自分で呼吸困難を治す

私自身の呼吸困難の発症はここ十数年に何回かありますが、今回が治すのに一番やっかいでした。

7月下旬から症状が出始め、11月に入りやっと軽くなってきました。反省点や自分で行う治療法の改善に至った経緯と気づきについて書き留めておきます。

 

1.呼吸困難に至る原因を間違えてとらえていた→再発する

一番の反省点は呼吸困難になっている引き金の見極めに手間取ったことです。今までの経験から、筋トレの負荷が過重になってきていると思い、少し控えめにし、ツボ療法をしました。幾分良くなるものの、また悪くなり、その繰り返しで大きな改善がありませんでした。

10月中旬頃、原因は有酸素運動の負荷が重荷になっていることにやっと気づきました。自分としては有酸素運動は負荷となっていないと思っていましたので、まさかです。しかし、負荷を少なくすることでこれ以上悪くならない実感がありました。

 

[回復度] これ以上悪化しない

 

2. 足裏における横隔膜の反射区の位置

足裏における横隔膜の反射区は、これまでの経験から示指~薬指の中足骨の中程からリスフラン関節の間に取ってきましたが、呼吸困難の場合は丹念に調べると母趾球の下のあたりにしこりと圧痛があります。そこを押すと症状が少し楽になり、しこりと圧痛が無くなります。

 

[回復度] 50~60%

 

3. 横隔膜をドライヤー、使い捨てカイロで温める

おふろで湯船に入ることで症状が著しく緩和します。これをヒントに横隔膜を温めることにしました。それと喉あたりにコリを感じていたため、その箇所も温めることにしました。肋骨弓と喉をドライヤ-で数時間おきに温めます。勤務先でドライヤーを使えない人もいるので、使い捨てカイロでも実験をしました。効果は良好です。

 

[回復度] 60~70%

 

4. 加齢→腎虚→吸気の衰え

65歳を過ぎるようになってから、息が浅くなり、特に吸気が弱くなったと感じます。呼気を意識的にすると(息を吐き切ると)、吸気は自然に任せれば良いというだけでは吸い込む量が足りない、吸気そのものに力が必要になってきていると感じるようになりました。東洋医学的にこれをどう解釈すれば良いのかこれも治療法改善の着目点のひとつです。そこで、東洋医学、中医学の臓腑論をレビューしました。

レビューすると、次のような説明に当たりました。

『現代医学では呼吸は肺の機能に当たりますが、中医学では、呼気や浅い呼吸は肺によって、吸気は「腎」によって行われているとされています。従って、吸気を円滑に行うためには「腎虚」を補います』

 

[回復度] 長い目で経過を見る必要があり、要フォロー

 

5. 胸鎖乳突筋の重要性

次に吸息筋の一つ胸鎖乳突筋に着目し、両脇の3箇所を指圧する方法を加えました。さらに結果は良好です。

 

[回復度] 70~80% 

 

6. 吸息筋のストレッチ

呼吸法の手法もいろいろ試してみましたが、かえってつらくなるものばかりです。

そこで視点を変えて、吸息筋の焦点を絞り、まず吸うことから始める手法を取り入れました。これも結果良好です。

 

[回復度] 90%

 

7. これから先、有酸素運動の負荷を少しずつ戻していきます。負荷に対応可能かどうか(呼吸が苦しいかどうか)、どこまで回復しているかが次のポイントです。

 

まだ少し時間がかかりますが、こんな経緯と気づきから、呼吸困難の治療法の見直しを行い、ページ(「呼吸困難」)を更新しました。[これまで2019/11/30記]

 

《その後の経過》

8. 有酸素運動の負荷をどんどん増やしていくと平常時の呼吸が苦しくなります。回復度70~80%に戻ってしまいました。ちょうどそのとき首から肩甲骨上部にかけてこりや痛みがあり、それと関連がありそうです。やはり、吸息筋全体の回復により一層努める必要があります。そこで次の2つの手法を加えました。

①肋骨弓やのどだけでなく、胸全体、背中の上部もドライヤーの風を送り、温めます。

②「頭項は列缺に尋ねる」と古来いわれているように首や肩甲骨上部の痛みやコリに効果がある「列缺」というツボを加えました。詳細は「呼吸困難」ページを参照してください。

[回復度] 95%  [2020/1/3記]

 

 

慢性的な首こり、肩こり、腰痛、膝痛の予防

医者に行くほどでもありませんが、慢性的な首の痛み/こり、肩こり、腰痛、膝痛が重なり、日常生活上ストレスになることがあります。以前(2016/5/13)の講師ブログにも書きましたが、私自身もこの症状があり、スワイショウという気功法、ストレッチ、お灸またはピップエレキバンで予防しています。私の場合は、ジムでのトレーニングで軸足である左足に重心/負荷がかかり、主に左側に症状が出ます。

