奇穴

経絡理論が確立された後も経絡のルートにないツボが発見されました。今もなお発見されています。

経絡のルート上にあるツボを「経穴」または「正穴」、ルート上にないツボを「奇穴」と言います。

奇穴は独特の効果を持つものや、正穴を補佐するような効果を持っています。昔、奇穴であったツボが経絡に組み込まれたものもあります。

 

以下のツボは本サイトで紹介している奇穴です。私自身が臨床で経験をし、また講座で説明をし、効果を得ているツボです。

 

(注) 上記の通り厳密に言うと経穴=ツボではありません。

 

**頭頸部**

《四神聡》  ししんそう

[部位] 百会の前後左右親指の幅1本

[適応症] 精神状態を落ち着かせることができ、自律神経のバランスが是正され、頭の感じをスッキリさせる→「百会」とともに使い、「百会」の効果を高める

:認知症、更年期障害、慢性疲労、脳卒中予防、不眠症、疲労感、自律神経を整える、頭痛、脳の疲れ、心の疲れ、抜け毛、物忘れ、養生、鎮静作用、めまい

 

《防老》 ぼうろう

[部位] 百会の後親指の幅1本→四神聡の4つあるツボの内、後のツボ

[適応症]

:白髪、薄毛予防 

 

《太陽》 たいよう

[部位] 目じりから髪の生え際に向かう間にあるこめかみの大きなくぼみ

[適応症] 片頭痛、眼疾患

:目の疲れ、眼瞼痙攣、白内障、脳の疲れ、美容(たるみ)

 

《額中》 がくちゅう

[部位] 額のほぼ中央

[適応症] おでこのしわ

: 美容(たるみ)

(注) 紫外線を浴びている額のシワを取るのは至難の業→加齢や目の使いすぎで上瞼の筋肉(上眼瞼挙筋)が衰えると、目を開くときに額の筋肉(前頭筋)を使い、加齢とともにシワが深くなる→額のシワを取るには目のまわりの筋肉強化(やわらかくする)も必要

 

《印堂》 いんどう

[部位] 額のほぼ中央

[適応症] 鼻炎、頭痛(前頭部痛、緊張型頭痛)

:本サイトでは額のしわ

 

《山根》 さんこん

[部位] 両目の間で、両目の瞳を結んだ線よりやや上

[適応症] 覚醒作用、意識障害、集中力強化

:眉間の小じわ、眠気覚まし

 

《天応》 てんおう、てんのう→「新攅竹」とも言う

[部位] 眉毛の内端2~3mm下

[適応症] 視力の衰え予防→「攅竹」とともに使う

:目の疲れ、近視

 

《魚腰》 ぎょよう

[部位] 眉の中央部分の少しまぶたに下りた眼窩のきわ

[適応症] 視力改善、上まぶたのたるみ

:目の疲れ、飛蚊症、眼瞼痙攣、白内障、糖尿病、美容(たるみ)

 

《球後》 きゅうご

[部位] 目尻から目頭に向かって1/ 4の目のふち

[適応症] 下まぶたのたるみ

:美容(たるみ)、眼瞼痙攣

 

《鼻通》 びつう

[部位] 鼻の左右にあり、鼻を縦に長さを取ったときの真ん中にあるくぼみ

[適応症] 鼻づまり→「迎香」とともに使う

:花粉症、風邪

 

《散笑》 さんしょう

[部位] 法令線の中央、「迎香」と「地倉」の間

[適応症] たるみ、二重顎

:美容(たるみ)、いびき

 

《外後頭隆起の直下及びその左右》 がいこうとうりゅうき

[部位]  外後頭隆起の直下及びその左右

[適応症] 涙液を潤す→緑内障

:緑内障

 

《耳尖》 じせん

[部位] 耳を縦に半分に折ったときの先端

[適応症] 飛蚊症の名穴

:飛蚊症

 

《陽維》 ようい

[部位] 耳の裏側の後下端より指先を当てて上がり、最初のくぼみ

または耳の裏側のほぼ中央のつけ根で耳を前に引っ張ったとき、突っ張るスジが出来るところ

[適応症] 難聴の必須穴

:難聴、耳鳴り

 

《聾通》 ろうつう

[部位] 耳たぶのうしろに触れる乳様突起という骨(頭蓋骨の一部の尖ったところ)の下端から1cm下且つその1cm後→圧痛を探り、「聾痛」を含む乳様突起の斜め下のエリアを揉みほぐすことがコツ

