみると動くのが頸椎、動かないので胸椎です。簡便法として次の方法で判別してください。髪の生え際から指4本下の大きな椎骨です。
②右図「血圧点」
(頭を前に倒すと、首筋に真っ直ぐに伸びた頸の骨(第七頸椎)が浮き出たグリッと隆起した部分から左右指1本半のところ)
第七頸椎の簡単に見つけ方は髪の生え際から指4本下の大きな椎骨です。
③右図「膏肓」 こうこう (第四、第五胸椎棘突起間脊柱の傍、指4本肩甲骨内縁、最も強いひびきのあるところ)
左右の肩甲棘突起内端を結んだ線より指2本弱下を目安にしてください。肩甲骨際より、少し内側の筋肉の上のほうがよりひびきを感じると思います。手を前で抱えるようにして、肩甲骨間をあけるようにしてください。
「膈兪」 (第七、第八胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本)
左右の肩甲骨の下角を結んだ線上を目安にしてください。
「華佗夾脊(胸椎の範囲)」 (各胸椎の棘突起の下縁から、指1本弱外側)
外側からななめに気持ちよい範囲で押します。
6. 次は足のツボ、反射区を紹介します。
①右図「湧泉」 (五指を屈し足底中央の最も隅なるところ)
「内湧泉」 (足の裏、親指の付け根のふくらみから踵よりのくぼみ)
双方とも高血圧にお勧めの名穴です。
②足の反射区を利用する方法です。
右図「頭(大脳)ゾーン」(足の親指の腹)
手の拇指の腹または示指の横で押し揉みます。力が入らない方は指圧棒で押し込んでください。特に中心点の「脳下垂体ゾーン」を重点的に揉んでください。
「項ゾーン」 (足裏の親指の基節全体)
特に足の親指の裏付け根中央のお灸またはピップエレキバンがお勧めです。
「心臓ゾーン」 (左足の中指と薬指の間からかかとの方へ3~4センチほどの位置)
左足のみです
「腹腔神経叢」 (上記「湧泉」を中心に第一中足骨と第二中足骨の間から、第三中足骨と第四中足骨の間までの範囲)
太陽神経叢ともいいます。特に、親指と人差し指のまたから踵方向に4cm下がったふくらみの稜線上、そして、そこから拇指球の下の窪みまでの箇所が効きます。
「腎臓ゾーン」 (第二、第三中足骨の近位端でリスフラン関節線の上)