以下に、ケアと予防の方法について記述します。

 

1. 最もお勧めはストレッチです。

《肩甲骨間のストレッチ》

1.1. 首から背中、特に肩甲骨の高さのコリの改善、また、円背(えんぱい、猫背)矯正です。

①肩の先端に手指を当て、肩を後方に、左右交互にぐるぐる回します。回数は20回程度です。鵜沼宏樹先生が推奨している仰泳法という気功法です。

次に左右一緒に前方に20回程度回します。次は後方に20回程度回します。 

(本項の参考文献)

・鵜沼宏樹(2013)『自分でできるツボ療法入門』筑摩書房.

 

②立つか、椅子に座った状態で、肘を曲げたまま上肢を挙上し、先に肘を前に出し、次に背中をそらすように上肢を後ろに回します。肘を前に出したときはできるだけ肩甲骨間を広げ、肘を横に回したときはできるだけ肩甲骨間を狭めます。肘を前に出したときは小指を手前に手背を合わせ、肘を横に回したときは手のひらを外向けにした方が肩甲骨の可動域が広がります。これを5~10回行います。

 

③同じように立つか、椅子に座った状態で、肩を後屈し肘を曲げたまま、上肢を挙上し、次に下ろします。この動作を繰り返します。上肢を挙上したときは手のひらを合わせ、下ろしたときは手のひらを外に向けた方が肩甲骨の可動域が広がります。これを5~10回行います。

 

《首のストレッチ》

1.2. 慢性化している首の痛みがひどくなることを予防する目的で首のストレッチも有効です。特に痛みのある側の筋肉をストレッチします。

①例えば、首を右斜め上に曲げると左首が痛い場合の対処法です。

・左腕の肘を90度に曲げ、背中に前腕外側をつけ、固定します。こうすることで次の動作の首を押し下げたとき、肩が上がらないようにし、可動域を広げるようにします。

・右手を頭頂部に置き、右斜め下に押し下げ、10秒ぐらいキープします。軽く押し下げることがポイントです。ギューギューと押し下げません。あくまで軽くです。

 

②左右を逆転し、反対側もやります。

 

《腰のストレッチ》

1.3. 腰痛予防のストレッチです。

 

東京大学医学部付属病院特任教授の松平浩先生が推奨している方法です。

・足を軽く開き、膝を伸ばしたまま、手のひらを腰に当て、上体をゆっくり反らします。

・1、2回3秒間息を吐きながらキープします。

コツは後に反らしすぎないことです。ほんの少しで結構です。

・前かがみの姿勢が続いた後有効です。

 

(本項の参考文献)

・松平浩(2016)『腰痛は「動かして」治しなさい 』講談社.

・松平浩(2016)『文藝春秋2016年11月号』文藝春秋.

・松平浩(2013)『「腰痛持ち」をやめる本』マキノ出版.

 

2. 次に反射療法、ツボ療法です。

《首のこり/痛みの反射区》

2.1. 足の親指の次の反射区も有効です。

右図「頸・項部」 (足裏の親指の基節骨全体)

足の親指の根元をぐるりともんでください。

激痛があるところがあるはずです。その場所を我慢して念入りに押してください。

《腰痛の反射区》

2.2 腰痛の反射区です。

内側のアーチの部分です。

 

・左右の拇指を重ねていったん押し込んで、踵のほうに流します。

・病んでいるときは丸い小さなかたまり、また平板状の硬さ、引っかかりを感じます。軽く押さえても痛いはずです。その状況がなくなるまで、また痛みが止まるまで柔らかくそして長めに(15秒ぐらい)押します。数分、繰り返して行うと痛みが和らぐはずです。

 

・軽症のヘルニアの場合でも、予防的な目的で毎日施術すると症状が軽減、またはなくなります。

 

・内側からの画像も添付します。

 頸椎・・・親指の基節全体(~中足指節関節まで)

 胸椎・・・第一中足骨内側(~リスフラン関節まで)

 腰椎・・・第一楔状骨から舟状骨の3分の1あたりまで

 仙骨・・・舟状骨の端から距骨まで 

 

《膝痛のツボ》

2.3.膝痛の最もお勧めのツボです。どのような膝の痛みにでも手当てをする必須の基本のツボです。膝はお灸またはピップエレキバンをします。

右図「犢鼻(外膝眼)」 (膝の前面で膝の下にできるくぼみの外側)、「内膝眼」 (膝の前面で膝の下にできるくぼみの内側)

 

