腎陽虚を改善する(按腹)

加齢とともに「腎」が衰え、特に体を温める力(「腎陽」)が弱ってきます。これを「腎陽虚」といいます。この衰えは他の臓腑の陽に影響を与え、全身に冷えによる不調が出ます。

具体的には次のような症状が出ます。

・足腰の衰え、冷え、特に足の冷え、内臓の冷え、慢性的な下痢、胃痛、首・肩背のこり、免疫力の低下、内臓下垂、慢性的な疲労

 

腎陽虚に対処すべく、按腹をお勧めします。70歳手前からは日常的におなかを押し揉むことを日常化してください。冬場は使い捨てカイロを臍下に貼ることも勧めます。 

 

おなか(脇腹含む)に大中小の3つの円をイメージし、揉みます。次に任脈というおなかの正中線にある経絡を押します。最後に背中の腎兪、志室というツボを押圧します。 

 

1. 恥骨上縁から脇腹、肋骨下縁に向けておなかに大きな円をイメージし、左右同時にその縁を両手の人差し指・中指・薬指の3本指または親指を押し込みます。肝、胆、膵臓(脾)、膀胱の養生が狙いです。

①膀胱ゾーン

・恥骨結合上縁

② 肝、胆、帯脈ゾーン

・脇腹の「肝、胆の経絡」は第十一肋骨端、第十二肋骨端の近くを走っており、脇腹と言っても背中側に近いです。

帯脈」 (第十一肋骨端下方、臍と同じ高さ) 

③ 肝ゾーン

・右肋骨下縁

少し深めに指を入れ、下にスライドします。

④ 膵臓ゾーン

・左肋骨下縁

少し深めに指を入れ、下にスライドします。 

 

2. 次に2番目の円です。腸の機能改善を狙います。二つの方法があります。双方とも仰向けに寝て膝を立て、おなかの筋肉をゆるませます。

①一つ目は大腸の位置をイメージし、その大腸に沿って押し揉みます。(赤色の線)

②二つ目は左右の親指と中指及び薬指で二つのツボを基点に右図のエリア(緑色)をシーソーのように交互に50~100回ぐらい押し揉みます。 

府舎 (鼠径溝の中央から指1本上方)

腹哀 (上腹部、臍中央の指4本上方、前正中線の指3+3本外方)

 

3. 3番目の小さな円です。臍の周りの四方穴を押します。腎虚を補い、特に水分調節を狙います。

右図「水分」(臍の上、親指幅1本)

「肓兪」(臍の左右指1本)

「陰交」(臍の下、親指幅1本)

おなかのツボはやや前かがみでおなかをへこませて中指で押します。 

 

4. 任脈というおなかの正中線にある経絡を押します。下から上に指幅1本半ぐらいずつ空けて押していきます。元気を取り戻します。

5. 次に背中のツボです。腎虚改善そのものを狙います。

右図「腎兪」 (第二、第三腰椎棘突起間脊柱の傍、指2本)

背中から触れる第十二肋骨の先端を結んだ線になります。

「志室」 (腎兪の傍、指2本)

押し方としては次の方法がお勧めです。

仰向けに寝て、小さなボールを2個タオルに巻いて腰に当てます。小さなボールとしてバウンドボール(直径56mm)がお勧めです。

「腎兪」と「志室」の間も押し揉んでください。

「京門」 (側腹部第12肋骨尖端の下際)