本ページは特に土踏まずの痛みについての対応です。次の二つの手法で治していきます。
● 古来東洋医学に伝わる経筋療法
● 整形外科医平野薫先生が著書で紹介している天城流湯治法の足底筋剥がしの手法
経筋療法は一般の方になじみがないと思いますので、ここで紹介しておきます。
・東洋医学のベースには「陰陽」、「五行」、「臓腑」、「営衛気血」、「経絡」という理論があり、そのなかでも「ツボ療法」は「経絡理論」が重要なベースです。その人の病症、証はどの「経絡」が失調しているかを調べ、失調している「経絡」のツボで治していきます。
・「経絡」には複数の系統があり、そのなかに「経筋」という関節や筋肉を主体とした運動器系愁訴に対応する経絡があります。
・「経筋」とは、現代医学でいう「筋膜のつながり」に近い概念で、 体の動きの連動性を説明するための東洋医学的なモデルです。
・足底痛は臓腑の影響で痛みが出ているというより、運動器系の損傷、疲労、衰えとみて「経筋」の観点から治していきます。特に足底痛は「足少陰経筋」、「足太陽経筋」に着目します。
-「足少陰経筋」……~足裏の小指から起こり足底に分布する~(続く)。その病症の一つとして「足の裏の痛みやつっぱり感」がある。⇒足裏、特に土踏まずを対象
-「足太陽経筋」……~踵に結び(付着するという意味)~(続く)。病症の一つとして「踵を引っ張る痛み」がある。⇒ふくらはぎ、アキレス腱を対象
足底痛は、足指、足首がかたくなってきていることが要因に挙げられます。足指、足首を柔軟にする運動法、ストレッチが必要です。
《豆知識》
・足裏を支える組織には、足底筋群(筋肉)、腱(長趾屈筋腱・長母趾屈筋腱など多数の種類がある)、足底腱膜がある。
・足底腱膜は踵から足指の付け値へ伸びる強靱な繊維組織である。
・足裏のアーチを支えている重要な組織は足底腱膜である。
・足底腱膜は腱膜という独立した結合組織で、筋でも腱でもない。
・足底腱膜は腓腹筋やアキレス腱とは独立しているが、機能的につながっている。
下腿三頭筋→アキレス腱→踵骨→足底腱膜。この連続性により、ふくらはぎの硬さは足底腱膜の張力にも影響する。
・加齢とともに「足裏が硬い、歩くと痛い、アーチが落ちる」というのは「足底腱膜の柔軟性や弾力の低下、アーチ機能の低下、ふくらはぎの柔軟性低下、長年の負荷の蓄積、足底腱膜の変性」が関係している。
・よく臨床の現場では、足底をゆるめると全身がゆるむと言われる。
→臨床では、足底腱膜が全身の筋膜連鎖の一部であるため、足底の緊張が全身の動きに影響すると考えられている。
・筋膜と腱膜は別物である。たとえて言うと腱膜は「筋肉の力を伝える丈夫なベルト」である。筋膜は「全身を包むボディースーツ」である。
・腱膜は腱を覆う膜ではない。平たく広がった腱そのものである。
・足底筋腱は足底筋の腱ではあるが、足の裏にはない。
次は具体的な治し方です。
1. まず、経筋療法からです。患側のみの施術で良いです。
①右図の足裏特に土踏まずを縦に揉んでください。
強くやりすぎると皮膚を傷めるため、痛気持ちいい程度の圧で行ってください。
②足裏の真ん中の線には次のようなツボがあります。
右図「湧泉」 (足の五本の指を内側に曲げた時にできる凹んだところ)
足の中心線で指の付け根から踵までの長さの指の付け根から1/3のところにとります。
「足心」 (足裏の真ん中)
土踏まずのもっとも凹む中心部です。
土踏まずを温め、血流を良くします。このツボのお灸を他と比較して熱く感じます。他のツボより壮数を少なくして結構です。
「失眠」 (踵の中央部)
足底痛の特効穴です。
③次にふくらはぎからアキレス腱まで揉んでください。
④カーフレイズ、踵落とし、片足立ちの習慣化が必要です。
2. 次は足底筋剥がしの手法です。
足裏と甲の肌目が変わるところに(内側縦アーチに沿って)爪を差し込み、筋肉を骨から剥がすように矢印の方向に引きます。
足底痛は「足裏だけの問題」ではなく、 ふくらはぎ・アキレス腱・足指・足首の硬さが積み重なって起こります。 そのため、足裏だけでなく、ふくらはぎや足指のケアを続けることで 再発しにくい足になります。
(参考文献)
・篠原昭二(2005)『誰でもできる経筋治療』医道の日本社.
・孫維良(1997)『ひとりあんま気功』ダイヤモンド社.
・谷田伸治(2011)『このツボが効く先人に学ぶ75名穴改訂第二版』アルテミシア.
・南京中医学院(1976)『中国漢方医学概論』中国漢方.
・平野薫(2020)『ひざ痛を治したければ筋肉をはがしなさい』マキノ出版.
・山本敏男(1998)『鍼灸特効穴一発療法』源草社.