ご家庭でできる「心の養生」のツボ療法です。
まず、1984年WHO西太平洋地域事務局会議で同意が得られた「頭皮鍼穴名称国際標準」のツボを使います。
次に古来より伝わる五臓の経絡、ツボを使います。
中国古代の思想に五行思想があり、いろいろな事象を5つに分類しています。臓を「肝」、「心」、「脾」、「肺」、「腎」に分類し、それぞれの臓に影響を与える「こころ」の動きをそれぞれ「怒(いらいら)」、「喜」、「思(考えすぎる)」、「悲(沈む)」、「恐」と当てはめています。「肝」、「心」、「脾」、「肺」、「腎」の経絡を整えることで、それぞれの「こころ」の動きを中庸に戻し、体の不調も整えます。
1. 脳のツボです。
①右図「百会」 (頭部正中線と左右の耳尖を結んだ線の交叉部))
髪の生え際から指幅7本上または7本弱(女性は6本上)で少しくぼんでいるところを探ります。
「四神聡」 (百会の前後左右親指の幅1本)
「神」は精神の意味、「聡」は聡明の意味で、精神状態を落ち着かせることができ、自律神経のバランスが是正され、頭の感じをスッキリさせる効果があるツボです。
「頂中線」 (「百会」から「前頂」(「百会」の指2本前)までの線)
「百会」から「前頂」までを押し揉みます。脳の活性化を狙います。
②「額中線」 (頭の正中線、縦の線は前髪際から指2本下まで(縦の線は以下同様))
「額旁Ⅰ線」 がくぼういっせん (頭の正中線から指1本半外側)
「額旁Ⅱ線」 (まっすぐ前を見た状態で瞳孔を上がった線上)
「額旁Ⅲ線」 (額角から指半分内側)
鎮静化が狙いです。
2. 首~背中のツボです。
①右図「風池」(僧帽筋腱(僧帽筋の起始部)と胸鎖乳突筋の間の陥凹部、後頭骨の骨際)
体の正中線より指3本弱外側に位置します。
「健脳」 (風池より指幅1.5本下)
指幅1本下という説もありますが、本サイトでは1.5本下とします。ツボの名前通り健脳を狙います。
加えて、「風池」~「健脳」~次の「肩井」までの胆経の経絡を押します。不眠や緊張があるとこのラインにこりが出ます。
「肩井」 (第七頚椎棘と肩の骨の先端(肩峰角)を結んだ中央)
②背中にある五臓の兪穴を使います。
右図「肺兪」 (第三、第四胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本)
左右の肩甲棘突起内端を結んだ線上を目安にしてください。
落ち込んでいるときに効きます。
「心兪」 (第五、第六胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本)
心の養生の基本穴です。
「膈兪」 (第七、第八胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本)
「膈兪」は左右の肩甲骨下縁を結んだ線上を目安にしてください。 横隔膜の緩みを狙います。
「肝兪」 (第九、第十胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本)
イライラしているときに効きます。
「脾兪」 (第十一、第十二胸椎棘突起間脊柱の傍、指2本)
食欲不振に効きます。
「腎兪」 (第二、第三腰椎棘突起間脊柱の傍、指2本)
背中から触れる第十二肋骨の先端を結んだ線になります。肋骨の一番下、ちょうど臍の後ろ側の線になります。
「志室」 (腎兪の傍、指2本)
「腎兪」、「志室」ともに慢性疲労、落ち込み、恐れには必須のツボです。
「腎兪」、「志室」の間も押してください。
3. 吸息筋である肋間筋を直接ほぐし、呼吸を楽にします。
各肋骨の間に指をゆっくりと深く入れ込み、その後筋肉をはがすように引きます。内側(身体の正中)から外側に向かって少しずつ肋間を移動していきます。
特に鎖骨下から第5肋間までは必須です。
少し吸息がつらいと感じたときに1日何度でも行います。筆者のお勧めの手法です。
4. 手のツボです。
右図「神門」 (腕横紋上で尺側手根屈筋腱の橈側(親指側)にとる)
不安(パニック)を取り除き、気持ちを安定させます。片方の手の拇指で皮膚に直角に押し、示指の根元の方向に押しこんで脱力します。そのほうがひびきがあると思います。
「内関」 (腕関節掌側横紋の正中から肘に向け指2本)
「労宮」(中指、薬指を折り曲げて双方の先端の当たるところの中間)
中指、薬指双方の先端の中間ではなく、中指の先端という説もありますが、ここでは中間とします。手のひらの中心は「手心」と呼ばれるゾーンで、「労宮」のまわりも含めてゆっくり押してください。気持ちも落ち着きます。