ピップエレキバンを貼ってください。お灸がお勧めです。2壮から3壮です。熱い場合はすぐ取り除くことがコツです。水疱になることを防ぐためです。お灸の煙が苦手な方は煙が出ないタイプをお使いください。

 

秋から冬にかけての養生法

秋から冬にかけての養生法です。簡単にできて、体の抵抗力を増し、温めます。

 

お風呂上がりに次の3箇所をドライヤーで温めてください。衣服の上からではなく、地肌そのものに熱くなるまで温めます。熱めのシャワーでも結構です。

 

1. 項部から肩甲間上部まで

外邪を防ぐツボが集まっており、風邪の予防になります。

2. おへそのまわり、おへその上下10cm

腸を整えるツボや下腹部の内臓を温め、調子を整えるツボが集まっています。精神的、肉体的疲労にも効くツボも集まっています。

3. 仙骨

骨盤内の血流を改善し、骨盤内を温め、下腹部の冷えや痛みの不快感を解消します。

4つの合谷

よく使われるツボ「合谷」の位置は4つあります。

本サイトでも症状により使い分けますので、列記します。

 

1.「合谷1」 (手背、第2中手骨中点の橈側)

・WHO(注参照)日本語版に準拠している位置で、もともと中国の説

・一般的に使われる代表的な位置

 

2.「合谷2」 (第2中手骨中央部の骨のキワ(のくぼみ))

・ヨーロッパでよく取穴される位置

・親指の腱鞘炎でよく使う。刺激が強い位置

 

3.「合谷3」 ( 第1、第2中手骨の基底部の前陥凹部) 

・日本で従来使用されていた位置

 

4.「沢田流合谷」 (第一指と第二指を伸展してできる長・短拇指伸筋腱の間の陥凹部(タバコ窩)に「陽渓」をとり、それより数ミリ指側で脈動を触れるところ)

・高血圧、親指の腱鞘炎で使用

 

(注)

WHO(World Health Organization:世界保健機関):全ての人々が可能な最高の健康水準に到達することを目的として設立された国連の専門機関

 

(参考文献) 

・篠原昭二(2009)『臨床経穴ポケットガイド』医歯薬出版.

・谷田伸治(2011)『このツボが効く先人に学ぶ75名穴改訂第二版』アルテミシア.

・代田文誌(1978)『針灸治療基礎学』医道の日本社.

・ハンス‐ウルリッヒ・ヘッカーほか (2011)『鍼療法図鑑』兵頭明監修 東出顕子訳 ガイアブックス.

・呉竹学園編(1977)『経穴学』呉竹学園.

 

 

 

骨密度の低下を食い止める

2017年2月、初めて骨密度を踵の超音波測定で測ったみたところ、驚きの結果でした。若年成人の比較で70%にも届きません。完全な危険域です。65歳で会社生活終えた後、それまで週2回のジムでのトレーニングを週4~5回に増やした私にとってはショックでした。

 

しかし、冷静に考えてみると、会社生活終了後、4キロ圏内の移動は自転車を使い、ジムでの有酸素運動はクロストレーナー(注参照)で50分600kcalの消費、筋トレはマシンを使います。骨密度の向上に良いと言われる踵を地面に打ちつけるような運動はありません。唯一、片足立ちを1分ずつ行うぐらいです。

[注]クロストレーナー:ノルディックスキーのように手と足を動かすマシン

 

NHKスペシャル「人体」第三集・骨で次のことを放送していました。

・自転車選手として全米選手権でも準優勝した人が、日常生活での軽い転倒で大腿骨を骨折し、念のためにと受けた骨量検査で、重度の骨粗鬆症が発覚した。

・骨に「衝撃」がかからない生活を続けていると、骨細胞が「スクレロスチン(骨を作ることを止めるメッセージ物質)」をたくさん出して、骨芽細胞の数を減らし、骨の建設を休憩させてしまう。

 

そこで、骨密度を上げるためのメニューを次のように組み立てました。

1. 枕元に木槌を置いておき、寝る前と朝起きたときに左右の足の踵中央の「失眠」というツボを木槌で少し強めに100回毎日叩く。

2. クロストレーナーを30分(280kcal消費)に減らし、トレッドミルの歩行20分(100kcal消費、時速6k、1~3度の傾斜)を加える。

3. つま先立ちをし、踵を床に100回打ちつける。

4. 片足立ちをしながら次の運動を加える。左右それぞれ1分ずつ。

①太もも上げ

・腸腰筋を鍛える。

②脚上げ

・まっすぐ立ち、片足立ちのまま、もう一方の片足を前、横及び斜め後ろ(中臀筋を鍛える)、後ろ(大臀筋、ハムストリングを鍛える)に上げ、キープ。

5. 片足立ちをバランスディスク(クッション型)の上で左右それぞれ1分行う。

6. 人間ドックのDEXA(デキサ)法による定期的な測定を行う。

 

