まず、留意点です。
・体重はBMI25以下に落としてください。
・有酸素運動、筋肉トレーニングは、鎮痛剤に匹敵するぐらい有効です。但し、やり過ぎは禁物です。例えば、青栁幸利先生の「中之条研究」によると「1日10000歩歩く人は3~5年経つと膝を痛める人が多くなった。8000歩ぐらいが適当」とあります。先生は「通勤や家事といった日常活動を含めてトータル一日の単位で「8000歩」、そのなかに「速歩き20分」が含まれていれば健康長寿に最適。75歳以上の方の場合、5000歩・速歩き7分半が基準」と勧めています。
・運動療法の欠点は続けられないことです。運動療法は3~6ヶ月で効果は止まると言われています。しかし、やめると痛みがぶり返します。
※「中之条研究」:群馬県中之条町の65歳以上の全住民5000人を対象に、日常の身体活動と病気予防の関係について2000年度から長期にわたり調査してきた研究
次の筋肉トレーニング運動は膝痛予防に適しています。
1. 椅子から立ちあがる
・スクワットと同じ効果を狙います。毎回椅子に座りますので、スクワットの正しい姿勢が自然にでき、膝の故障を避けることができます。
・腕を胸の前で組みます。
・立ち上がる前に、いったん体を後ろに倒し、背中を背もたれにつけます。この姿勢から立ち上がることで腹筋を鍛えます。
・5カウントでゆっくり立ち上がります。
・8カウントでゆっくり座ります。お尻を後ろに突き出すイメージで座ります。出来るだけ、座る直前でこらえます。
・この一連の動作を5~10回繰り返します。
2. 膝伸ばし(レッグエクステンション)
・大腿四頭筋を鍛えます。
・座ったまま、片方の膝をまっすぐ伸ばします。伸ばした後、足首をそらします。
・足指は前に曲げます。
・この動作を片方ずつ繰り返します。10回行います。
・足を広げて、片方の足を斜め方向に伸ばすと、大腿四頭筋の内側広筋に効きます。
3. 膝曲げ(レッグカール)
・ハムストリングを鍛えます。
・立ったまま、脚をいったん前方に出し、次に後方に引き寄せながら、膝を曲げます。その際、手の先に触るように意識します。
・この動作を片方ずつ繰り返します。10回行います。バランスが取りにくい場合は、何かにつかまります。
4. 内転筋
・椅子にすわり、膝頭のあたりに少し大きめ(10~15cm)のボールをはさみ、内ももに力を入れて3秒間キープします。これを5回繰り返します。
5. 足の疲労回復
右図の通り、片膝をすこし持ち上げ、膝から下を振り子のように前後に振ります。1セット30回、一日3~5セット行います。
この手法はもともと大阪市立大学大学院の名誉教授・山野慶樹先生が考案され、「ひざ振り子体操」と名付けられました。軟骨に栄養を送る関節液の流れをよくし、「軟骨のすり減りを極力防ぐ」、「軟骨を再生する」、「立ち上がりや歩き始めの痛みを防ぐ」ことを狙いとしています。
ドクターも勧めており、雑誌でも取り上げられています。私自身も痛みを防ぐ方法のひとつとして実践しています。私は朝夜寝床の上で寝ながら木槌で「失眠」の百叩きをやって、この手法を実践しています。また、膝が疲れたなと思ったら、この手法をやります。
(本項の参考文献等)
・MYWELL(自分で出来る健康情報)【解説】勝呂徹(東邦大学名誉教授) (2019更新)、『【変形性膝関節症】軟骨再生を促す効果「ひざ振り子体操」のやり方』、 閲覧日 2022-2-12、 https://mywellweb.com/articles/?2104
・yomiDr.(ヨミドクター)【解説】川村昌嗣『膝の痛みに…足ブラブラ体操』(2014)、閲覧日 2022-2-12、 https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20140721-OYTEW62566/
6. 慢性的な膝の痛み、だるさをとる
かがんだ姿勢で、左右の手掌で膝頭を包みこみ、膝頭で横に8の字を10回、次に逆方向に10回描きます。これを3セット/1日行います。
(本項の参考文献)
・孫維良(1997)『ひとりあんま気功』ダイヤモンド社.
・大谷内輝男(2010)『股関節痛を自分で治す本』マキノ出版.