慢性痛の「脳の感じる痛み」を取る

首の痛みにしても、腰の痛みにしても、慢性化することが多いですね。慢性的な痛みの中には、松平浩先生や中尾浩之先生の著書にもありますが、「脳の機能異常による痛みが混在」、「脳が間違った指令を出している」といった器質的な損傷以外の痛みがあります。軽い痛みの場合にご自身で治す方法です。「オステオパシー」の「カウンターストレイン」という手法を簡略化し、応用します。

 

①「痛くなる姿勢の少し手前」まで持って行き、その姿勢で90秒保持します。

ゆっくりゆっくり戻し、戻したら90秒保持します。

③先ほどの「痛くなる姿勢の手前」がさらに柔軟に(傾けるように)なるはずです。①、②を2、3回繰り返します。「ゆっくり戻す」、「90秒保持」がポイントです。

 

 

腰痛で灯台下暗しのツボ

整体の練習のやり過ぎで少し腰に違和感があったところに、重いものを持ったり、腰に良くない姿勢を長く続けたこともあり、腰痛を再発させてしまいました。今回は急性の腰痛でいつも使っているツボ「中封」、「崑崙」、「腰腿点」、「足の反射区」ではなかなか良くなりません。左腸骨の上で外側の部分(中臀筋中部あたり)に痛みが走ります。三夜連続で痛くて何回も目が覚めます。湿布も効きません。特に寝起きが激痛です。

経絡(ツボの経路)から見ると胆経に近いラインです。胆経に絞り、見事に効いたのは胆経の主要穴「陽陵泉」です。せんねん灸を7壮しても熱くなく、毎日の施灸で日々改善されていることを実感しました。筋肉の損傷に「陽陵泉」は定番ではありますが、単にこの症状にはこのツボというだけではなく、基本に戻って、経絡を意識することが重要だと認識しました。

なお、ジムでの定期的なトレーニングは、腰痛を引き起こす筋トレメニューを除いて続けました。

 

「陽陵泉」 (腓骨小頭(膝の外側、斜め下の小さな骨)の前下際)

(2017/11/5記)

 

その後、2週間ほど経って「陽陵泉」へのお灸は1壮で熱くなり、日常生活やジムでのトレーニングには支障ありません。しかし、ストレッチ時に腰の横に痛みが走ります。そこで教科書的なツボ療法の経絡の熱を取るツボ「滎穴」、関節の痛みを取るツボ「兪穴」と呼ばれるツボを使います。胆経では「侠𧮾」と「足臨泣」が該当します。そこへのお灸は4壮やっても熱くありません。日々の施灸で良くなっていきます。今では1、2壮で熱くなります。

 

「侠𧮾」 (足背、第四、第五足指間、みずかきの近位、赤白肉際) 

「足臨泣」 (第四、第五中足骨接合部の前、足の薬指と小指の間を押し上げて止まるところ)

(2017/11/27記)

 

 

枕元に木槌

枕元に木槌を置いておくと便利です。用途は寝入りをよくするためです。寝る前に左右の足のかかと中央の「失眠」というツボを軽く木槌で50~100回ぐらい叩きます。夜中に起きた場合にも、軽く叩きます。

木槌としては、直径36mmが適当です。また、木槌そのままでは硬く当たりますので、少し木槌に細工をします。打ち付ける部分に12個ぐらいピップエレキバン(金属部分のみ)を置き、換えシールで固定をし、凸凹をつけます。肩たたき棒があれば、それでも結構です。

 

 

離れたところのツボで肩の痛みを治す

私の場合の肩のこわばりや痛みは肩関節前面に生じます。このところには肺経という経絡(ツボの経路)が走っています。経絡にはある症状によく効くツボがあり、そのなかで身熱(体の熱)を取るツボを「滎穴」と呼び、動作痛に効くと言われています。肺経では「魚際」と言うツボがこれに当たります。今回はこの「魚際」にピップエレキバンを貼り、時にせんねん灸をしました。その結果、肩関節前面の動作痛はかなり取れましたが、肩の側面、後方に動作痛が出てきました。そこで、肩を走っている全ての経絡である三焦経、小腸経、大腸経、胆経の滎穴にピップエレキバンを貼りました。「液門」、「前谷」、「二間」、「俠谿」です。後日、体重節痛(体が重くふしぶしが痛い)に効果があるとされる「兪穴」の「三間」、「後渓」を加えました。改善経過は非常に良いです。先人の知恵には感心します。

 

「魚際」(手掌、第一中手骨中点の橈側中央、赤白肉際)

「液門」(手背、薬指と小指の間、みずかきの上方(近位)陥凹部、赤白肉際)

「前谷」(小指尺側第五中手指節関節の前陥中(遠位)、赤白肉際)

「二間」(第二指の中手指節関節の前橈側陥凹部、赤白肉際)

「俠谿」(足背、第四、第五指間、みずかきの近位、赤白肉際)

「三間」(手背、第二中指節関節橈側の近位陥凹部)

「後渓」(手背、第五中指節関節尺側の近位陥凹部、赤白肉際)

 