以上です。ステップ台を使うとか、ジャンプで踵を床に打ちつける方法が有効ですが、膝への負担を和らげる前提で治し方のひな形を作るという意味で、採用しませんでした。

 

その結果、1年に1~2%増加し、2019年5月の測定結果は75%になりました。もっと増加しても良いのではという思いはありますが、何もしなければ加齢とともに下がるわけですから、このまま継続します。

 

 

ヘバーデン結節の痛みにお灸

ヘバーデン結節の痛みに右図「十宣」(手の指の最先端)のお灸を勧めます。毎日、痛い指の先端に台座灸をします。壮数は熱くなるまで重ねます。痛みは2週間で少しずつ取れていきます。時折何かの拍子に痛みが出ることがあります。長期間の施灸をお願いします。

 

「十宣」は私にとって思い出のあるツボです。40年以上も前、鍼灸学校に通っていた頃、私自身このツボを知りませんでしたが、母が手が冷たいということで、手の先を温めれば手全体があたたかくなるだろうという思いつきからお灸(直接灸)をしました。このツボには母の思い出とツボへの思いがあります。

末梢血管抵抗を下げ、血流を改善するのには良いツボで本サイトでは脳卒中後遺症で使用しています。

 

片頭痛予防にスワイショウ

片頭痛予防に最適の気功法です。中国に古くから伝わる気功法「スワイショウ(甩手)」です。スワイショウにはいくつか方法がありますが、お勧めはでんでん太鼓のように体をねじる方法です。一日1セット2分は行って下さい。

 

・立った姿勢で、足を肩幅ぐらいに広げて立ちます。その際、つま先は広げず、正面を向けます。

・腕の力を抜いて、腕を垂らしたまま、頭頂から背骨、尾骨の縦の線を軸にして、ウエストをひねって回転運動をします。ウエスト及び下腹部を横に向けることを意識します。足の床への接着面はそのままです。

・腕と肩の力を十分に抜き、腕は体に巻きつくようにまかせる感じです。勢いをつけて回さないでください。

・顔は正面を向いたまま、首を回しません。これは重要なポイントです。

・左右に巻きつくとき口からふっと息を吐きます。吸うときは自然に任せます。但し、無理をする必要はありません。自然に任せてください。 

 

なお、ツボを使った療法は「頭痛」ページをご参照ください。

 

小指側の腱鞘炎、肘の内側の痛みを肩甲骨で治す

次のような部位に痛みが走る場合の対処法です。

・手の小指側の腱鞘炎や肘の内側に痛みがある場合

・肩甲棘の上縁や肩甲骨の上縁に痛みがある場合

・首を横(または斜め後)に傾けると痛みが走る場合

 

最近身近によく見られる症状です。これらの症状に共通しているのは、これらの部位には小腸経という経絡(ツボの経路)が走っています。従って、その対処法としても共通しており、小腸経の経絡を使い、治します。二つの手法を紹介します。

 

1. 筋肉で言えば、棘下筋、棘上筋に施術します。

注意点です。

・左右を押してみて硬さや圧痛の度合いを探ってみて下さい。

・度合いが強い箇所がツボとして合っているのですが、上腕に響く程強く押さないでください。

・棘上筋、棘下筋を酷使する姿勢を長く続けていませんか? 例えば、本を横に置いて見ながら、PCに入力していませんか? 顎を突き出したような前のめりの姿勢をしていませんか? 姿勢を見直ししてください。

 

右図「臑兪」 (肩周囲部、腋窩横紋後端の上方、肩甲棘の下方陥凹部)

「天宗」 (肩甲部、肩甲棘の中点と肩甲骨下角を結んだ線上、肩甲棘から1/3にある陥凹部)

「天宗」を含む肩甲棘の下縁のエリア、棘下筋を押圧して下さい。強く押すと痛いところですが、よく効きます。

「秉風」 (肩甲部、棘上窩、肩甲棘中点の上方)

「曲垣」 (肩甲部、肩甲棘内端の上方陥凹部)

「秉風」、「曲垣」を含む肩甲棘の上縁も押して下さい。

自分で押すツールとしては、疑問符の形をしたツボ押しグッズが手軽で良いと思います。人にやってもらう場合は、拇指球、小指球を使って軽擦または揉捏してもらいます。

 

2. 小指の中手指節関節のまわりの関節のツボを使います。

右図「前谷」(小指尺側第五中手指節関節の前陥中(遠位)、赤白肉際) 

「後渓」(手背、第五中指節関節尺側の近位陥凹部、赤白肉際)

「後渓」の手首側も探ってください。

お灸かピップエレキバンを勧めます。