[適応症] 難聴の必須穴

:難聴、耳鳴り

 

《翳明》 えいめい

[部位] 乳様突起の直下で、耳垂と同じ高さにある陥凹部→「翳風」の指1本強後方

[適応症] 平衡感覚を正常化→「翳風」、「瘈脈」とともに使う。近視、遠視

:めまい(回転性)

 

《安眠》 あんみん

[部位] 耳たぶのうしろに触れる乳様突起という骨(頭蓋骨の一部の尖ったところ)の後ろ側の少しくぼんだところ、または乳様突起の指1本下→不眠症は前者を勧める

[適応症] 不眠症の名穴中の名穴

:不眠症、鎮静作用、中途覚醒

 

《健脳》 けんのう

[部位] 「風池」より指幅1.5本下→臨床的には「風池」より下に、指幅1本ずつ3箇所(左右6箇所)を押す

[適応症] 集中力

:認知症、物忘れ、脳の疲れ、抜け毛、更年期障害(冷えのぼせ)

 

《頸百労》 けいひゃくろう→単に「百労」とも言う

[部位] 脊柱の正中第七頸椎棘から指幅3本分上、外側指幅1.5本→臨床的には次の4箇所を押す

・ 指幅3本分上/外側指幅1.5本、指幅3本分上/外側指幅3本、指幅1.5本分上/外側指幅1.5本、指幅1.5本分上/外側指幅3本

[適応症] 首の気、血の滞り

:認知症、物忘れ、脳の疲れ、疲労感、心の疲れ、更年期障害、めまい、頭痛、高血圧、目の疲れ、白内障、首の痛み、肩こり、首~背中の痛み

 

《第六頸椎点》 だいろくけいついてん

[部位] 第6頸椎棘突起から左右親指幅1本→臨床的には指幅1本の箇所から「肩井」まで何カ所か押す

[適応症]  古い傷による頸部や肩の慢性的な痛み

:肩こり、首の痛み、首~背中の痛み、心の疲れ、疲労感、

 

[注] 次の場所は奇穴ではなく、縫合の合点です→臨床としては良く使用するため付加しました

《アステリオン》 星状点とも言う

[部位] ラムダ縫合、頭頂乳突縫合及び後頭乳突縫合の合点→耳尖(耳介の尖がった先)の指1本弱上から指4本ほど後方のくぼみ

[適応症] 目の疲れ、

:ドライアイ、眼瞼痙攣、目の疲れ、緑内障、白内障、花粉症、首~背中の痛み、老人性難聴、

 

**胸腹部**

《子宮》 しきゅう

[部位] 恥骨結合上縁中心から上方に親指幅1本さらに指4本横

[適応症] 子宮下垂、胃下垂、不妊症

:下腹部の内臓下垂予防、不妊症

 

《中条流(子はらみの灸)》 ちゅうじょうりゅう

[部位] 口の横幅(口角から口角)を一辺とした正三角形を作り、頂点をへそに当て、底辺の左右に角の二穴

太っている方は、正三角形の一辺を、口角の一端から鼻尖の下へ上がり、さらに反対の口角までの長さ

[適応症] 不妊症のツボとして古来より伝わる療法で、「中条流子はらみの灸」と名付けられている

:不妊症

 

《便秘穴》 べんぴけつ

[部位] 臍の指3本下且つその左指1本横→左側のみ

[適応症] 便秘の特効穴

:便秘

 

**背部**

《後腋下》 ごえきか→「後極泉」とも言う

[部位] 背後の腋窩横紋頭

[適応症]  腋下リンパ節の滞り→腋窩横紋端も含めて近辺も押す

:首~背中の痛み、肩こり、リンパを流す

 

《定喘》 ていぜん→「治喘」とも言う

[部位] 第七頸椎棘突起下のくぼみから外側指1本弱

[適応症] 呼吸器疾患

:咳喘息、痰

 

《華佗夾脊》 かだきょうせき

[部位] 第一胸椎(12)から第五腰椎(5)までの棘突起の下縁の指1本弱外側(12+5)→斜め内側に向けて押す

[適応症] 五臓六腑の慢性的な不調、虚弱体質→本サイトは呼吸器系、脈管系で使用

:高血圧、帯状疱疹、咳喘息、風邪

 

《気喘》 きぜん

[部位] 膈兪の外上方で痛み、硬結があるところ→大体指幅2本

[適応症] 咳の名穴

:風邪、肺炎予防、咳喘息

 