動作痛の場合の滎穴の効用については、篠原昭二先生の著書を参考にさせていただきました。この本の出会いも感謝です。

 

 

ひもで肩の痛みを治す

昨年6月にジムでのウェイトトレーニングで肩を痛めて、その後ツボ療法でほとんど痛みは取れ、普段の生活やトレーニングそのものには影響ないようになりました。しかし、数ヶ月経っても、普段はあまり使わない方向への動作でこわばりや痛みがあります。特に、ウェイトトレーニングをやった当日と翌日です。動作時の痛みは「経筋病」といわれていますが、さあどう対処するか、今回は二つの方法を使いました。

ひとつはひもを使い、橋本敬三先生の操体法の原理で「痛い角度から痛くない方向へ動かす方法」です。

 

①手首近くに肩幅の長さでひもを回します。ここは「ひもトレ」で有名な小関勲先生と同じです。痛く感じる角度から痛くない方向に軽く動かし、10回程度繰り返します。

②こわばりを感じる動きに対して、この方法を行います。特にスワイショウの横の動きが一番こわばりやかすかな痛みを感じます。

少しずつですが、痛みやこわばりが少なくなっていきます。しかし、この方法ではまだまだ数%残っている感じです。

 

もうひとつは次回紹介します。

自律神経を整え、気持ちを落ち着かせる

自分でその良さを実感しているツボの第4弾です。

自律神経を整え、気持ちを落ち着かせ、脳の疲れを取ります。認知症予防にも最適です。

 

1. まず、頭のツボで脳の血流改善をします。

「百会」 (頭部正中線と左右の耳尖を結んだ線の交叉部)

髪の生え際から指幅7本上か7本弱(女性は6本上)で少しくぼんでいるところを探ります。

「四神聡」 (百会の前後左右親指の幅1本) 

「神」は精神の意味、「聡」は聡明の意味で、精神状態を落ち着かせることができ、自律神経のバランスが是正され、頭の感じをスッキリさせる効果があるツボです。

 

2. 次に頭の経絡(ツボの流れ)に沿って押していきます。

①督脈(頭の正中線)、膀胱経(頭の正中線から指二本横)、胆経(前頭部眉毛中央を上がった線)という経絡を人差し指、中指、薬指、小指の腹で押しながら、前髪際から後ろに少しずつ上がっていきます。コツは四指を少し広げ、頭のくぼみを探り、頭皮に指の腹を押しつけ、前後に揺らします。表面を揺らしますと髪が引っ張られますので注意してください。 

 

②後頭部の督脈(頭の正中線)、膀胱経(頭の正中線から指二本横)、胆経(前頭部眉毛中央を上がった線)という経絡を人差し指、中指、薬指、小指の腹で頭頂部から項部にむけて押していきます。コツは上述と同じです。

 

自律神経を整え、免疫力を高める

自分でその良さを実感しているツボの第3弾です。自律神経を整え、免疫力を高めます。

 

各指の爪の生え際(爪体の角から2mm弱)の6か所にあるツボです。内側から「少商」、「商陽」、「中衝」、「関衝」、「少衝」、「小沢」という名前がつけられており、総称して井穴と言います。

 

井穴はもともと急性の熱疾患や急を要する病態、精神疾患に良いと言われていますが、全体の冷えの改善、認知症予防、高血圧改善、自律神経を整えることにも使います。ツボは左側の図の○印に位置し、赤線のところを親指の爪の先端を使って断ち切るように押すか、チクチクと数回押します。一日何回でも押してください。

 

アレルギー性皮膚炎には必須! 長い目で手当てをして欲しいツボ

自分でその良さを実感しているツボの第2弾です。

このなかでお勧めなのは「副腎」と言うツボです。正確に言えば反射区になります。長い目で手当てをして欲しいツボです。アレルギー性の皮膚炎は体の調子、季節によりぶり返すことがあります。それでも、このツボを押し続けることで安定した期間が長くなります。ツボ押し棒で強く押しますが、時々指の腹でその感触を探ってみてください。下から押し返すようなかたさがあれば、調子が悪い状況です。丹念に押します。

 

「湧泉」(五指を屈し足底中央の最もくぼんだところ)

「副腎ゾーン」 (湧泉の下のエリア)

「腎臓ゾーン」 (副腎の下のエリア、第二、第三中足骨の近位端でリスフラン関節線の上)  

 

腸を整える

養生法の一つとして、また症状別の治療法として、掲載しているツボや反射区で、自分でその良さを実感している箇所を何回かに分けて紹介していきたいと思います。

まず、大腸と小腸の反射区です。狙いは腸内環境の改善・維持と腸管免疫の機能強化です。すぐ実感できるのは便通です。東洋医学は滞りを嫌います。ツボ押し棒で強めに刺激します。

右図「大腸ゾーン」及びそれに囲まれている「小腸ゾーン」(「小腸ゾーン」 (土踏まずのリスフラン関節より踵側)

2と3のラインはリスフラン関節の少し下方(但し、第四中足骨基底部では同関節の上方)、5のラインは内髁と外髁を結んだ線になります。「小腸ゾーン」は斜線部分です。