《胰兪》 いう→「膵兪」とも言う

[部位] 第八、第九胸椎棘突起間脊柱の傍、指2、3、4本(→臨床上はそれぞれの反応を探る)

[適応症] ストレスによる疲労がたまるとこのツボに著名な圧痛がある

:首~背中の痛み

 

《腰眼》 ようがん

[部位]  第四、第五腰椎棘突起間脊柱の傍、指4本強、腸骨の上端の高さ

[適応症] 腰痛、座骨神経痛の必須穴→腰眼押しまわし

:慢性の腰痛、座骨神経痛

 

《仙骨部》 せんこつぶ

[部位]  脊椎の下部に位置する大きな三角形の骨全体をカバーする範囲

[適応症] 冷え症→冬は仙骨、下腹部(おへその下)の両方を温める。夏は夏用腹巻き

:冷え症

 

《排便中枢》 はいべんちゅうすう

[部位]  便座に座った姿勢で仙骨の正中線から2~3cm離れたところを縦にマッサージ

[適応症] 便秘、ガスだまりの解消には必須

:便秘、大腸機能向上、お腹のガスだまり

 

《臀中》 でんちゅう

[部位]  大転子から坐骨結節の線を底辺とした一辺で三角形を作り、その頂点

(坐骨結節の見つけ方)

椅子に座り、椅子とお尻の間に手を入れて骨盤の真下に『ゴリゴリ』とした部分を感じる。その部分が坐骨結節である

[適応症]

:腰背部の疲れ、冷え症

 

**上肢**

《治痒穴》 ちようけつ

[部位] 上腕の外側、腋窩横紋と肩峰から下りた線の交点、または乳首の水平線と肩峰から下りた線の交点→どちらのツボも有効

[適応症] かゆみの名穴、かゆみの原因である湿疹の炎症も緩和

:かゆみ、蕁麻疹

 

《沢田流郄門》 さわだりゅうげきもん

[部位] 前腕前面、肘関節正中から腕関節に向け指4本

[適応症] 不整脈、動悸、息切れの必須穴

:不整脈、狭心症、心機能向上、ばね指

 

《還晴》 かんせい

[部位] 肩の付け根と肘の中間

[適応症] 緑内障の名穴

:緑内障

 

《落零五》 らくれいご

[部位] 手の甲側で人差し指と中指の股から手首の方へ指幅およそ1本半分くらいの所

次の「落枕」の手首寄りの隣

[適応症] 井穴と同じ気軽の押せる高血圧のツボ

:高血圧

 

《落枕》 らくちん→外労宮(そとろうきゅう)とも言う

[部位] 次の「頸項点」から約1センチ手首より

[適応症] 寝違いの特効穴

:首の痛み

 

《頸項点》 けいこうてん

[部位] 手をグーにして、人差し指と中指の骨の出っ張りの間

[適応症] 落枕と一緒に使う

:首の痛み

 

《咽頭点》 いんとうてん

[部位] 手をグーにして、中指と薬指の骨の出っ張りの間

[適応症]

:首の痛み

 

《腰腿点》 ようたいてん

[部位] 手の甲に二つあり、人差し指と中指の間の溝、薬指と小指の間の溝をそれぞれ手首の方に向かってたどり止まるところ

→中手骨という骨が接する手前のくぼみ。場合により、もう少し手首に近いところに圧痛があるときもある。特にぎっくり腰には薬指と小指の間の溝のほうが効く。また、臀部、下肢外側の疼痛、腰をひねると痛みが出る症状に有効

[適応症] 腰痛

:急性の腰痛、首~背中の痛み、座骨神経痛

 

《腹瀉点》 ふくしゃてん→別名「下痢点」とも言う

[部位] 手の甲側、中指と薬指の間の溝を手首の方に向かってたどり、止まるところ

→左手のほうが効く

[適応症] 急な下痢の症状を止める(時間稼ぎをする)ための必須穴

:下痢

 

《指間穴》 しかんけつ→別名「八邪」とも言う

[部位] 手の甲側の指の股

[適応症] 指先の血行促進

:ヘバーデン結節、ガングリオン

 

《十宣》 じゅっせん、じっせん

[部位] 手の指の最先端

[適応症] 指先の血行促進→四肢麻痺、脳卒中後遺症

:ヘバーデン結節、脳卒中後遺症

 

《澤田流合谷》 さわだりゅうごうこく

[部位] 「陽谿」のやや指側で動脈を打つところ

[適応症] 腱鞘炎の名穴

:腱鞘炎、高血圧、リンパを流す

 

《感冒点》 かんぼうてん→「裏合谷」とも言う

[部位] 「合谷」の裏(掌側)

[適応症] のどの痛みによく効く→「合谷」とともに使う

:風邪

 

《四縫》 しほう

[部位] 手のひらの人差し指から小指まで四指の第二関節中央

[適応症] チック症の必須穴

:チック症

 

《口内点》 こうないてん→「手中平(しゅちゅうへい)」とも言う

[部位] 手のひらの中指付け根

[適応症] ヘルペス性口内炎等の症状によく効く

:美容

 

《胃腸点》 いちょうてん

[部位] 手のひらの中央部と手首の付け根の中間点

[適応症] 消化器系の不調

:胃痛、食欲不振

 

《腎穴》 じんけつ→「夜尿点」とも言う

[部位] 小指の指先側、第一関節の横しわ中央

[適応症] 夜間頻尿

:頻尿、抜け毛、更年期障害、脂漏性皮膚炎

 

**下肢**

《百虫窩》 ひゃくちゅうか

[部位]  大腿骨内側膝蓋骨内上角の上方、指4本→「血海」より指1本上方

[適応症]  むずむずしたかゆみ、湿疹に有効

:かゆみ、アレルギー性皮膚炎

 

《鶴頂》 かくちょう

[部位] 膝関節前面で膝蓋骨上縁の中央

[適応症] 膝の上の痛みに有効

:膝痛

 

《外膝眼》 がいしつがん→足陽明胃経「犢鼻」の別名称

[部位] 膝の前面で膝の下にできる外側のくぼみ

[適応症] 膝の痛みには定評のあるツボ→次の「内膝眼」とともに使う 

:膝痛

 

《内膝眼》 ないしつがん

[部位] 膝の前面で膝の下にできる内側のくぼみ

[適応症]

:膝痛

 

《膝内側点》 ひざないそくてん

[部位] 何かの拍子に痛みが出る場合があり、そのとき痛む箇所を覚えておくこと→そこが治療点→「外膝眼」、「内膝眼」とこのツボの3点がセット

[適応症] 膝の内側の痛みに有効

:膝痛

 

《営池四穴》 えいちよんけつ

[部位] 足の内踝の前後にあるくぼみ

[適応症] 中国の古い医書「千金方」に書かれている生理痛、生理不順に欠かせないツボ

:生理痛、リンパ浮腫予防、リンパを流す

 

《内湧泉》 ないゆうせん、うちゆうせん

[部位] 足の裏、親指の付け根のふくらみから踵よりのくぼみ

[適応症] 高血圧の特効ツボのひとつ→高血圧はツボの組み合わせが大事

:高血圧

 

《足心》 そくしん

[部位] 足裏の真ん中→腎臓ゾーン(反射区)の下に位置するが、重なる部分が多い)

[適応症] 湧泉の変動穴との説あり→むくみ、腎臓の働きをよくする

:むくみ、足底痛、下肢静脈瘤、こむら返り

 

《外踝下3点》

[部位] 外踝の下(「申脈」)、斜め下、後(「崑崙」)

[適応症] 座骨神経痛の必須穴

:座骨神経痛

 

《女膝》 じょしつ→女室とも書く

[部位] 踵の尖端で、足の裏の赤っぽい色から「かかと」の普通の肌色に変わるその境界線のところ

[適応症] 歯周病の名穴→毎日のお灸を勧める

:歯の養生

 

《失眠》 しつみん

[部位] 踵の中央部

[適応症] 不眠の名穴、利尿、むくみ、骨密度低下→木槌で100叩き

:むくみ、下肢静脈瘤、骨粗鬆症、不眠症、足底痛

 

《八風》 はちふう→足の反射療法では「上部リンパゾーン」と呼ばれるゾーンと一致

[部位] 足裏、足の甲の各々の趾間の根元

[適応症] リンパの流れを改善し、自律神経のバランスを整える

:甲状腺異常、乳腺炎

 

《裏内庭》 うらないてい

[部位] 第二指本節の横紋の横寸を一辺とした正三角形の頂点→足の第2指裏側の最も高いところに墨を付け、折りまげて足底につくところに取る→お灸が必須

[適応症] 食中毒の名穴

:蕁麻疹

 

《眼精》 がんせい

[部位] 足の甲側、人差し指と中指の間の指のまたから少し甲側に入ったところ

[適応症]  ドライアイに卓効

:ドライアイ